皇族は日本国民ではない?

2020年12月3日、伊吹元衆議院議長の発言。

「国民の要件を定めている法律からすると、皇室方
は、人間であられて、そして、大和民族・日本民族の
1人であられて、さらに、日本国と日本国民の統合の
象徴というお立場であるが、法律的には日本国民で
はあられない」

 

 

横田耕一・九州大名誉教授

「憲法学会では皇族に憲法は適用されない
という考え方もあります。
私の考えとしては、秋篠宮殿下が憲法24条を
持ち出されたのは当然」であり、
「私は皇族には人権があると考えています」。

 

 

・皇族には皇室典範が適用されるが、
憲法が適用されるかは、議論が分かれる。
・憲法は「日本国民」のために書かれているので
憲法が適用されるか不明な皇室のメンバーが
「日本国民」かどうかは議論が分かれる。
・そのため、憲法が「日本国民」に保障する基本的
人権が皇族に適用されるかは、議論が分かれる
(皇室典範に記述はない)ということだろう。

 

 

 

海外の王族は?

パスポート

国際法で定められた「その国の国民である証」

英国
王族はみんなパスポートを持っている。
女王の夫エジンバラ公も、チャールズ皇太子も。
国家元首であるエリザベス女王だけが持っていない
のは、英国パスポートは女王陛下が国民に与える
ものだから。
「女王陛下の国務長官が、女王陛下の何おいて、
国民の保護を要請する云々」と書いてある
(国務長官は外務大臣に相当)。
英国の内閣は「女王陛下の政府(Her Majesty’s
government)」。
これは英連邦王国やカナダでも同様。
英連邦の各国は女王の名において各国総督が、
カナダでは女王の名において外務大臣が
国民の保護を要請する。

 

日本

皇族はパスポートを持っておらず、外国に
行く際は1回のみ有効のパスポートを利用。
天皇はパスポートを持っていない。

 

アメリカ、フランス

アメリカやフランスの大統領は、国家元首だが
パスポートを持っている。
アメリカ大統領のパスポートは、「アイゼンハワー
・エグゼクティブ・オフィス・ビルディングにある
金庫の中に安全に保管されている。

 

「ある国のポスポート保持者は、その国の国民」と
いう世界が認める「国民」の基準に照らし合わせると
アメリカ大統領はアメリカ国民、フランス大統領は
フランス国民、英国王室のメンバーは女王以外は皆
英国国民、ただしエリザベス女王だけは国民の上に
立つ君主なので国民とは違う、ということ。

日本の皇族は、外国に行き来して滞在する。その時
1回のみ「国民」になることが保障されている。
国内にいるときは、伊吹氏の主張のように「国民で
はない」という立場だが、外国に出る時は国際標準に
合わせて「国民」になっている。

 

 

『天皇と戸籍』(遠藤正敬著、筑摩選書)
1976年2月号「文藝春秋」に掲載された皇族の座談会。
一人が「我々はある意味で無国籍者なんだな」
「基本的人権ってのはあんまりないんじゃない?」
と発言。

 

無国籍者

国連の定義によると、無国籍者の地位に関する1954年
条約の第1条(1)では、無国籍者を、
「いかなる国からも、その法律の運用かで国民と
みなされない者」と定義している。
無国籍者は国連によると、世界に何百万人とも一千万人
とも言われるが(うち3分の1は子ども)、正確な
数はわからない。

 

 

 

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