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イタリアが誇るブルーチーズの傑作
世界三大ブルーチーズの2回目の今日は
イタリアの「ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)」。
ゴルゴンゾーラの歴史はかなり古く、どのように
誕生したのかはわからないようですが
ロックフォールがロックフォール村で作られたように
ゴルゴンゾーラもゴルゴンゾーラ村で作られました。
ゴルゴンゾーラ村はイタリア・ロンバルディア州の
ミラノから20キロほど離れた場所にある村です。
疲れた牛のミルクから作ったチーズ
気候のよい春から夏の間、アルプス山地で放牧されて
いた牛たちが、厳しい冬を迎える前に平野部に移動
するのが常でしたが、その牛たちの移動の通過
地点となっていたのがゴルゴンゾーラ村でした。
10世紀頃、牛を休ませてもらうお礼として
牧夫は村人に牛乳を提供しました。
そうしてできた「ストラッキーノ・ディ・
ゴルゴンゾーラ(stracchino di Gorgonzola) 」が
村をチーズの産地として有名にしたのです。
「ストラッキーノ(Stracchino)」とは、ロンバル
ディア語で「疲れている」という意味ですが、
長い道中で疲れた牛たちのミルクで作ったチーズが
柔らかくておいしかったというのもおもしろいですね。
「ディ・ゴルゴンゾーラ」とつくのは、ゴルゴンゾーラ
以外の場所でもストラッキーノチーズを作っていたので
「ゴルゴンゾーラで作ったストラッキーノ」というわけ。
発祥の地としていくつかの町が名乗りを上げる
ある時、村のチーズ職人が恋にうつつを抜かして
仕事をさぼったことにより、結果的にブルーチーズ
が出来上がったというのは、ロックフォールと
同じような逸話といえましょう。
ゴルゴンゾーラ村はミラノに近いこともあり
住宅が多く建ち、都市化が進んだために
チーズ作りは周辺の町に移って行きました。
現在はゴルゴンゾーラは、ピエモンテ州(Regione
Piemonte)とロンバルティア州(Regione
Lombardia)の特定の地域で作られています。
次の地図では左の緑色の部分がピエモンテ州で、
右の赤い部分がロンバルティア州。
ゴルゴンゾーラ村は、ロンバルティア州
の中間あたりに位置します。
現在のゴルゴンゾーラ生産地
緑ーピエモンテ州 赤ーロンバルティア州
発祥の地ということからゴルゴンゾーラ村では
フェスティバルなどをしているようですが、
ゴルゴンゾーラ村以外にも、パストゥーロを
はじめとする、いくつかの町が発祥の地を
主張しているということです。
発祥の地に関しては正確なことはわかっていない
ようですが、現在の生産地については、1996年
6月12日、イタリアの原産地名称保護制度 (DOP
:Denominazione d´Origine Protetta )を取得して
いますので、法律的に生産地域が限定されています。
大理石模様は青カビの成長跡
牛乳から作ったチーズのもととなるカード(curd)に
青カビ(Penicillium glaucum)とカードと交互に重ねて
作るゴルゴンゾーラは、チーズの表面ではなく、内側から
筋状の青カビが走り断面は大理石のような模様になります。
青カビが熟成するためには空気が必要なため
熟成の1週間後からチーズに穴を開けて、青カビ
が外側に向かって均一に成長するようにします。
ゴルゴンゾーラの青カビの筋というのは
製造時の穴というわけですね。
ゴルゴンゾーラは、直径が30センチ、高さ20センチ、
重さは12キログラムの円筒形をしています。
1年中手に入れることは出来ますが、旬は11月から2月頃。
最高の健康食品
大理石と見紛うゴルゴンゾーラの青カビの筋
について、栄養士のニコーラ・ソレンティーノ
さんはこう説明しています。
「多くの人がきっと知らないと思いますが、
それは(青カビ)非常に消化に良いということです」と。
私には意外に思えましたが、ゴルゴンゾーラは他の
チーズに比べて脂肪分の割合は決して高くないそうです。
同じ量のトリもも肉や、子牛のフィレ肉よりも
コレステロール値も低く、野菜と組み合わせれば
メインディッシュにもなるとのこと。
またゴルゴンゾーラは、トリプル発酵を
行っているので、グルテンと乳酸が含まれず
乳糖不耐症の人でも大丈夫な上、
神経系の働きと免疫を助けるビタミンB2、B6、
B12を多く含まれる最高の健康食品だということです。
(「consorzio Gorgonzola、ゴルゴンゾーラ保護協会」)
ゴルゴンゾーラの皮は食べる? 食べない?
まだ同じサイトにはちょっと面白いこともでていました。
それはゴルゴンゾーラの皮は食べていいのか?、
いけないのか?、ということについて。
これは食べても残しても、お好きなように
と書いてあることが多いです。
ところがゴルゴンゾーラ保護協会の「公式発表(?)」
によりますと「食べないで下さい」ということのよう。
これに関しては、業界や消費者の間で長い間
意見が対立していて、昔から皮も食べたり
お料理の調味料として利用することもありました。
ですが現在、酪農業会においては外側の皮は、「チーズ
を保護するための容器」という扱いをしているようです。
熟成期間や輸送中に汚染されることは避けがたいので
容器である皮を取り除いた方が健康によいということ
ですが、まあそれはそうであろうと納得ですね。
「ピカンテ」と「ドルチェ」の2種類がある
ゴルゴンゾーラには、
青カビが多く熟成が長い、ぎゅっと締まった
辛みの強い「ピカンテ( piccante、イタリア語で
「辛い」の意味)と、
青カビが少なく熟成も短い、クリーミーで
ほんのりミルクの甘みが残る
「ドルチェ(dolce、イタリア語で「穏やか」の意味)」
の2種類があります。
楽しみ方は色々
ゴルゴンゾーラは、世界三大ブルーチーズの
中でも、一番マイルドともいわれています。
青カビをしっかと味わいたいという方には
勿論、ピカンテがお勧め。
ピカンテはそのままでも、あるいはリゾットや
ゴルゴンゾーラソースを作るなど、パスタやお料理
にも最適のチーズで、ブルーチーズの特徴として
熱を通すことにより刺激も和らぎます。
私としては超々意外に思えるのですが、長い間、
ドルチェの方がピカンテより圧倒的な人気だったそう!
それが最近ではピカンテの需要が急増
していると知り、こちらも納得。
ピカンテには、中程度の赤ワインや
甘口の白ワインが合うそうです。
ワインのことはよくわかりませんが、ドルチェには
ハチミツやジャム、ドライフルーツと一緒に
デザートのような感覚で頂くのは愉しいですね。