「日本を愛し、日本人より日本人らしく生きた青い目の版画家」クリフトン・カーフ

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「赤坂  金龍」とクリフトン・カーフ

諸事情から一度は閉店した赤坂の「料亭金龍」が
日本の伝統文化発信の「赤坂  金龍」として再出発を
するきっかけの一つとなったのは今日、御紹介する
クリフトン・カーフさんの影響だったということです。

 

彼の作品はどのようなものだろうと
検索をしてみて驚きました。

 

かなり前のことですが、彼の作品をカード
(だったか正確には忘れましたが)にした何点かを
友人から頂いたことがあったからです。

 

建物や路地、お茶室の中など、日本の美しい
風景を版画にした作者を、私は当然のように
日本人だと思い込んでいました。

 

その作者が「赤坂  金龍」と御縁のあった
版画家だったとは……。

 

 

 

料亭金龍」は2009年、「赤坂  金龍」として再出発

 

 

 

1955年に再来日

フィンランドに生まれ、後にアメリカに移住した
祖父母を持つクリフトン・カーフ( Clifton  Karhu)は
1927年にアメリカのミネソタ州ダールズで誕生しました。

 

彼が初めて日本を訪れたのは1946年、18歳の時のこと。
最初は、なんと軍人として長崎県の佐世保にいらした
そうですが、軍人といっても任務は、軍隊付きの画家。

 

家族の全てが絵を描くという環境で育った
クリフトン・カーフはその時すでに、日本の文化や
町並みに興味をもち、帰国後の1950年〜1952年
には、ミネアポリス美術学校に通います。

 

 

 

「桂離宮と月」クリフトン・カーフ

 

 

 

京都から金沢に

卒業後、23歳だった1955年に再来日し
最初は滋賀県に、そののち京都に移ります。
初めての個展が大成功を収めたのは1961年、
34歳の時でした。

 

それからは国内はもとより、香港、オーストラリア、
ヨーロッパ、アメリカで個展を次々に開催し、版画集
(「カーフ画集」「京都再見」「京都発見」)を刊行。

 

59歳になった1986年からは、生まれ故郷のアメリカ、
ミネソタ州で、2年後には当時拠点であった京都で
またその2年後には、彼のルーツともいうべき
フィンランドで、それぞれ回顧展を開催しています。

 

 

クリフトン・カーフさんと、愛猫・マイト君

 

 

京都のアトリエ兼住居を1995年、
68歳の時に金沢に移します。

 

九谷焼きの仕事で訪れた際に金沢に魅かれ
何度か通ったのちに購入した家は、内外装とも
金沢の茶屋文化の伝統的な様式に整えました。

 

金沢に移ってからも版画集を刊行し、フィンランド、
スウェーデン、アメリカでの個展を開催していた
クリフトン・カーフは、今から10年前の
2007年3月24日、80歳で永眠。

 

このようにみていきますと、「赤坂  金龍」との
繋がりはどのあたりに位置するのでしょうか?
できることならば、秋葉佳宣さんに
伺ってみたいところです。

 

 

秋葉佳宣さん「赤坂  金龍」
(写真/「『WELCOM港区』vol.630」)

 

 

 

うさぎがお出迎え「カーフこれくしょん」

金沢の浅野川沿いの主計町(かづえまち)にあった
彼の自宅兼アトリエだった茶屋を改装した建物は
現在クリフトン・カーフ作品の展示、販売
をするギャラリーになっています。

 

「 Yanis   Art  japan   ltd.(株式会社
ヤニスアート・ジャパン)」
(代表取締役 香川寿幸
〒920-0908 石川県金沢市主計町3-19
Tel.076-255-3928(代)   Fax.076-255-3926
メールアドレス         info@cw-karhu.jp)

 

金沢に移ってからもカーフは、国内はもとより
香港、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカで
個展を次々に開催し、版画集(「カーフ画集」
「京都再見」「京都発見」)を刊行。

 

会社名についている「ヤニス(Yanis)」とは
フィンランド語で「うさぎ」という意味だそうです。
カーフさんも社長さんも、卯年生まれだからとのこと。

 

 

(写真/「金沢主計町茶屋街『かーふコレクション』 」)

 

 

というわけで、ギャラリーの格子戸には
うさぎさんがいっぱい。

 

写真はギャラリーの内側から見たものですが外は
ボタン雪が降っていて、カーフさんの版画のようですね。

 

 

 

水に映る風景を版画に

クリフトン・カーフは、雨上がりの
茶屋街を好んだといいます。
雨に濡れた道路に映った電線を見ていると
一瞬、版画であるのを忘れてしまうほど。

 

 

クリフトン・カーフが雨上がりの友人宅を書いた版画
(写真/「カーフこれくしょん」)

 

 

奥の蛇の目傘が、道に溜まった雨におぼろげに映り
ちょっと強めの風に煽られた暖簾が翻っている雨上がり。
がっしりとした黒の直線に添えられた
嫋やかな曲線が美しい。

 

数十年前にクリフトン・カーフの作品をプレゼント
してくれた友人に、見せてあげたい版画です。
ちなみにこちらはクリフトン・カーフ
の金沢の友人宅だそう。

 

次の写真は、3年前の赤坂サカスの「ホワイトサカス」
の様子ですが、間に水が入ることにより
風景は不思議な美しさに彩られます。

 

 

並べてごめんなさい、こちらは雨の赤坂サカスの写真

 

 

 

洒脱な筆使いの墨絵

クリフトン・カーフといえば、このような京都や金沢の
町並みや、「桂離宮と月」のような版画が最も有名だと
思われますが実は私は、カーフさんの墨絵が大々好きです。

 

 

クリフトン・カーフの版画「桂離宮と月」

 

 

大胆で生き生きとした自由な筆づかいが
生み出す線を見ていると、楽しくて、嬉しくて。
何もこわいものはないぞ!、という気になっちゃいます。

 

こちらは「二兎を追う者は一兎をも得ず」の
「二兎無兎」のうさぎさん。(逃げられてよかったね)

 

 

クリフトン・カーフの「二兎無兎」
(写真/「カーフこれくしょん」)

 

 

左に書かれているのは
「RUN  AFTER  TWO  RABBITS  AND  YOU’LL
CATCH  NONE」というアルファベットの英文ですが
なんとも絵になっている字(!)。

 

その左には「佳風」とサインがありますが
この「かーふ」のサインは、初期には「夏風」
という文字で書かれていたようです。
夏の風、も「佳風」に劣らず素敵です。

 

小説家のヘンリー・ミラーも、クリフトン・カーフ
のユーモラス墨絵を愛したようですよ。

 

 

 

 

 

鮎を売って生計を立てた頃を思い

クリフトン・カーフさんが、最後の12年間の住まいを
金沢主計町に決めたのは、再来日して岐阜にいらした頃
の郷愁に駆られたことも、理由の一つだったとか。

 

再来日して滋賀に住んでいた頃は、プロ級の
腕前をいかして趣味の釣りで得た鮎を売って
生計を立てていたこともあったのだそう。

 

金沢主計町にたゆたう浅野川を見て
その頃を思い出されたといいます。

 

常に着物を着て仕事をし、愛した金沢
の街を散策するクリフトン・カーフは
金沢の人々からも愛されていました。

 

「かーふコレクション」の香川寿幸さんは
こんな言葉を記しています。

 

「日本を愛し、日本人より
日本人らしく生きた青い目の版画家」。

 

 

「マイト」はフィンランド語で「ミルク」の意味

 

 

カーフさん御自身も、自画像を描くときは
目の色を青く描かれたそうですが、実際は
ブルーグリーンの目をおもちだったそうです。

 

上の写真でカーフさんと一緒に写っている
彼によく似たもはもはのネコちゃんの名前は
「マイト」君といいます。
これはフィンランド語で「ミルク」を意味する言葉。

 

今から10年前の2007年3月24日にカーフさんが
お亡くなりになってから、3年ほどの月日を経た
2010年4月に、マイト君は11歳で死んでいます。
マイト君の目の色は、何色だったのでしょう?

 

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「ハチミツ」と「ロイヤルゼリー」

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「花蜜」と「ハチミツ」の成分は異なる

ハチミツは、ミツバチが花の蜜から作ったもの
ではありますが、それぞれの成分は異なります。
自然界の中で、最も甘いものといわれるハチミツ。

 

その原料である花の蜜自体には
ハチミツほどの甘さはありません。

 

ハチミツに含まれる糖分の大半は
ミツバチが、花蜜を体内に入れることによって
作られたものであり、ミツバチがいなければ
人間はハチミツを作り出すことはできないのです。

 

 

 

 

最初、私はたくさん花からほんの少しずつのミツを
集めるという、膨大な手間のかかる仕事をミツバチに
してもらい、集めたミツを人間がいただいている
と思っていました。

 

要は、花からのミツ集めを効率よくしてもらうと。
ところが実際は、それよりはるかに重要な役目を
ミツバチは果たしていたのです。

 

 

 

 

 

ハチミツを作ることができるのはミツバチだけ

花の蜜をミツバチが集めて「加工」すること
により、初めてハチミツが出来上がります。

 

またハチならば、どの種のハチもハチミツを作る
ことができるのかというとそうではなく、ハチミツを
作ることができるのはミツバチだけだそう。

 

ミツバチの主なエネルギー源であるハチミツは、
1 花が咲かなくなる季節の食料や、
2 幼虫を育てる時の餌に、
3 ハチの巣を作る蜜蝋(ミツロウ)の
  原材料にもなります。

 

 

 

 

これらに使う以外のハチミツは
巣の中で濃縮され、貯蔵されます。

 

ハチミツが不足をすると、群れが増えなくなり
蓄えていたハチミツがなくなってしまうと
ミツバチは餓死してしまいます。

 

 

中央に見えるちょっと大きめのものが
女王蜂専用の飼育部屋「王台」

 

 

 

ハチミツ→ミツロウ(蜜蝋)

蜜蝋は、働きバチの「蝋線」と
呼ばれる器官で作られるものです。

 

分泌した瞬間は液状ですが、空気に触れると
固まる性質があり、お腹から分泌した蜂ロウを
足ですくい取って口まで運んで巣作りをします。

 

巣板の下に、女王蜂専用の飼育部屋・王台が作られ
ますが、幼虫の成長に従って、王台は増築されて
最後にはピーナッツの殻ほどの大きさにまでなります。

 

ミツロウは、これもまたハチミツ同様、ミツバチたち
から人間がいただいているものでもあり、古くから
ロウソクの原料として重宝してきたものでもあります。

 

 

 

 

 

花蜜+ミツバチの消化酵素=ハチミツ

ミツバチたちは花から花蜜を吸いとると
ミツバチの胃袋である「蜜胃」という
容れ物の中にためて、巣まで持ち帰ります。

 

この時にミツバチの体内の消化酵素や唾液酵素が
ミツに加わることにより、科学変化が起こります。

 

花の蜜はお砂糖と同じように、主成分はショ糖ですが
ミツバチの体内酵素等によりショ糖が、
ブドウ糖果糖に分解、熟成されて、巣に戻る
までの間に、花蜜はハチミツへと変化しています。

 

 

 

 

巣に戻った働きバチは、ハチミツを
仲間に口移しで渡します。

 

受け取った側の働きバチは、35度前後の巣温の中で
羽根を羽ばたかせて、ハチミツの水分を蒸発させ
糖度が80パーセントになるまで濃縮します。

 

こうして濃縮されたハチミツは、サラサラとした
花蜜から、トロリとしたハチミツに変わっていて
この状態になったハチミツを、働きバチは
貯蔵部屋に移して蓋をします。

 

 

       花の蜜   →    ハチミツ

_______________________

水分量   70パーセント →  20パーセント

 成分      ショ糖    →  果糖+ブドウ糖

 

 

 

 

 

「天然ハチミツ」

人間がハチミツを利用する場合、水分が80パーセント
になった時点で採取し出荷されるものを
「天然ハチミツ」と呼んでいますが、正確な定義はなく
少々、曖昧に使われているというのが現状のよう。

 

ミツバチにより、自然に水分が80パーセントになる
まで寝かせておくのは、時間がかかって効率が悪い
ために、機械を使って早く水分を飛ばすハチミツも
かなり流通しているようです。

 

公正取引規約では「ハチミツの水分量は21パーセント
以下」と定められていますが、その数値にするために
ミツバチに任せるか、あるいは人間が機械で
処理するかについての規定はないからです。

 

ただし、味の差は歴然だとか。

 

 

「ビーポーレン(beepollen)」花粉団子

 

 

 

花粉→花粉団子(ビーポーレン)

働きバチが花の中で蜜を吸う時に、花粉が
働きバチの体の毛についてしまいます。

 

ミツを吸い終わった働きバチは、足に生えている
ブラシ状の毛に、ミツを少しだけつけて
湿り気を与え、体についた花粉を湿らします。

 

そして器用なことに、飛んでいる間に
それらをまとめるのだそうでです。

 

前足と中足で花粉をまとめ終わると、後ろ足の
体毛でカゴのようになっている花粉カゴに入れ
1本の長い毛に花粉を団子のように串刺しにします。

 

この花粉団子は、ミツバチ(bee)の花粉( pollen)で
「ビーポーレン(beepollen)」と呼ばれるものです。
「ミツバチのパン」とか「蜂パン」ともいいます。

 

 

花粉カゴに花粉団子を入れて運ぶミツバチ

 

 

串刺しにして持ち帰った花粉団子は、巣の中の
働きバチに渡され、噛み砕かれて巣房に蓄えられます。
その後、ハチミツを塗られて
「蜂パン」と呼ばれる保存食になります。

 

 

 

花粉は大切な食糧

働きバチの幼虫は孵化後、3日までは女王バチと
同じように、ロイヤルゼリーを与えられますが
それ以降は、花粉にハチミツを混ぜたもの
が食料になります。

 

アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラル等を豊富に
含んでいる花粉は、ミツバチの体の基になる重要な
食糧ですので、巣の大きさにもよりますが、年間に
集める花粉量は、10〜30キログラムにもなるそう。

 

一匹の幼虫が成虫になるまでには、0.1グラムほどの
花粉が必要ですが、これは働きバチ一匹の重さと同じ
くらいの量であり、それが1日に1000匹、2000匹と
孵るのですから、大量の花粉が必要というわけです。

 

 

 

 

 

貯花粉量をどのように認識しているのかは不明

巣に花粉が足りなくなると、働きバチの免疫力が低下し
たり、寿命が短くなったりして、働きバチが卵や幼虫を
食べてしまうこともありますので、蓄えている花粉が
少なくなると、花粉を集めに行く働きバチが増えます。

 

幼虫がフェロモンを出して、働きバチたちに
花粉集めを促進させるといわれていますが
群れが必要とする花粉量をどのように認識して
いるのかは、まだ解明されていないようです。

 

ミツバチは幼虫の時が、最も花粉を必要とする
ようで、羽化した働きバチは羽化後、10日ほどで
育児係になった時までが花粉消費量が最大となり、
その後は急激に少なくなります。

 

羽化後20日以降、門番係や外回りになると
あまり花粉を必要としません。

 

 

 

 

一方、ハチミツを作る花蜜は、巣に蓄えているハチミツ
の量に関わりなく、いつでも集めてくるのだそうです。

 

働きバチの仕事の変化
 生後3日〜    掃除、世話 巣の掃除、幼虫の給餌、
         女王蜂の世話

 生後7日〜    巣作り、ロイヤルゼリー作り

 生後10日〜  貯蔵 採集してきた働きバチから
        受け取ったミツを貯蔵

 生後14日〜  門番 出入口で敵の侵入を防ぐ

 生後20日〜 外回り 花蜜、花粉の収集

 

 

 

 

 

花粉→ロイヤルゼリー

花粉はミツバチたちの食料であるとともに
女王バチの食料のロイヤルゼリーの材料でもあります。

 

巣房に蓄えられている「蜂パン」を働きバチが
食べると腸に送られた花粉は、アミノ酸となって顎に
ある唾液腺に送られ、そこで生合成が行われます。

 

他のハナバチ類では、花粉と花蜜をただ混ぜ
合わせるだけですが、ミツバチは、一度体内に
取り込み、生合成を経ることにより、栄養価の
高いロイヤルゼリーが出来上がるのです。

 

ロイヤルゼリーは、ハチミツのような甘さはなく、酸味
が強く、舌を刺激するような収斂性があるのが特徴です。

 

 

 

 

 

栄養成分の違い

ハチミツは、80パーセントが果糖で、残りはほぼ水分。
そのうち数パーセントにビタミンやミネラルが含まれます。

 

ロイヤルゼリーは、糖分は10パーセントに過ぎず、
水分が60パーセント、後の30パーセントは
40種類以上もの豊富な栄養素で構成されています。

 

中にはロイヤルゼリーにしか含まれていない
「デセン酸」成分などを含んでいるのも特徴の一つ。

 

 

 

 

文献に初めてローヤルゼリーが現れたのは
古代ローマ時代で、アリストテレス(B.C.384~
B.C.322)の著書の『動物誌』の中に「濃厚な蜂蜜
に似た淡黄色の柔らかいもの」と記されています。

 

また「ロイヤルゼリー」という名前は、約200年前
から使われていて、フランソワ・ユベールの
『ミツバチの新観察』には、「ゼレー・ロワイヤル」
という言葉が見えるそうです。

 

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ミツバチダンス ミツバチの言葉(The Language of Bee)

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曇りの日でも太陽の位置がわかる

ミツバチは、花からミツを採取して巣へ運ぶ
という作業を、一日に何度も繰り返していますが
花をみつけるために、むやみやたらに飛んで
いるわけではありません。

 

ミツバチ同士で、花のある場所を
教えあっているということです。

 

その伝達にはダンスを使っていますが、これは
花の位置を伝えるのみならず、新しく巣を作る
候補地を知らせる時にも使われている方法です。

 

 

 

 

巣に新たに女王バチが誕生すると、今までの
女王バチは半数ほどのミツバチを連れて巣を
出ますが、これを「分峰」といいます。

 

「分峰」をしたミツバチの群れが、一時的に
木の枝などに丸く固まって「蜂球」といわれる
状態になっている時に、新しい巣を作る場所を
偵察に行っているミツバチがいます。

 

目星をつけて戻って来た偵察バチが
候補地の場所を仲間に伝える時も
やはりこのダンスを使うといいます。

 

 

「分峰」をし、一時的に木の枝に
いる蜂の群れ「蜂球」

 

 

 

太陽が目印 それでは曇りの日は?

ダンスをすることで「場所」を伝えるといっても
グーグルマップなどを持っていないミツバチに
教えるには、基本になる目印が必要です。

 

日中に世界のどこでも必ず存在するもの、
それは太陽。

 

 

 

 

となりますと、太陽の出ていない曇りの日は
目標が見えず、ミツバチは迷ってしまうのか
といえばさにあらず、曇りの日でも紫外線は
出ていますので、紫外線をキャッチできる
ミツバチには全く問題はありません。

 

空の一角を見るだけで、ミツバチには
太陽の位置がちゃんとわかります。

 

これは「偏光解析能力」と呼ばれるものですが
昆虫や甲殻類などがもつ、小さな個眼が多く
集まって出来ている複眼の効果でもあります。

 

 

蝶々も複眼をもっています
これはガラスの羽を持つ蝶々といわれる「ツマジロスカシマダラ」

 

 

 

赤い色は見えない?

紫外線を見ることのできるミツバチには、黄、青緑、
青、紫外が区別されることが証明されています。
ということは赤い色は見えないということですね。

 

赤い色の花は多いように思うので、ちょっと
意外な感じもしますが、ミツバチは白や青、
紫色の花を見つけるのが得意だそうです。

 

 

 

 

ミツバチは匂いを、触覚に広く分布する
感覚子(かんかくし)と呼ばれる、体の表面
などにある、小さな器官で識別しています。

 

匂いによって、花の種類さえ他の
ミツバチに伝えることも可能だとか。

 

また味覚に関しては、口と足の
跗節(ふせつ)という先端の節や
その他の触覚にも味覚の受容体があります。

 

 

これはショウガの花ですが
ミツバチには見えるかな?

 

 

 

ミツバチのダンス「言葉」

ミツバチには何色が見えているか?、という
研究をしたのは、カール・フォン・フリッシュ
(Karl von Frisch、1886〜1982)という
オーストリアの動物行動学者です。

 

彼は40余年にもわたる長い間、冒頭のミツバチ
の「言葉」といわれる、ミツバチダンスの
解明に取り組んだ学者でもあります。
その研究により、1973年にはノーベル賞を受賞。

 

置いてある濃厚な砂糖溶液にミツバチが来た後に
同じ巣の多くのミツバチが訪れるのを見たカール・
フォン・フリッシュは、ミツバチたちが、その情報を
伝える手段を持っているに違いないと確信します。

 

 

 

 

そこで彼は、特殊な細工をして、ガラス板越しに
巣の中が見えるミツバチの巣箱を作って設置。

 

すると彼の予想に違わず、豊富な花蜜が
ある場所から巣に戻ったミツバチは、巣板
の上で興奮気味にダンスをしていたのです。

 

観察するうちにミツバチのダンスには
2種類あることがわかりました。

 

 

「円形ダンス」

 

 

 

1 「円形ダンス(円舞)」(Rundtanz)

一つ目のダンスはミツバチが、ただグルグルと
回るだけの「円形ダンス(円舞)」と
いわれるものです。

 

「巣の近くに蜜がいっぱいの花が
あるので集めに行こう」という意味。
これは100メートル以内という
近い距離のみを伝えるダンスです。

 

 

 

2 「8の字ダンス」(Schwanzeltanz)

こちらは、目的の花が100メートル以上、
離れている場所にある場合。

 

「8の字ダンス」の「8」は、「蜂」では
なく、数字の「8」の字を描くように
ミツバチがダンスをすることによる命名です。

 

 

「8の字」ダンス

 

 

「尻振りダンス」ともいわれ、規則正しく
「8」の字を描きますが、その中央の直線部分
に来ると、特に腹部を激しく振動させます。

 

 

ミツバチは15秒間に、何回「8」の字を描くか
という実験をカール・フォン・フリッシュは
していますが、その結果は以下の通り。

 

 

巣から花までの距離 ミツバチが15秒間に踊る回数
_______________________
  100メートル      9〜10回
     1000メートル       4〜5回
     6000メートル       2回

 

 

 

 

というように、巣からの距離が近いと
ダンスの速度は速く、離れれば離れるほど
速度はゆっくりになることがわかりました。

 

次の表は「8の字ダンス」の速度と
花までの距離を表したものです。

 

ミツバチほど賢くない私には正直なところ
もうついていけないという感じもしますが、
15秒の間に何回踊るかをグラフにしているそうです。

 

 

グラフ(「B*topia」)

 

 

15秒間に5回踊ったとすると
「巣から750メートル離れた所に花がある」
という意味だとか。

 

「8の字ダンス」を動画で見ると、ミツバチが
実際にどのようにダンスをしているかがわかり
とても面白いですよ。

 

「あぷりのお茶会」史上(!)初めての
動画をつけてみました。

 

 

 

 

54秒ほどの、短い「8の字ダンスの動画」
ドイツ語ですが、映像を見るだけでわかっちゃい
ますので、解説は必要ないかと。

 

動画を見ますと「8の字ダンス」
の中央の直線部分は、

 

「__  」という感じではなく、「〜〜〜」と
ジグザクとかなり激しく動いているのがわかります。
だから「運動」ではなく、「ダンス」なのですね。

 

 

 

 

 

「8の字ダンス」は方向も示す

ダンスの速度が、巣から花までの距離を
表しているということも驚きますが
次はもっと驚いちゃいますよ。

 

「8の字ダンス」は距離だけではなく
なんと方向も示しているのです。

 

「8の字ダンス」の中央の直線は
花がある方向を示しています。

 

ミツバチが巣板の上で横向きになって(下のように)
ダンスをしていた場合、ダンスの中央の直線は
左を差していますので、そちらが花の方向。

 

 

                太陽

 *                  ↑
              90度     |
                     |
花  ←_____

 

 

その時に、垂直の上の方が太陽のある方向で、
花(左)と太陽(上)の作る角度
(この場合は90度)を示しています。

 

「巣から出て太陽のある方向から
左に90度の所に花がある」
と教えているのです。

 

いくら何でも、これは凄すぎませんか?
私は言葉を失うほどの驚きを覚えました。
ホント、ミツバチってすごい。

 

 

 

 

このダンスの規則を覚えれば、人間が見ても
その意図するところを理解することができ
花のありかがわかるといいます。

 

この実験に付随して、カール・フォン・フリッシュ
の弟子であるリンダウエル(Lindauer)は
「オオミツバチ」「コミツバチ」「トウヨウミツバチ」
のダンスを研究し、ミツバチの種によって、ダンスが
少しずつ異なっていることを発見しました。

 

また、「トウヨウミツバチ」や「セイヨウミツバチ」
の場合は、ダンスを暗い巣の中で行なっている
ことから、現在では、仲間への情報の伝達に際して
音も関与していることがわかっているそうです。
(参照/「SCIENTIFIC AMERICAN」、酒井哲夫)

 

 

 

 

 

決定方法や、合図の出し方は?

このミツバチのダンスは、花の蜜のある場所を
教えるだけではなく、「分峰」をした後、新しい
巣を作る候補地を教える方法でもありました。

 

偵察をしてきた複数のミツバチが
それぞれにダンスをして伝えます。

 

新しい巣の場所を決定するのに、数時間から
数日かかることもあるといいますが、それは
どのように決められるのでしょうか?

 

 

 

 

また「分峰」の合図は働きバチが出しますが
(女王バチは巣別れフェロモンを放出するそう)、
「コロニーの中でどのような位置にある働きバチ」
が「いつ」「どんな方法」でこの合図を出すのか等々。

 

これらの研究をしている方がいらっしゃるのかどうか
わかりませんけれど、ミツバチってもうホント面白
すぎて、次々と興味が湧いてきてしまいますね。

 

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