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においが「わからない」「なくなる」
五感の一つである嗅覚は、私たち
にとって、とても重要なものです。
嗅覚によって食事を美味しく
味わうことができますし
危険を避けることもできます。
また、においが過去を想起
させることもあります。
においがわからなくなることを
「嗅覚障害」といいますが、内容
によって、いくつかに分かれます。
まず最初に、嗅覚障害をまとめたものを
表示し、次に一つずつの説明をします。
*____________________
Ⅰ 量的嗅覚障害
*1 嗅覚脱失 – A
* (全てのにおいがわからない)
*2 嗅覚低下 – B
* (においが感じ方が弱い)
*____________________
Ⅱ 質的嗅覚障害
*1 異臭症
* (本来のにおいと違うにおい)
* ⑴ 刺激性異臭症 – C
* (本来のにおいと違う or 皆同じにおい)
* ⑵ 自発性異臭症 – D
* (鼻や頭で常に or 突然においを感じる)
*2 嗅盲 – E
* (特定のにおいがわからない)
*3 嗅覚過敏 – F
* (においに不快感を感じる)
*4 その他
* ⑴ 悪臭症 – G
* (上気道の疾患による悪臭)
* ⑵ 自己臭症 – H
* (実際にはない鼻・口・体臭等に悩む)
* ⑶ 幻臭 – I
* (自己臭症と同様の統合失調症の一症状)
* ⑷ 鉤回発作 – J
* (嗅覚中枢での自発的発火による症状)
* ____________________
嗅覚障害 量の問題と質の問題
Ⅰ 「量的障害」(量の問題)
1「嗅覚脱失(anosmia)」 – A
においが全くわからなくなる症状です。
2「嗅覚減退(hyposmia)」 – B
全くわからないというわけではないもの
の、においの感じ方が弱くなった状態。
これは嗅覚の量に関する障害ですので
嗅覚の「量的障害」いい、病院を訪れ
る多くの人はこの量的障害です。
Ⅱ 「質的障害」(質の問題)
量的障害に対するのが、「質的障害」で
においの「質」に関するものを指します。
1 「異臭症(dysosmia)」
においの量ではなく、本来の匂いとは
違って感じられるという質が問題の症状
に「異臭症」があります。
異臭症は、
「刺激性異臭症」と
「自発性異臭症」に分けられます。
⑴「刺激性異臭症(parosmia,troposmia)」- C
あるもののにおいが本来のものと異なって
感じられたり、また何のにおいを嗅いでも
同じにおいに感じる異常です。
⑵「自発性異臭症(phantosmia)」 – D
においのする物質がないにも関わらず
常に鼻や頭の中ににおいを感じたり
あるいは何もないのに突然においを
感じるといったものです。
異臭症の患者数はそれほど多くはありま
せんが、嗅覚脱失や嗅覚低下で受診する
人のなかに異臭症を伴う人もいます。
2 「嗅盲(olfactory blindness)」 – E
ある特定のにおいだけが
わからない状態をいいます。
約400あるというにおい分子受容体のうち
の一部の受容体が遺伝子変異により発現
しないと臭盲が起きると推測されています。
臭盲となるにおい感覚については、いくつ
かのにおい物質が判明しているようで、青酸
(シアン化水素)の放つアーモンド臭を感じ
ない人は人口の約1割いるといわれます。
3「嗅覚過敏症(hyperosmia)」 – F
過敏症といいますと、量を感じますが
嗅覚過敏症は「量的障害」ではなく
「質的障害」に含まれます。
その理由は、においの量が少なくても
敏感に感じるというのではなく、不快な
においを感じる症状の問題と捉えられて
いるからのようです。
4 その他
⑴「悪臭症(cacosmia)」- G
同じ質的嗅覚障害のなかに「悪臭症」と
いうものがありますが、これは副鼻腔炎や
扁桃炎などの、主に上気道の炎症性疾患や
腫瘍性疾患により病巣が悪臭を放つものです。
⑵「自己臭症(egorrher symptom)」 – H
実際にはない自分の口臭や鼻臭、あるい
は体臭があると思い込む状態のこと。
実際にはないものがにおうと思って
いるのですから、心因性や精神疾患
によるものが多いようです。
⑶「幻臭(hallucination)」– I
こちらも自己臭症と同じような
症状で、統合失調症の一症状です。
異臭症との区別は難しいのですが
患者が統合失調症だった場合には
「幻臭」と判断がつくとのことです。
統合失調症は、視覚では「幻覚」が
聴覚では「幻聴」が聞こえることがあ
りますので、その嗅覚版が「幻臭」と
いうことなのでしょうか。
⑷「鉤回発作(uncinate epilepsy)」- J
「鉤回発作(こうかいほっさ)」の
鉤回(鉤と鈎の両方の漢字が使われる)
は、嗅覚情報の処理と関わりを持つ領域。
この場所がてんかん発作の起点となりま
すが、けいれんはともなわない発作で
無限状態ともいわれます。
周囲への知覚がありながらも、夢の中
で行動しているように感じられ、しば
しば幻臭や幻味をともないます。
時間としては短いものの
鮮明で不快なにおいということ。
原因不明のことが多く、明確な分類
が困難なため、その他の質的異常に
含まれています。