おまんじゅうの皮は何でできている?

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おまんじゅうの皮の材料

前回は、大福餅の皮は何でできている
のかを調べてみましたが、今日はおまん
じゅうの皮の材料を追求してみましょう。

 

とはいえ、一口におまんじゅうといって
も様々で生麩で包む「麩饅頭」、葛で
まとめてある「葛まんじゅう」等々。

 

「麩饅頭」「葛饅頭」のように餡を包んで
いる素材が、そのまま名前になっている
ような特別(?)なものではなく、いわ
ゆるおまんじゅう「THE  おまんじゅう」
ともいうべきものの皮についてです。

 

 

 

「麩まんじゅう」 赤坂「青野」

 

 

 

 

「小麦粉+膨張剤」「米粉+山芋類」

結論を先に言いますと、おおまかに分け
ると皮の材料の粉に「小麦粉」を使うもの
と「米粉」のものの2種類があるようです。

 

小麦粉で作るおまんじゅうは膨張剤(重曹等)
を使用し、米粉の方は山芋類で膨らませます。

 

1 小麦粉 + 膨張剤 = 小麦まんじゅう

2 米粉 +  山芋類 = 薯蕷まんじゅう

 

 

「吹雪まんじゅう」
小麦+大和芋・イスパタ

 

 

とはいえ、小麦粉+山芋類、あるいは反対に
米粉+膨張剤という組み合わせや、上の写真
の吹雪まんじゅうのように、

 

「小麦+大和芋・イスパタ」というような
組み合わせもありますので、あくまでも
基本的にはということです。

 

 

麻布十番「豆源」の「釜なりや」(左)
小麦粉+膨張剤(何を使用しているかは不明)

 

 

 

1 小麦粉+膨張剤=小麦饅頭(薬饅頭)

1の小麦粉を使うおまんじゅうは、膨張剤とし
てイスパタ、重曹、アンモニアが使われること
から「薬(やく)まんじゅう」とも呼ばれます。

 

ここで「イスパタ」という聞きなれない言葉が
出てきましたが、これは「イーストパウダー」
の略称で、主に和菓子に使うもの。

 

生地に練りこんで焼くと、加熱により発生する
2種のガス「アンモニウムガス」と「炭酸ガス」
が無数の小さな気泡となり生地を膨らませます。

 

 

こちらは愛媛の「山田屋まんじゅう」
小麦粉+山芋だそうですので、小麦薯蕷饅頭?

 

 

イスパタはネットショップや製菓材料専門店
で入手できるようですが、一度に使用する量
が少ないので購入をためらわれますね。

 

イスタパがない場合は、膨張剤として有名な
ベーキングパウダーを使うことも可能ですが
この場合、色がついてしまいます。

 

ベーキングパウダーより生地を膨らませる力
が強いだけではなく、色が白く仕上がること
から、和菓子にはイスタパが使われています。

 

 

「紫芋のおまんじゅう」

 

 

レシピという意味ではなく、どの程度の
割合で含まれているのかという一応の
参考のために材料と分量を載せてみます。

 

小麦まんじゅうの材料と分量

薄力粉    100g
イスパタ       3g
グラニュー糖  70g
水      30cc

 

 

「かりんと風まんじゅう」
小麦粉+膨張剤(不明)

 

 

 

重曹使用「ソーダ饅頭」「炭酸饅頭」等

「小麦粉+膨張剤」の膨張剤として重曹
(炭酸水素ナトリウム)を使うおまんじゅう
は「炭酸まんじゅう」「ソーダまんじゅう」
「田舎まんじゅう」ともいいます。

 

ソーダ饅頭・炭酸饅頭・田舎饅頭

薄力粉      100g
重曹        3g
グラニュー糖  20g
水      50cc

粒あん    270g

 



「栗まんじゅう」

小麦粉+重曹

 

 

 

酒種、酒粕「酒まんじゅう」

また、小麦粉に酒種(もち米と麹で作る)
を混ぜて生地を発酵させるおまんじゅうを
「酒まんじゅう」といいます。

 

酒まんじゅうには、酒粕やふくらし粉を
使うものもありますが、酒まんじゅうと
いう名前は、蒸しあがった時にお酒の香り
がするところからつけられたそうです。

 

酒まんじゅうの材料と分量

薄力粉   100g
酒粕      25g
イスタパ 小さじ1
日本酒   40ml
砂糖      75g

こしあん  150g

 

 

 

酒まんじゅう」
小麦粉+酒粕

 

 

 

2 米粉+芋類=薯蕷饅頭(上用饅頭)

米粉(上用粉)で作るおまんじゅうの皮に
は薯蕷(じょうよ)という芋類が使われます。

 

薯蕷は、山芋・つくね芋・大和芋などを
指し、蒸すと膨らむ性質があります。
(長芋は水分が多いので適さないとのこと)

 

薯蕷芋を粉のつなぎに使って蒸すと、ふわっ
とした食感に出来上がり、「薯蕷まんじゅう」
または「上用まんじゅう」と呼ばれています。

 

 

松月「一ツ木まんじゅう」
米粉+山芋粉

 

 

 

 

薯蕷まんじゅうの材料と分量

上用粉  32g
薯蕷芋  30g
砂糖   60g
こしあん  160g

 

 

「薯蕷」の読み方ですが、「じょうよ」
とも「じょうよう」ともいうようです。

 

うるち米を乾燥したものを「上新粉(じょう
しんこ)と呼び、団子やお餅に使いますが
「上用粉」は、よりきめ細かく挽いたもの。

 

薯蕷饅頭ができた当時は貴重なものだった
ため、庶民は食すことができない高級な
お菓子という意味も「上用饅頭」の「上用」
にはあったともいいます。

 

「紅白まんじゅう」(の白い方だけ)
上用粉+大和芋

 

 

現在でも薯蕷まんじゅうは上生菓子に属し、
薬まんじゅうよりも高級とされ、古くから
お祝いや法事に用いられてきました。

 

「紅白饅頭」や「織部饅頭」など、茶席で
使われる主菓子(おもがし)の一つです。
中国から渡ってきた林浄因が作ったと
いわれている「塩瀬饅頭」も有名。

 

戦国大名の古田織部の影響で作られたと
いう美濃の陶器「織部焼」の模様を取り
入れた薯蕷饅頭が「織部饅頭」です。

 

 

塩瀬総本家「一口薯蕷饅頭(志ほせ饅頭)」
大和芋+上新粉

 

 

 

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小麦饅頭(薬まんじゅう)
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小麦粉 +  膨張剤

    イスタパ   = 「 小麦饅頭」

       重曹   =「炭酸饅頭・ソーダ饅頭」

     酒種、酒粕  =「酒饅頭」

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薯蕷饅頭(上用まんじゅう)
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米粉 + 山芋類 = 「薯蕷饅頭」

 

 

 

古代のおまんじゅう

おまんじゅうは中国から伝来してき
ましたが、現在の薯蕷まんじゅうと
比べるとかなり変化しています。

 

古代のおまんじゅうは、小麦の酒種を
使用していましたが、それがもち米製
の酒種に変わりました。

 

また、小麦粉がもち米の粉(上用粉)に
黒砂糖が白砂糖に、酒種が薯蕷に変わり
現在のような白い薯蕷饅頭になったのです。

 

 

右「利休まんじゅう」小麦粉+重曹
左「吹雪」小麦+大和芋・イスパタ

 

 

古代のお饅頭    現代の薯蕷饅頭
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小麦の酒種  →  もち米製の酒種

小麦粉   →   もち米の粉(上用粉)

黒砂糖   →       白砂糖

 酒種   →      薯蕷

 




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