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日本のモミの木
モミの木というと、クリスマスツリーに
使われるためか西洋風のイメージがあります。
しかし秋田県および岩手県以南の本州から
九州、屋久島に至るまでの広い範囲で分布
するモミは日本固有種でもあります。
雌雄同株で、5〜6月にかけて花が咲きます。
できた松ぼっくり(球果)は、10月頃に熟す
と軸を残してバラバラとうろこ状に脱落。
材木としての耐久性は乏しいそうですが
材が白く清涼感があり、ネズミや害虫に
も強いことから、木棺、お塔婆、葬祭具
の材料に使われているということです。
また、材に匂いがないことから、以前は
カマボコ板や茶筒など食品の容器にも
使われました。
東京の代々木にもかつてはモミの大木が
あり、「代々木」という名前はモミの木
を意味したといいますが、残念ながら
現在では見ることはできません。
同属のヨーロッパモミは、日本のモミの木
とは異なりますが、庭木として神聖視され
ており、ドイツでは悪魔よけに使うとか。
モミ(Japanese Fir、Momi)
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マツ科モミ属
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学名
Abies firma
Abies sachalinensis
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抽出部位
枝葉
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蒸留法
水蒸気蒸留法
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成分
αピネン、βピネン、サビネン、
リモネン、ボルニルアセテート
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本州、主に中南部〜四国、九州、屋久島
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北海道のモミ精油の原料は「トドマツ」
北海道の森を代表する樹種、トドマツ
はモミの木の仲間で、日本では北海道
に自生し、植林もされています。
天然のモミは、高い山の尾根に育つので
採取が難しいため、北海道ではモミの
兄弟のようなトドマツの精油がモミ
オイルの原料となっているのが一般的。
トドマツは、松脂が樹皮に多く、さわる
とベタベタしますが、これがモミの香り
のポイントとなっています。
香りは、ジントニックを思わせる
凛とした清楚な香りです。
海外のモミといえば、シベリアモミ
モミ属の木から採れた精油は、喉や
呼吸のトラブルに効き、冬の寒い時期
の体調管理に欠かせないものです。
風邪やインフルエンザの予防に、
殺菌作用、鎮痛作用、咳、気管支炎、
鼻水、鼻づまり、
血行促進、冷え性の改善、神経痛、
関節痛、筋肉痛、腰痛、肩こり、
リウマチに有効です。
日本のモミ精油にある消臭作用
最近の研究で、日本のモミの精油成分に
消臭作用があることがわかってきました。
内装などにモミ材を使った部屋では
タバコの匂いが消え、壁にモミ材を
使ったトイレでは、トイレ臭がなく
なることが確かめられています。
モミ材の内装やモミ材で作った家
にはヒノキやスギ、ヒバのような
特有の香りはありません。
しかし、私たちの鼻には感じなくても
モミ材の持つ消臭作用や抗菌作用など
の働きが発揮されているのです。
マスキングではなく、なくしたり別の物質に変える
一般的に消臭剤や芳香剤は、香り成分
が拡散して悪臭の成分に覆いかぶさり、
臭わなくしたり感じなくするメカニズム。
それに対し、モミを始め樹木や葉に含まれ
ている精油成分は、悪臭と科学的に反応
し悪臭物質自体をなくしてしまったり、
別の物質に変えてしまうメカニズムです。
中和、酸化などの化学反応がより深く
関係しているということです。
(グラフ/「森林・林業学習館」)
ホルムアルデヒドを除去
環境や人体に影響を与えると言われている
ホルムアルデヒドは、接着剤や防腐剤、
塗料などの成分で、毒性の強いものです。
環境や人体に影響を与えることが
指摘されている物質のうち、揮発性
のものは、VOCと呼ばれます。
例として、塗料に由来するトルエンや
殺虫剤に由来する塩素化合物などがあり
VOCの中でも人体に対して急性的に毒性
のある物質が「ホルムアルデヒド」です。
空気中に高い密度で拡散していると
呼吸器系、目や喉の炎症を引き起こします。
皮膚や目などが、ホルムアルデヒドの
水溶液(ホルマリン)に接触した場合は
激しい刺激とともに炎症が生じます。
このホルムアルデヒドを除去する働きが
スギやモミの木の葉の精油成分に多く含ま
れていることが最近の研究でわかりました。