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「エシャロット」は間違い
今日の写真に写っている野菜は
「エシャレット」です。
本当の名前は「エシャレット」なのですが
売り場でついていた名前は「エシャロット」。
「エシャロット」は間違いなのですが
この間違いは、かなり頻繁にあるそうです。
なぜでしょうか?
「エシャレット」はラッキョウ
本来この「エシャレット」という
のは、品種名ではありません。
品種名はラッキョウ。
ラッキョウを若いうちに収穫したものです。
最初、これを売り出す時に「根ラッキョウ」
という名前を考えたそうです。
でも、その名前では売れない
のではないかとの意見も……。
そこで東京築地の大手青果卸、
東京中央青果常務の川井彦二さんが考えた
のが、「エシャロット」だったのです。
ヨーロッパの「エシャロット」に
似ていたことから「エシャロット」と
いうお洒落な名前をつけたそうです。
本家本元の「エシャロット」
次の写真が、フランス料理には
欠かせない素材として知られている
「エシャロット(eschalot)」。
スリムなタマネギ、といった感じですね。
ところがこのスリムなタマネギの
内部を見ますと、こんな感じだそう。
いわゆる私達の知っているタマネギ
というよりは、ラッキョウがいくつも
かたまっているようにも見えますね。
ですが、勿論「エシャロット」はバラバラには
せず、このタマネギ状で販売されますので、お店
に並ぶ姿は、若いラッキョウとは全く違います。
今日、御紹介の若いラッキョウが、この
スリムなタマネギの「エシャロット」という
同じ名前をもらったのは1955年頃のこと。
その当時は、本物の「エシャロット」は
日本に入っていなかったので
混乱することはありませんでした。
フランス産の「ベルギーエシャロット」
(写真/「おいしい畑」)
手前の紫色のものは皮をむいたところ
本物の「エシャロット」が日本に登場
ところが、だんだん本家本元の
「エシャロット」も日本の市場に
登場してくるようになります。
となりますと当然のことながら
混乱が起きてしまいますね。
本家のスリムなタマネギも「エシャロット」、
根ラッキョウという名前がつけられそう
になった若いラッキョウも「エシャロット」
と同名なのですから。
昔の名前は変えました
そこで本物の真似をしてつけられた
若いラッキョウの方の「エシャロット」は
「エシャレット」あるいは「エシャ」
と呼ぶようになったのだそうです。
というような経緯が尾を引いて
いまでも「エシャレット」を「エシャロット」
という名前で販売する店舗が後を絶ちません。
私が買ったお店もそうだったように。
そして、その結果として日本の多くの
消費者は今日の野菜「エシャレット」、
「エシャ」を「エシャロット」だと
思い込んでいるということなのです。
昔の名前でも出ています
農林水産省のサイトでは、昨年、2013年4月に
「エシャロット」と「エシャレット」の違いを
このように説明しています。
「若採りのらっきょうは、市場に出回り始めた
当初、「エシャロット」と呼ばれていました。
し かし、小型たまねぎの一種で、フランス料理
やイタリア料理に用いられる香味野菜「シャロット
(英名)」のフランス名が「エシャロット」で、
前者と混同されたことから、若採りのらっきょ
うの方は「エシャレット」や「エシャ」と、
小型たまねぎの方は「ベルギー・エシャロット」
と 呼ばれるようになりました。
したがって、両者は、全く別種の野菜です。
* (「農林水産省」)
最初がかんじんということですね。
一度、間違えて流布してしまうと
それを正すのは、本当に大変なものですから。
正しい表記で一本化して欲しい
ちょっとネットで「エシャロット」を検索
すると、混乱ぶりがよくわかりますよ。
「エシャレット」を「エシャロット」
と間違っている人。
あるいは知っているけれど、間違えている
人が多いことから両方表記してあるなど……。
明らかに間違っている人は仕方が
ありませんが、知っていながら2つ書く
という変な「気遣い」はせずに正しい
「エシャレット」に一本化してほしいものです。
検索して出て来たものをいくつか
読んでいるうちに、わけがわからなく
なって、混乱すること請け合いです(!)。
なぜ、全然別の名前にしなかったの?
ところで大きなお世話ではありますが、最初に
他の野菜の名前をつけてしまったということ
以外に、私にはもう一つ疑問があります。
最初に命名された時は「エシャロット」が日本に
入っていなかったので、わからなくもありません。
わからないのは、本当の「エシャロット」が
日本に登場するようになった時点で、若い
ラッキョウの呼び方を変えた時のことです。
なぜ「エシャレット」、「エシャ」などと
いう紛らわしい名前にしたのでしょうか?
今までの名前に似ていた方が、覚えやすい
からということなのかもしれませんが。
「エシャレット」などという、どっちだったけ?
となりそうな名前ではなく
「ラキョット」とか「アスラッキョウ」とか……。
(蛇足ながら、「アスラッキョウ」の名前の根拠は
「♬ 大きなヒノキに明日はなろう〜」
のラッキョウ版、明日はラッキョウという意味ね)
……、やっぱりダメ?