ツイッターで発信したサウジアラビア女性についての
報道の仕方を時系列で。
* BBC 2019年1月11日、
* TBS 12日、
* BBC14日・15日
2019年1月12日(土)
* BBC News JAPAN
18歳のサウジアラビア人女性、ラハフ・ムハンマド・
アルクヌンさんは、クウェートに住む家族の元から
脱出し、タイ・バンコク空港のホテルの一室から
ツイートを発しました。
「家族の元に戻されたら殺されてしまう。
私はタイに逃げてきました。
サウジ大使館が帰国させようとしているので
今、本当に危険な状態です」
と強制送還を怖れていたラハフさんは、アラビア語で
こうツイートして1月5日の夕方のこと。
ツイッターアカウントを開いた最初の日、
フォロワーは24人でした。
「#SaveRahaf(ラハフを救え)」のハッシュタグのもと
翌6日には1万7000人以上、7日午後には5万7000人、
8日午後、9万人とうなぎ登りに増えていきます。
その間、タイとサウジ両国の当局者が、彼女の
難民申請を協議していましたが、彼女が亡命を
希望していたオーストラリアでもトレンド入り。
ラハフ・ムハンマド・アルクヌンさん(18歳)
(写真/「BBC News JAPAN』)
サウジ総領事は、「タイ当局は、旅券ではなく
電話を取り上げるべきだった」
と言ったといわれています。
ツイッターからの多くの人の声により、国連難民
高等弁務官事務所がオーストラリアへの難民申請
の仲介をしました。
「ツイッターのおかげで全てが変わった」と
ラハフさんは書きます。
「あなたの翼を誰かに折られてはダメ!
(Don’t let anyone break your wings,
*you’re free, fight and your RIGHTS!)」と。
2019年1月13日(日)
* TBS系(JNN)
その後の報道によりますと、ラハフさんは12日、
カナダに難民として受け入れられました。
タイ当局は当初、ラハフさんの件を
「家族の問題」としており、翌日に彼女を
クウェートへ強制送還する予定だったといいます。
確かに、13日のTBS系(JNN)の報道では
そのように感じられる報道をしています。
1月14日(月)・15日(火)
* BBC News JAPAN
そこで彼女は、ツイッターで助けを求めました。
タイはラハフさんの滞在を認め、国連が彼女の
難民申請を検討することになったのです。
国連難民高等弁務官事務所は、ラハフさんを
合法的な難民だと認識しており、カナダが
難民認定を下したことを歓迎するとしています。
カナダは以前も、サウジアラビアに女性の権利活動家を
解放するように求めたこともあり、その時は怒ったサウジが
駐サウジ・カナダ大使を強制送還した上に、新規貿易案件
を全面的に凍結するという報復措置を取ったといいます。
TBS系(JNN)の報道では「イスラム教を捨てたため
家族に殺される」という言葉はなく「家族の虐待など
から逃れるため」という表現になっていましたが、
これはサウジでは死刑に処せられる罪だそう。
サウジの女性は、大事な事柄を自分で決められず
父親や兄弟、夫や息子など男性保護者の許可が必要で、
「就職:政府機関・企業は男性保護者の同意を求める」
「教育:女性の入学には男性保護者の許可が必要」
「結婚:女性は男性保護者の許可がないと結婚できない」
「旅行:
* 旅券や身分証の入手には男性保護者の同意が必要」
「刑務所:
* 男性保護者が出迎えなければ女性は釈放されない」
というビデをがBBCニュースには添えられていました。
ジャスティン・トルドー首相は、「カナダは国連難民
高等弁務官事務所(UNHCR)の要請を受けて難民
として認定した」とし、
「カナダは、常に世界中の人権と女性の権利のために
立ち上がることを明白にしてきた」とも語りました。
一方、彼女の家族の代理人によれば、
家族はコメントするつもりはなく、ただラハフさん
の安全を気にしていると述べたそうです。
彼女の名前は「ラルフ・ムハンマド・アル=クヌン」ですが、
家族に勘当されたため「アル=クヌン」の使用をやめて
今は「ラルフ・ムハンマド」を名乗っています。
「私たちはもの扱いされている、奴隷のように」、
「私の話と、サウジの女性がどういう目に逢うか、
*大勢に話したかった」
「こういう展開になる確率は1%だと思っていた」
また、「カナダにいて、とても安心している。
カナダは人権を尊重する国なので」とも話し、
これからはできなかった勉強をして、仕事に就く
という普通のことがしたい、と望んでいるそうです。