花びらに見えるけど実は「葉」や「萼」という植物

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完全花

美しく咲いている花々、きれいな花びら
と思っているものが、実は花びらではない
ということが意外に多くあるようです。

 

花は内側から、

「めしべ(雌蕊・しずい)」
「おしべ(雄蕊・ゆうずい)」
「花びら(花弁)」
「がく(萼)」

 

の4つがそろって完全花といいます。

 

植物によっては、この他に
「苞(ほう)」
というものもあります。

 

 

 

 

 

苞「ほう」「つと」

植物の部分を指す「苞」という字は「ほう」
と読みますが、植物の部分以外で使う
読み方に「つと」というものがあります。

 

「つと」とは、ワラ(藁)などを束ねて
中に食品を入れて包みとしたもので
おみやげものにしたりします。

 

藁苞(わらづと)といえば
納豆がすぐ思い浮かびますね。

 

 

ツユクサも開く前のつぼみは
緑色の「苞(ほう)」に包まれています

 

 

「苞」を「つと」と呼んだ場合のことを
考えてみますと、植物の部分を指す「苞
(ほう)」の形状や役目も推測されます。

 

つまり苞(苞葉)とは、植物の芽や
つぼみを優しく包んでいる小型の
葉っぱで、葉が変化したものです。

 

色は、葉のような緑色をしたものや
鱗片状で褐色のもの、また花びらの
ように美しい色の苞もあります。

 

 

「ハナミズキ」麻布十番

 

 

 

「苞」が花びらのように見える花

上の写真は赤いハナミズキですが、花びら
のように見えているのは、実は「苞」で
花は、真ん中にある黄色い部分です。

 

 

 めしべ おしべ 花びら がく 
          ↑    (ほう
          ↑____________|
          のように見える

 

 

このように苞が花びらに見える植物と
しては、次のようなものがあります。

 

苞が花びらのように見える花

同じハナミズキ科のヤマボウシ、
カラー、ブーゲンビリア、ミズバショウ、
ポインセチア、アンスリウムなど。

 

 

「ツユクサ」赤坂「青野」

 

 

 

「萼(がく)」が花びらのように見える花

〜オシロイバナ〜

最初にお話しした完全花といわれる
めしべ・おしべ・花びら・がく
の「がく」の部分が、一見花びらに
見える花もあります。

 

 

 めしべ おしべ 花びら  
          ↑  (がく
          ↑________|
          のように見える

 

 

オシロイバナもその一つで、明らかに
花びら(!)と見えるものが、なんと
「萼(がく)」なのだそうです。

 

 

「オシロイバナ」
花びらに見えるのは「萼(ガク)」
萼(ガク)のように見えるのは「苞(ホウ)」

 

 

この写真でいいますとフューシャ
ピンク色の部分が「萼(がく)」で、

 

その付け根に見える緑色の、一見
萼(ガク)のように見えるものが
「苞(ほう)」です。

 

オシロイバナ科オシロイバナ属の
オシロイバナは、午後3〜4時頃に
咲き、翌朝にはしぼんでしまいます。

 

小学生の時の花壇に咲いていましたが
そうだったでしょうか?、全く記憶が
ありません。

 

タネを潰すと白い粉が出てきて
それでオシロイバナという名前だ
と聞いたことは覚えていますが。

 

 

 

〜アジサイ〜

アジサイも花びらのように思えるものが
「萼(がく)」という花で、真ん中に
ぷちぷちと見えるのが本当の花です。

 

 

「アジサイ」

 

 

このくらいアップした写真ですと
よくわかりますね。

 

 

* めしべ おしべ 花びら  
          ↑  (がく
          ↑________|
         のように見える

 

 

ちっちゃいけれど、ちゃんと
花びらがあります。

 

「萼(ガク)」が花びらに見える花

キンポウゲ科のアネモネ、クレマチス、
ラナンキュラス、デルフィニウム、
キンポウゲ、シュウメイギク
等があります。

 

 

 

「チューリップ」花びらに見える
6枚のうちの3枚は「萼(ガク)」

 

 

〜チューリップ〜

チューリップはちょっと見たところ
萼(ガク)がないお花に見えますね。

 

ですが、花びらのように見えるもの6枚
のうち、外側の半分の3枚は萼(がく)
なのだそう。

 

このように
花びらと萼(がく)がともに
花びらのように見える花

ヒガンバナ、クロッカス、アヤメ、
ハナショウブ、ラン

 

 

「白雪姫」という名のチューリップ
真ん中の3枚が花びらで、外の3枚が萼(がく)

 

 

そういえば、チューリップのつぼみが
まだ固い頃は、どのようなお花の色
であっても黄緑色系です。

 

それはつまり萼(がく)本来の色であり
花びらが開く頃には、花と同じ色に変化
して花びらの役目をするのですね。

 

 

* めしべ おしべ 花びら  
          ↑  (がく
          ⇦⇦⇦⇦
          のように見える

 

 

こちらのチューリップ「スプリンググリーン」
は「萼(ガク)」の黄緑色が残っていますね

 

 

また、八重咲きチューリップは
おしべが花弁化したものだそう
(私には少々理解ができませんが)。

 

花びらに見えるものが「萼(がく)」
と「おしべ」とは、チューリップって
結構おもしろい花なのですね。

 

 

八重咲きチューリップの
「ベイビーアンジェリケ」
この花びらが「おしべ」が変化したものとは……

 

 

 

ドクダミはどっちかな?

実は、ドクダミも以前は花びらのよう
に見えるものが、実は萼(ガク)と
いう仲間に入っていました。

 

ところが現在は、花びらのように白く
見えるものは「苞」(「あるいは葉」)
ではないかという疑問が呈されています。

 

中心に小さい花が集まった棒状の「花序」
の一番下にある花が、例外的に花びらに
発達しだという解釈もあるとのことです。
(塚谷 裕一東京大学大学院教授)

 

 

「ドクダミ」

 

 

 めしべ おしべ 花びら   or   ?
             (がく)(ほう
          ↑________|   |
          ↑_________________|
          のように見える

 

 

このように「萼(がく)」や「苞(ほう)」
が花びらに見える植物は、いずれも花が
目立たない地味なものです。

 

そのため、虫を誘うために萼(がく)や
苞(ほう)が、がんばって(?)花びら
のように見せているようです。

 

 

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「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」瀧瓢水

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「手に取るな  やはり野に置け  蓮華草」

少し前に「レンゲ」を御紹介した時に
この句をのせましたが、これは播磨
(兵庫県)の俳人、瀧瓢水の句です。

 

「滝野瓢水(たきのひょうすい)」と
書かれることが多いようですが、これ
は誤りで「瀧瓢水(たきひょうすい)」
が正しいそうです。

 

「蓮華草は野に咲くから美しく見えるので
あって、それを積んで家の中に飾っても
調和せず美しく見えないことから、播磨
の俳人瀧瓢水が遊女を身請けしようと
した友人を諌めた句。
自然の中で咲く蓮華草が美しいのと同じ
ように遊女は色町にいてこそ美しく見える」

 

との意味だそうですが、知りませんでした。
のんびりした素朴な句だと思っていたの
ですが、遊女の身請けをとめる句だった
のですね。

 

「此の里に  来らざるこそ  粋なるべし」
との花魁の発句に応えたものだとか。

 

教えていただいたのは「レファレンス
共同データベース」で、提供館は
「私立牛久中央図書館」です。

 

 

 

 

 

この【例文】は正しいのでしょうか?

その記載のなかに事典等の書籍ではなくネット
上の「故事ことわざ辞典」が紹介されていた
のですが、少々気になることがありました。

 

「やはり野におけ蓮華草」の
【類義】として「花は山人は里」
とあり、これはふむふむと納得ですが
気になったのは【例文】の方。

 

「やはり野に置け蓮華草で、金になるからと
いって無理をして違う業種に手を出してみて
も、まったく自分の能力が発揮できなかった」

 

と記載されているのですが、これは
例文として適しているでしょうか?
(2020年6月16日現在)

 

 

 

 

勿論、私は国語の専門家ではありま
せんが、この使い方にはすっきりと
しないすわりの悪さを感じます。

 

少々、無理やり例文を考えてみました感
も否めないような気もするのですよね、
この事例、

 

「金になるからといって無理をして
違う業種に手を出してみても、まったく
自分の能力が発揮できなかった」

 

でしたら「餅屋は餅屋」の方が
ふさわしいような気もします。

 

残念んがら私には適した例文
が思い浮かびませんが。

 

 

 

 

 

また、蓮華に戻りまして……

瀧瓢水がこの蓮華の句を詠んだ気持ちは、

 

「蓮華(遊女)は、野に咲いている(自分
のものではない)から美しいので、自分の
ものにしてはその美しさは失われてしまう」

 

はまことにもっともで、どこからも
反対意見は出なそうな正論です。

 

ですがこの出来事、私には森鴎外の
『舞姫』の最後の文を思い出させもします。

 

「ああ、相沢謙吉がごとき良友は
世にまた得がたるべし。
されどわが脳裏に一点の彼を憎む
心今日まで残りけり。」
        森鴎外『舞姫』

 

 

 

 

『舞姫』では別れさせたのが友人の
相沢謙吉であり、「蓮華草」の句では
瓢水が身請けを止めた方という違いは
ありますが。

 

_____________________________________________________________
         (とめた人)
作者・鴎外ーエリス  友人・ 相沢謙吉

(とめた人)
作者・瓢水      友人ー遊女

 

 

蓮華草を手に取ることのなかった
瓢水の御友人は後になって、このことを
どのように回想していたのでしょう。

 

 

 

 

最後に、森鴎外の蓮華(ゲンゲ)
の句を御紹介します。

 

「うらゝかや  げんげ菜の花  笠の人」

 

 

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アカツメクサ・ムラサキツメクサ(赤詰草・紫詰草)

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アカツメクサ(赤詰草)

学名  Trifolium pratense
   (トリフォリウム・プラテンス)

別名   「紫詰草(ムラサキツメクサ)」

英名  レッドクローバー(Red  Clover)

科名  豆科

属名  シャジクソウ属

花期  5月〜8月

原産地 地中海沿岸〜西アジア

国花  デンマーク

 

 

アカツメクサは、シロツメクサ同様
ヨーロッパ原産で花の色以外はシロ
ツメクサ(クローバー)に似ています。

 

学名の、「Trifolium pratense
(トリフォリウム・プラテンス)」は
「Trifolium 」は「シャジクソウ属」、
「pratense」は「草原生の」の意味。

 

明治時代にオランダからの荷物に詰め物として
使われたことや、牧草として日本に広がった
ことなど、ほとんどシロツメクサと同じです。

 

ただ、シロツメクサの方がアカツメクサより
踏まれ強いようで、そのためかどうかはわか
りませんが、アカツメクサの方が背が高いよう。

 

 

 

 

 

白い花の「アカツメクサ」もある?

また、ややこしいことに、アカツメクサ
の白花品種もあるようで、学名は
「Trifolium pratense f. albiflorum」。

 

「シロバナアカツメクサ(白花赤詰草)」
「セッカツメクサ(雪花詰草)」
といいます。

 

アカツメクサは、害虫を駆除する働き
があるということで、キャベツのそば
に植えるのがオススメだとか。

 

 

 

 

 

5000年前の古代ローマでは薬用として活躍

アカツメクサの花を乾燥させた
ハーブティーは、大豆より多く
のイソフラボンを含みます。

 

ということは、女性ホルモンに似た成分
が含まれているので、妊娠中や授乳中
の人には注意が必要でもあります。

 

それ以外の効能としては抗菌、去痰、
抗炎症、利尿作用などがあり、更年期障害
や喘息、気管支炎などにもよいよう。

 

アカツメクサの薬効はすでに5000年前
から有名だったようで、古代ローマでは
消炎剤として使われていたといいます。

 

かつてヨーロッパでは、乳がん治療
にアカツメクサの濃縮液を患部に
塗るということもされたとか。

 

腫瘍が体の外に向けて成長し、体外から
腫瘍を取り除くことができるということ
ですが、本当ならすごいですよね。

 

でも現在はそのようなことは聞きません
ので、効果のほどはわかりませんが。

 

 

 

 

 

「レンゲ」「シロツメクサ」「アカツメクサ」の違い

 

1 葉のつき方

「レンゲ」「シロツメクサ」は
長い茎の先に花がつき

 

「アカツメクサ」は、葉のすぐ上に咲く

 

 

レンゲ  シロツメクサ  アカツメクサ

*             
             |葉っぱ
             
             
 
葉っぱ   |葉っぱ       

 

 

 

2 葉の形状

「レンゲ」三つ葉ではなく左右対称に葉がつき

 

「シロツメクサ」は、丸っぽい三つ葉

 

「アカツメクサ」は、先が少しとんがって
いて三角形に近い形の三つ葉

 

 

 レンゲ  シロツメクサ  アカツメクサ

  
 葉|葉     葉      葉
 葉|葉    葉|葉    葉|葉
 葉|葉     |      |
 葉|葉     |      |

 

 


レンゲ

シロツメクサ(上)とアカツメクサ(下)

 

アカツメクサ(写真/「山野の花」)

 

 

 

3 白軟毛のあるなし

葉の形が異なることだけではなく
上の写真のように、アカツメクサ
の茎には白軟毛があります。

 

このような軟毛はレンゲにもあると
いうことですが、シロツメクサには
ありません。

 

        白軟毛
___________________

*  レンゲ      ◯

シロツメクサ    ×

アカツメクサ      ◯

 

 

 

アカツメクサは1つの花序に花が多い

レンゲ、シロツメクサ、アカツメクサの
3つの花は、同じように小さな花が集まり
球体の「花序」を形作っているお花です。

 

花序とは、茎への花のつき方や
並び方のことです。

 

アカツメクサ、シロツメクサ、レンゲの
場合は、私たちが1つの花と呼んでいる
ものは小さな花がいくつか集まって
球体になった花序を指しています。

 

 

シロツメクサ(上)とレンゲ(下)

 

 

 

シロツメクサとアカツメクサはその
球体全体に小さな花が密集していますが
レンゲは上の写真のように少なめです。
1つ1つの(本来の)花が見やすいですね。

 

ですので、1つの球体を形作って
いるそれぞれの花の数は、

 

レンゲ   <  シロツメクサ   <  アカツメクサ

 

のように思えます。

 

アカツメクサの1つの球体の花序
には、小さな本来の花が、30〜100
ほど集まっているということです。

 

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