フランスの「売春禁止法 合憲」判断

「買春者を罰するのは憲法違反ではない」との判決

昨日は、オランダでの売春禁止を求める請願書の
お話でしたが、今日はフランスです。

 

2019年2月1日、フランスで性産業に携わる労働組合
などが、
「買春の客を罰する法律は、職業選択の自由を保証
するフランス憲法に違反する」
と訴えていた裁判で、フランスの憲法裁判所にあた
る憲法院は、
「人間の尊厳を守ろうとする法律であり、合憲」
との判決を下し、訴えを退けました。

 

 

 

2016年まで売春は合法

問題とされたのは、フランスの国民議会(下院)が
2016年に4月6日に成立した買春規制法です。

 

フランスではそれ以前は長らく、買春・買春とも合法
でしたが、1946年に売春宿の経営が禁止されて以降、
売春をする人たちは町の通りなどで客引きを行いなが
ら、買春者を獲得していました。

 

法的な規制の枠組みの中で、売春を容認していた
時代が60年近く続いていたのです。

 

 

 

2003年、公の場での客引き禁止

しかし、2003年に国民運動党連合のニコラ・サルコジ
内相(当時)が策定した国内治安のための、いわゆる
サルコジ法と呼ばれる法律により、治安対策の一環と
して、売春者による公の場での客引きが禁止される
ことになりました。

 

公に行うことは難しくなりましたが、売春行為自体は
違法ではないという、曖昧な状態が生まれていまった
結果、多くのフランス人の売春者が売春業をやめる
一方、外国人の売春者が増えるという状況になった
のです。

 

現在、フランスの売春者の約8割は外国籍で、主に
東欧やアフリカ諸国から違法に人身売買され、強制的
に性労働につかされているケースがありました。
規制強化を受け、性労働はいっそう目の届きにくい
場所へと逃れて、犯罪の温床ともなっています。

 

 

 

社会党政権になり政策の変化

2012年のフランス大統領選の結果、国民運動連合から、
オランド第一書記率いる社会党に政権が移ったことに
より、フランスの売春者への政策も大きく変化します。

 

社会党政権が打ち出した売春対策は、売春者への規制
強化ではなく、売春者を被害者として保護する政策で
あり、1999年にスウェーデンで施行された政策を参考
にしたものだったのです。

 

スウェーデンでは、売春ではなく買春を違法行為とみ
なし、買春者に罰則を与え、売春者を保護する政策を
世界で初めて実施していました。
その後、ノルウェーやアイスランド等も、この政策に
習って新たな法律を制定しています。

 

 

 

2016年「買春禁止法」成立

フランスも社会党政権も、スウェーデンに倣って2013年
に新法案を提出しましたが、野党からの反発などにより
審議は難航。

 

2016年にようやく可決された「買春禁止法」では、買春
が違法行為に制定されました。

 

買春者に対して、初犯の場合は1500ユーロ(約18万円)、
再販者には最高で3750ユーロ(約46万円)が課せられ
ることになりました。

 

また、買春者には、買収者の状況についての講習を
受けることも義務つけられています。
外国籍の売春者に対しては、売春以外の職を探す
ことに同意した場合は、フランスでの暫定的な
定住資格を与えるなどの保護政策もとりました。

 

 

 

合憲判断

そして今回、2019年2月1日の判決ですが、原告側は、
「規制されれば、買春は闇で行われるようになり、
ますます危険な仕事になる」
「自分の体の使い方を法律で禁じることはできない」
なとど主張していました。

 

それに対して判決は、
「性的搾取目的の人身売買と戦い、人間の尊厳を
守ろうとするものだ」
と指摘し、合憲判断を下したものです。

フランス政府によりますと、国内で3万人が買春
を職業としていて、全体の85%が女性、93%が
外国人だということです。

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