「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!
全国各地のスギ
屋久島 屋久杉
世界遺産にもなっている屋久島の
宮之浦岳など標高、500〜1000mを
超える山地に自生するのが屋久杉です。
1000年を超すものを「屋久杉」、
若い屋久杉を「小杉」と呼びます。
スギは五百年余りが平均的な寿命
といわれていますが、屋久杉には
2千年を超す巨木もみられます。
屋久島の「縄文杉」(写真/「屋久島」)
新鮮な水には恵まれていても
栄養が乏しい花崗岩の産地に
育つため、成長が遅い屋久杉。
ゆっくり育つ屋久杉は材質が緻密
で樹脂分が多く、腐りにくいので
長生きをすると考えられています。
通常の5〜6倍、多いものですと
20倍もの樹脂が含まれています。
そのため抗菌力が強く、シロアリ
を寄せつけないなどの防虫効果も
高く、また防腐作用にも優れます。
台風で倒れても、腐らずに残って
いる屋久杉は、「木材の宝石」と
呼ばれているそうですよ。
現在は伐採されていないため屋久杉
のアロマオイルは、希少価値が高く
しかも1トン当たり、約0.2〜0.4%
とごく少量しか採取できません。
屋久島スギの精油は、木の香りの
複合的な香気をもたらすセスキテル
パン類を豊富に含みます。
スギといえば、爽やかなスーッと
した香りをイメージしますが
屋久杉は甘い香りだそうです。
阿蘇 小国杉
熊本県小国町は、250年前から
「ヤグクグリ」と「アヤスギ」という
2品種の小国杉を育ててきました。
小国杉で作った机を使用していると
風邪をひきにくくなる、といわれて
います。
小国杉精油には、ニキビやアトピーの
原因になる黄色ブドウ球菌への抗菌
効果が認められ、緊張や不安を低下
させ、リラックス効果があることが
九州大学の研究で立証されました。
吉野杉
日本最古の人工林、川上村で育った
樹齢100年のスギやヒノキの精油は菌が
増えにくく、カビが生えにくいことが
専門機関に依頼をしてわかりました。
調査をしたのは、
1 カビ
2 大腸菌
3 ダニ
4 インフルエンザウイルス
5 紫外線
の5項目。
吉野林業地域で育った樹齢100年のスギ・
ヒノキ材と、他県産の樹齢30〜40年の
スギ・ヒノキ材を、それぞれ板、木粉、
精油に加工して、カビや細菌の生育、
抑制状況を比較しました。
その結果、精油を混ぜた寒天培地に
カビを植えつけると、吉野スギは
7日間、カビの生育を完全に阻止しま
したが他県産のスギ材ではカビが生育。
ヒノキ材に関しては、吉野県産、他県産
ともにわずかにカビが生育したとのこと。
また、大腸菌も吉野杉のみが
生育を完全に阻止しました。
私が一番驚いたのは、ダニの
カーペットへの侵入率です。
一般的なカーペットでは、96%の侵入率
ですが、吉野スギ、ヒノキ精油を含んだ
濾紙では0%になったというのです。
また、紫外線に関してはいずれの木の板
材もほぼ完全にシャットアウトしました。
インフルエンザウイルスに木粉を混ぜた
実験では、スギよりはヒノキの方が感染
力を弱める効果が高いということです。
実験に携わった京都大学の
金山公三教授(木材利用学)は、
「研究が進んで奈良の木のメカニズム
が解明されれば、将来的には『健康に
いい木』の育て方にも踏み込めるだろう」
と話していらっしゃいます。
県は、「県産のスギやヒノキ材を建物の
内装やまな板などに使うと、アレルギー
疾患や食中毒を抑えられる可能性がある」、
と期待していますが、なぜ奈良の木に優
れた効果があるかは不明で、県は今後さら
に比較実験を行うということです。
ただ素人の私としては、今回の実験に使っ
た奈良の木は樹齢100年で、他県は30〜40
年だったということは、全く関係がないの
だろうかという疑問も浮かびました。
飛騨杉
岐阜県の飛騨高山は、日本列島の
ほぼ中央に位置し、飛騨地域一帯
で生息するスギは20haと日本一の
面積を誇ります。
飛騨杉には、従来のものよりも抽出効率
が高い、独特の蒸留方法が開発されて
特許も取得しているそうです。
大きく育ったスギを伐採し、切り倒した
スギをその場で木材と枝葉に分け、木材
部分は家具などに、枝葉は細かく刻まれ
てオイル抽出に活用されるのです。
木材圧縮技術を活かした高圧水蒸気蒸留
(HPS)法といわれるもので、通常の製
法では得ることのできない貴重な成分が
含まれています。(「HIDA 飛騨産業・
きつつきの森研究所」)
この精油は、東京ミッドタウンにある
「HIDA」でも購入することができます。
飛騨杉精油(写真/「HIDA」)
秋田杉
雄物川流域を中心として、森林地帯
に生息する天然秋田杉は、伐採して
育てたものではなく成長が緩やかな
ため希少種として保護されています。
日本三大美林の一つで、標準的な樹齢
は200〜250年といわれています。
天然秋田杉は、年齢幅が揃って木目が
細かく強度にも優れ、狂いも少ないこ
とから、住宅用の建築材として利用さ
れてきました。
特に美しい柾目を持つ秋田杉建材は
高級内装材として、天井板等に使用
されています。
また、「曲げわっぱ」や「桶」「樽」
などの伝統工芸品としても有名。
ただ、東北森林管理局のサイトには
以下のような文章がありました。
「天然秋田杉の供給は、平成24年度
をもって終了しました。
現在は、高齢級人工林の秋田スギの
計画的な供給に努めてまいります。」
ということは、これからは天然秋田杉
は供給されないということなのですね。
ちょっと残念な気も。
天然秋田杉と人工秋田杉の違いですが
人工の場合は行う枝打ちや間伐(樹木
の生育を促すために間引く伐採のこと)
をしないため、成長が遅く年輪の幅が
狭いことが結果として強度に優れてい
るということです。
「伐採をしないために成長が遅く」まで
を読んでいると悪いことのように思えて
しまいますが、実際は逆で丹念にじっく
り育った木なのですね。
日本一高いスギの木 樹高58m 秋田県能代市
(写真/「ウエルカムのしろ.com」)
日本一高いスギの木
こちらは日本一高いスギの木で、
直径164cm、高さは58m、推定樹齢は
250年、能代市二ツ井町にあります。
日本一高いスギとして古くから有名
だったのかといえばさにあらず。
国内各地で高いといわれているスギを
1995〜1996年に実測した際、どれも50m
ほどだったことから晴れて日本一を宣言。
材積(という言葉は、今回初めて知りまし
たが)40mのこの木一本で、55坪の家を
建てることができるのだそうです。
そしてその推定価格は、数千万円とのこと
ですが、たとえお金を出しても買うことは
できないでしょうね。
秋田杉の精油は、寒冷地で育った
スギならではの、すがすがしい
香りが特徴です。
ヒノキやヒバのような、目の覚める
香りとは異なって、主張しすぎない
穏やかな香り。
秋田杉の精油には、精神を落ち着かせる
リラックス効果や抗菌作用、ダニの繁殖
抑制などの効果があるということです。