アイスチューリップ(早咲きチューリップ)の球根の作り方と育て方

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チューリップ「ベイビーアンジェリケ」

 

 

 

アイスチューリップ

チューリップといえば春をイメージするほど
春との結びつきが深い一方、まだ寒いお正月
の頃にも、お花屋さんで見かけますね。

 

本来、3月下旬から5月上旬が開花時期
のチューリップに低温処理をすることで
咲く時期を早めることができるのです。

 

このようなチューリップは、

早咲きチューリップ」
アイスチューリップ」
ミラクルチューリップ」

などと呼ばれています。

 

 

左「ブラックパロット」 右「ビンセント・ヴァン・ゴッホ」
左は花びら全体にフリンジ入り、右は花びらの先だけ
(写真/「花たちの四季」)

 

 

 

アイスチューリップの特徴

もともとチューリップは寒さに強いので
アイスチューリップが咲いている時に
雪が降っても大丈夫だそうです。

 

低温処理をしたものは、単に開花時期
を早めることができるだけではなく
成長のスピードが速いのも特徴です。

 

根が出るのも、葉が育つのも花が咲く
のも、全て低温処理をしないものに
比べるとスピードが速いのだとか。

 

また、寒い時期に咲きますのでお花が
長もちして、1か月ほど咲いていること
もあるといいますから、嬉しいですね。

 

 

八重咲きの華やかなこのチューリップの
名前は「ラ・ベルエポック」
う〜ん、名前にぴったりですね。

 

 

 

「低温(春化)処理」

チューリップは、花が終わってすぐ
の夏の時点で、球根の中にはすでに
つぼみができています。

 

そのつぼみが発育して、美しい花を
咲かせるためには、8度〜9度という
冬の寒さを経る必要があります。

 

夏から秋にかけてはそのような寒さに
出会うことはありませんので、その間
つぼみは発育が止まった状態です。

 

本当の冬が来る前に、8度〜9度という
寒さをチューリップの球根に体験
させるのが「低温処理」。

 

これらの工程を専門家が行ったアイス
チューリップの球根も販売されています
が、自分で作ることもできるそうです。

 

 

「スプリンググリーン」(ビリディフロラ系)
というチューリップ 京都府立植物園
(写真 /「RouxRil Culture」)

 

 

 

低温処理の仕方

1 夏から秋の間に、チューリップの球根を
 「
8度〜9度で13週間」冷蔵庫で保存します。

 

2 根が出る部分に傷をつけないように注意
 して扱い、球根を覆っている茶色の皮は
 剥いて植えるのが正解だそうです(私は
 知りませんでした!)。

 理由は、根が伸びるのに妨げとなるから
 で同じ球根でも、スイセンやヒヤシンス
 は剥く必要はナイトのこと。

 

3 植え付けは、
 寒冷地の場合は、球根一つ分位の深さ
 暖かい地方は、球根の半分ほどの深さに
 置いて、土をかぶせます。

 (土の温度は、浅い方が太陽光
  で暖かくなりやすいためです。
  といっても、こちらも諸説あり)

 

    寒冷地      暖かい地方

土 ________________
               
  球根    

 

4 低温処理をした球根は生育のスピード
 が速いので、水を充分に与えて下さい。
 植えた日は2〜3回、1週間は毎日、
 その後は2日に1回を目安に。

 もちろん露地植えも可能ですが
 鉢植えの場合は、10度〜15度が適温です。

 

5 その後、暖かいところで育てますと
 約12週間後に花が咲くということです。
 11月に植えると、花が咲くのは2月〜3月。

 

 

このチューリップ
「トライアンフ系ユリ咲」かも……

 

 

アイスチューリップに最も適しているのは
トライアンフ系(Triumph)ユリ咲き
トライアンフ系は最も品種数が多いもの。

 

低温処理の仕方、期間については色々な説
がありますが、ここでは植物学者の田中修
・甲南大学名誉教授の本を参考にしました。

 

例えば1の、8度〜9度にする期間の長さは
田中修教授の御本では「13週間」でしたが
短い人ですと「10日」という人もいます。

 

また「冷蔵庫2週間」の後に「冷凍庫4週間」、
その後、また「冷蔵庫で2週間」というよう
に、冷蔵庫から冷凍庫、その後また冷蔵庫
という方法など様々あるようです。

 

 

「白雪姫」(写真 /「富山県農業協同組合」)

 

 

 

発芽した鉢を冷蔵する方法

以上は、チューリップの球根に低温処理
をする方法でしたが、球根から少し発芽
させた状態のものを冷蔵保存する促成
栽培もあるようです。

 

発芽した球根の鉢ごと冷蔵保存できる
冷蔵庫があるということは、プロ仕様
ということでしょうか。

 

1 普通のチューリップと同じように
 9月下旬から11月にかけて球根を鉢に
 植えて、1か月ほど自然に育てます。
 この時、重要なことは根が十分鉢の
 中に広がっていること。

 

2 根が確認できたら、「マイナス2度〜
 マイナス5度」の冷凍庫で保管します。
 マイナス5度以下になりますと、球根
 が凍結しますので注意が必要です。

 

3 開花させたい日から10日前後をみて
 冷凍庫から出すと、チューリップの芽
 が急速に伸び驚く速さで花が咲くという
 ことです。

 

 

「春ウコン」の花

 

 

 

チューリップ

科   ユリ科(Liliales)
属   チューリップ属(Tulipa )
英名  tulip、garden tulip 、Didier’s tulip
和名  鬱金香(ウコンコウ)、ボタンユリ
中国名 郁金香( yu jin xiang)
学名   Tulipa gesneriana L.、Tulipa sp.

 

 

「秋ウコン」の花

 

 

和名の由来は、花の香りがスパイスの
「ウコン(鬱金)」に似ているから。

 

原産地は地中海沿岸から中央アジア。
トルコからオランダに伝わり17世紀には
品種改良が行われました。

 

現在も、オランダが世界一の産出国、
日本では富山県、新潟県が国内シェア
のほとんどを占めています。

 

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タンポポ、アサガオ、オジギソウの体内時計

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タンポポが朝、開くのは光か温度か?

以前の高校の生物の教科書には、タンポポ
の花が開いたり閉じたりすることに関して
「明るくなると開き、暗くなると閉じる」
と書かれていたそうです。

 

しかし実験をしてみますと、この記述
は正しくないことがわかりました。
(江南大学理工学部・田中修教授)

 

タンポポは朝、光があたるだけで開花
することもありますが、気温が高く
なると開く日もあるのだそうです。

 

タンポポの花は朝の「光」によって開く
のか、あるいは朝になって上昇した
「温度」によるものなのでしょうか?

 

 

 

 

 

前の晩の気温によって異なる

タンポポの開花は、前の晩の
気温で決まるということです。

 

夜、気温条件があてはまる場合、翌朝は
明るくなるとタンポポはすぐ開花します。

 

反対に、夜の気温条件が当てはまらない
場合は、翌朝の気温が上がらないと
タンポポは開花しません。

 

 

 

 

 

前の晩の気温の基準、境となる温度

西洋タンポポーーーー13度

 

シロバナタンポポーー18度
カンサイタンポポ    〃

 

また、夕方になるとタンポポの花は
閉じますが、これも暗くなるから
という理由ではないということです。

 

 

 

 

 

開いて10時間後に閉じる

開花後に、ずっと明るい部屋に置き
続けたとしても、約10時間経つと
タンポポの花は閉じます。

 

開花は、前の晩の温度が影響していますが
閉じる方は温度や明るさとは関係がなく
開花して約10時間経過すると閉じるのです。

 

なお、夕方というのは「日の入り前後」と
いう意味ですが、気象庁用語としては
15時頃から18時頃をさします。

 

 

 

 

 

アサガオは?

それでは朝開く、というより朝しか
開かないアサガオについてはどうでしょう?

 

アサガオは、朝の明るさや、タンポポ
のように夜の気温条件によって開く
ということではないようです。

 

なぜなら、真夏ですとアサガオは、朝
明るくなる頃に開きますが、秋では
まだ暗い朝方にも開くからです。

 

アサガオのつぼみは、
「夕方暗くなると刺激を感じて、
その約10時間後に開く」
ということです。

 

 

 

 

 

暗くなった10時間後に開く

夕方暗くなるとアサガオは、暗く
なったことを感じてカウントを始め
10時間ほど経った時に開くのです。

 

その10時間後は、真夏では翌朝明るくなり
初める時刻と重なりますが、秋は釣瓶落とし
といわれるように夕暮れが早く訪れます。

 

その後、10時間経った頃はまだ
空は暗いということなのです。

 

 

 

 

 

植物のもつ「体内時計」

タンポポは
* 前夜の気温条件により
* 朝、開いてから10時間後に閉じて、

 

アサガオは
* 暗くなったという刺激を感じて
* 夕方閉じ、10時間後に開きます。

 

植物は、エネルギーを光合成によって確保
していますから、太陽のリズムに合わせる
システムをはるか昔から作り上げていました。

 

ということで、タンポポもアサガオも
「生物時計(体内時計)」と呼ばれる
不思議な仕組みをもっているのですね。

 

 

 

 

 

「体内時計」発見のきっかけはオジギソウ

1729年、フランスで、ド・メランという
科学者がオジギソウの実験を行いました。

 

朝になると葉を開き、夜になると閉じる
オジギソウは、何によって朝と夜を知る
のだろうと不思議に思ったのです。

 

最初、彼は真っ暗闇の洞窟の中
だったら、葉は運動しないの
ではないか、と考えました。

 

しかし、真っ暗闇の洞窟の中でも
オジギソウは太陽が昇る時刻になると葉を
開き、沈む時刻には葉を閉じたのです。

 

 

「カタバミ」も葉の就眠運動をします

 

 

そこで、ド・メランは考えました。
洞窟は暗闇ではあるけれど、温度変化が
あるので昼と夜がわかるのかもしれない。

 

そこで今度は、洞窟の中で夜はストーブ
で温度を上げて見ましたが、結果は同じ。

 

葉の就眠運動は、それぞれの植物がもって
いる生物時計(生命時計・体内時計)に
よるものとわかったのです。

 

 

 

 

 

体内時計(概日時計)

約24時間の周期を作り出す体内時計
は、遺伝子に組み込まれたシステムで
地球上の多くの生物に存在しています。

 

植物は、体内時計の働きによって、1日の
うちの最もふさわしい時間に生理現象が
起きるよう誘導しているのです。

 

例えば、突然の日光は活性酸素の
発生の原因となり、有害ですので
植物は活性酸素種を取り除く分子を
既に日の出前から合成し始めています。

 

反対に日没後の気温低下のための準備等、
時刻の変化によって生ずる外部刺激に対し
て、植物は事前に準備をしているのです。

 

体内時計は、時計に関する複数の遺伝子間
で相互に制御しているということですが
詳しいことはまだわかっていないそうです。

 

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チューリップの花びらは開閉を繰り返すうちに2倍になっている

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

八重咲きチューリップ「ベイビーアンジェリケ」

 

 

つぼみが開くための「刺激」

チューリップは、つぼみが開き始めてから
枯れるまで「朝に開いて夕方に閉じる」と
いう開閉運動を約10日間するそうです。

 

普通、つぼみというのは、大きくなった
ら自然に開く、と思いがちなもの。

 

ところが、多くの植物のつぼみが開く
ためには、そのための刺激として「温度」
や「明るさ」の変化が必要だそうです。

 

チューリップの開閉運動は、典型的な
温度に対する反応で朝、気温が上がると
開き、夕方気温が下がると閉じます。

 

この操作、部屋の中の温度を上げたり下げ
たりを意識的にすると、チューリップの花
を咲かせたり閉じさせたりが出来るのです。

 

 

これはオランダのロイヤル・デルフト
のチューリップ用の花瓶
こんな風に1本、1本活けるのですね

 

 

 

閉じたり、開いたり=「傾性運動」

植物の花弁や葉が開いたり、
閉じたりする運動のことを
「傾性(けいせい)運動」と呼びます。

 

傾性運動が起こる原因は
チューリップのように温度が
関係しているといわれます。

 

いくつかの実験では、光は関係して
いないという結論も出ているよう
ですが、これはちょっと意外ですね。

 

 

オランダのティヒラー社の花瓶
ロイヤル・デルフトのものとは
違いますが、やはり1輪ずつ
入れるようにできています

 

 

 

なぜ温度の上下で傾性運動が起こるのか?

花びら(花弁)には表と裏がありますが
閉じている時に気温が上昇すると花びらで
包まれた内側の温度は外気より高くなります。

 

一定の温度内では、温度が高い方が成長が
速くなるため、気温の高い内側の方が成長
して花びらが開くことになるのです。

 

そして気温が下がった時は、内側は直接に
影響を受けやすいため、外側の表皮よりも
成長速度が低下し、花びらを閉じます。

 

このように多くの花の開閉は、花びらの
表と裏の成長差によって起こります。

 

 

 

 

 

1953年  イギリスのウッドの実験

1枚のチューリップの花びらを、外側
と内側の2層に剥ぎ分けて水に浮かべ
水温を変化させてみました。

 

水温を上げると、
花びらの内側が伸び 外側は伸びない

 

水温を下げると、
花びらの内側は伸び 外側が伸びない

 

ということは、気温が上がると、花びら
の内側が伸びるのに外側は伸びないため
花びらは反り返って開くことになります。

 

反対に、気温が下がると、花びらは外側に
伸びるのに内側には伸びないので、外側へ
の反りがなくなって花が閉じるのです。

 

 

「チューリップ(スプリンググリーン)」

 

 

 

10日間で2倍にもなるチューリップ

花びらが開く時には内側が伸び、閉じる時
には外側が伸びる、という開閉を繰り返す
うちに花は大きくなっていきます。

 

チューリップは約10日間咲いていますので
開き始めた初日と比べると、なんと2倍も
大きくなっているということです。

 

まさか2倍にまでなっているとは
考えたこともありませんでした
ので私は結構、驚きました。

 

ぼ〜っと生きているせいでしょうか?
あまり実感がないのですが今度、機会が
あったらしっかり観察したいと思います。

 

 

チューリップ
左「ブラックパロット」
右「ビンセント・バン・ゴッホ」

 

 

 

様々な「傾性」

チューリップの花は、開いたり閉じたりと
いう傾性運動を温度によって行う「温度傾性」
の植物ですが、傾性運動は温度以外の刺激に
よっても生じます。

 

タンポポの花は、日が昇ると開く「光傾性」で
オジギソウの葉っぱは、触れると閉じて下垂
(お辞儀をする)をする「接触傾性」です。

 

このオジギソウの葉っぱの下垂(お辞儀)は
「膨圧(ぼうあつ)運動」という反応です。

 

葉の付け根にある「葉枕(ようちん)」と
呼ばれるふくらんだ部分の細胞の膨圧が
変化することによって葉が下垂します。

 

葉枕の下部の細胞から、上部の細胞にカリ
ウムイオンが移動し、それによって水が
下部から上部へ移動することにより、
上側の細胞が膨らみ、下側がしぼむこと
によって葉が下垂するのだとか。
(わかった? 私は……わからない)

 

このように細胞の浸透圧の変化と、それ
にともなる膨圧変化により起こる運動を
「膨圧運動」というのだそうです。

 

 

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