甜菜糖(てんさいとう)日進ワールドデリカテッセン インターナショナル スーパーマーケット

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甜菜(てんさい)= サトウダイコン

お料理の材料欄に「甜菜糖」と書かれているのを
初めて見た時には、何と読むかさえわかりません
でしたが、「甜菜(てんさい)」という植物から
作ったお砂糖「てんさいとう」のことでした。

 

「甜菜」は「サトウダイコン」の別名をもつ
アカザ科フダンソウ属の二年生の植物で
学名は「Beta vulgaris ssp. vulgaris」。

 

寒い地方でできる植物で
日本では北海道で栽培されています。

 

「アカザ科」なんて初めて聞いた言葉と思い
ましたが、ほうれん草がアカザ科だそうで
そういえば葉っぱはほうれん草に似ています。

 

収穫時期は10月中旬から11月下旬
といいますから丁度、今頃ですね。

 

 

c5bcbadaa5d3a1bca5c8cceebadab2e8c1fc甜菜(てんさい)
サトウダイコンやビートともいう

 

 

根の部分は、大根とカブの中間のような感じも
しますが、ここにお砂糖の元があるようです。
根を搾った汁を煮詰めることでお砂糖になります。

 

こんなに青々と茂っている葉っぱですが
家畜の餌や堆肥などの土作りのために
使われて、人間は食べないよう。
美味しくないようですね。

 

 

 

甜菜(てんさい)= ビート

「甜菜」は「サトウダイコン」という別名以外
にも「ビート(beet)」とも書かれていますが
ビートは甜菜の仲間。
ボルシチのあの赤い色は、ビートの色です。

 

 

beetビート(beet)、レッドビーツ(red  beet)、
ビートルート(beetroot、テーブルビート等々
の名前があるビートは甜菜の仲間

 

 

保湿剤として化粧品に使われている有名な成分で
あるベタインも、甜菜からできるということでした。
初めは全く知らないと思った甜菜は
結構、身近かなもののようです。

 

甜菜からとるベタイン(学名  Beta  Vulgaris)は
食品の甘みとしての添加物や、保湿剤として化粧品
に使われる以外にも高ホモシステイン血症治療薬
としても使われているということです。

 

 

 

砂糖黍(さとうきび)と甜菜(てんさい)

お砂糖の原料には大きく分けて、

 

北海道で栽培される
「てんさい(甜菜・ビート・sugar  beet)」と

 

鹿児島県や南西諸島、沖縄県で栽培される
「さとうきび(砂糖黍・cane)」

 

の2つがあります。

 

海外では、甜菜が欧州や北米などの
冷涼な地域で作られるのに対し、さとうきびは
アジア、中南米、オーストラリアやアフリカなど
熱帯や亜熱帯地方で栽培されています。

 

 

beet甜菜の生産地の分布(「AndrewMT」)
この地図ですと、北海道はよく見えませんねぇ

 

 

両者の成育過程においては
一定量の太陽光を必要とします。

 

太陽光を浴びた植物は、水と二酸化炭素
から、成長のためのエネルギーである糖質
を作りますが(光合成)、光が足りないと
甘みが少ないものしか出来ないからです。

 

こうして光合成で出来た糖質を
甜菜はショ糖として根の部分に、
さとうきびは茎の汁液に蓄えています。

 

先ほどてんさい(甜菜)はアカザ科の
二年草ということでしたが、さとうきびは
イネ科の多年草で、別名「かんしょ・甘藷
(かんしゃの通称が、かんしょ)」。

 

両方ともお砂糖を作る植物ということ
で、同じ仲間かと思っていたのですが
全然、違うもののようです。

 

そして、「甜菜からは甜菜糖」が
「さとうきびからは上白糖や三温糖、黒砂糖」
が作られます。

 

 

       砂糖黍        甜菜
     (さとうきび)    (てんさい)  

英名     cane       sugar  beet
_________________________

砂糖の  上白糖、三温糖、黒砂糖   甜菜糖
種類

 

*    熱帯〜亜熱帯地方     温帯〜亜寒帯
産地  アジア、オーストラリア    欧州、北米
    中南米、アフリカ
  鹿児島県、西南諸島、沖縄県   北海道

 

種別   イネ科の多年草     アカザ科の二年草

 

                   
糖質を   直系  2.5〜5cm    直系  10〜15cm
含む部分  高さ  3〜6m       重さ  500g〜1Kg

 

 

140309rosenthalmatekisugarpot

 

 

 

甜菜糖と上白糖の特徴

お砂糖を作るさとうきびと甜菜の、原材料
としてのお値段は、さとうきびの方が高い
といいますが、お砂糖になってからの栄養価は
好みによるものの、甜菜糖も負けていません。

 

 

      上白糖     甜菜糖
_____________________
色    無色透明     琥珀色

  特徴    しっとり    まろやかな甘さ、
             風味、コク

ミネラル    ——       含む

オリゴ糖    ——       含む

 

 

このように甜菜糖には、上白糖には含まれない
ビフィズス菌を増やすオリゴ糖とミネラルを
含むことが、大きな特徴といえるでしょう。

 

上白糖は体を冷やし、甜菜糖は
反対に温めるといわれています。

 

ここで上白糖は「無色透明」、甜菜糖は「琥珀色」
とあり、今日御紹介した甜菜糖も琥珀色ですが
なかには白い色の甜菜糖もあるとか。

 

甜菜糖の琥珀色は、製造過程で
煮詰めることによってついた色です。

 

白い甜菜糖というのは加熱処理を少なくし
乾燥させてお砂糖にするために
色が白いままに仕上がるのだそうです。

 

 

160411tensaito琥珀色の甜菜糖

 

 

 

甜菜糖と上白糖の成分の違い

それでは次は、上白糖と甜菜糖
の成分を見てみましょう。

 

エネルギーや脂質、炭水化物のように
両者とも同じ様なものは省きます。

 

 

           上白糖    甜菜糖
________________________

 タンパク質(m)      0      0.2〜0.9

ナトリウム(mg)       1       15〜85

カルシウム(mg)    0       0〜1

カリウム(mg)     0      5〜65

マグネシウム(mg)   0      0〜0.3

 リ ン(mg)     0       0〜7

  鉄 (mg)     0         0〜0.3

   亜 鉛(mg)      0         0〜0.1

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 オリゴ糖
ラフィノース ケストース(g) 0      5

           (参照/「ホクレン」)

 

 

 

精製時に失われるミネラル類

上白糖は、製造過程で甘みを抽出するために不純物が
取り除かれ、精製されているので無色透明になります。

 

ただし甘み抽出のために不純物を取り除く時に
ナトリウムやカリウムといったミネラル類も
一緒に取り除かれてしまうので、上白糖には
ミネラル類が含まれていないのです。

 

同じさとうきびで作られる黒砂糖は、精製を行って
いないため、ミネラル類は含まれていますので
ミネラルが含まれるか否かは、原材料の違い
ではなく製法の違いによるのですね。

 

 

160411tensaitou

 

 

 

煮詰めるとオリゴ糖やミネラル類はなくなる?

実はこの甜菜、虫も大好きなようで虫を防ぐために
大量の農薬が使われているといわれていることが
ちょっと気になるところです。

 

それではオーガニックの甜菜糖はといえば
こちらはかなりお値段が高いのが難点のよう。

 

しかも、甜菜糖はオリゴ糖やミネラル類を含むので
体に良いといわれていますが、一方で甜菜を
煮詰めている時に、それらはほとんどなくなっている
という意見もあります。

 

私は現在、オリゴ糖やミネラル類があるという説に
期待して、お砂糖は主に甜菜糖を使っていますが
本当のところはどうなの?、と悩みますね。

 

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市田柿(干し柿)で作られた和菓子 粋甘粛「源吉兆庵」

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ドライフルーツだけど和菓子

この写真を見ると一見、コロッとした干し柿かな?、とも
思われるかもしれませんが、これは源吉兆庵の干し柿を
使った「粋甘粛(すいかんしゅく)」というお菓子です。

 

丸ごとの干し柿の中に白あんを詰めたものを、羊羹で薄く
包み込み、そのまわりをみじん粉でまぶしてあります。

 

干し柿のもっている本来の甘さに、すっきりとした
控えめな白あん、そしてまたちょっと甘い羊羹という
3種類の甘さのハーモニィが楽しめる
ドライフルーツ和菓子です。

 

 

160209suikanshuku源吉兆庵の「粋甘粛(すいかんしゅく)」を切ったところ

 

 

 

柿の季節だけのお菓子「粋甘粛」

1つあたりのエネルギーは213キロカロリーで
商品発送から賞味期限までの日保ちは
おおよそで20日間ということでした。

 

季節限定のお菓子で、9月の上旬から
2月の中頃まで販売されています。

 

原材料名は、
干し柿、砂糖、白小豆、白あん、水飴、小豆、
澱粉、寒天、赤酒、トレハロース、ユッカ抽出物、
ゲル化剤(糖粘多糖類)、調味料(アミノ酸等)、
酸化防止剤(二酸化硫黄)。

 

酸化防止剤として「二酸化硫黄」?
と、ちょっと驚きましたが。

 

源吉兆庵の「粋甘粛」に使われているのは
長野県下伊那郡高森町の市田地方で
栽培されている「市田柿」という渋柿です。

 

2006年10月に、特許庁から長野県唯一の地域ブランド
として認定された、南信州を代表する特産品です。

 

 

121202kakiこちらは低温乾燥をさせたかゆりファームの「かゆり柿」

 

 

 

干し柿

干し柿には大きく分けて「あんぽ柿」と「ころ柿」が
ありますが、それぞれの特徴は次のようなものです。

 

     あんぽ柿        ころ柿
   ____________________

水分  50パーセントほど    25〜30パーセント
*粉   表面に粉がない    表面に粉が出ている
食感   やわらかい     羊羹のようにねっとり

 

市田柿は「ころ柿」で、「ころ」は「枯露」と書きます。
昼間は乾いて(枯)、朝夕は露で湿っている(露)という
ことを繰り返すことによって、干し柿ができあがります。

 

また「枯」「露」だけではなく、よく転がし
揉んで仕上げるという意味で「転がす(ころがす)」
の「ころ」だとも言われています。

 

 

141125kaki

 

 

 

文献上に現れる柿

植物学上カキノキ属に属する柿の仲間は、約200種類あり
アフリカ以外の熱帯から温帯にかけて分布しています。

 

日本にもヤマガキが自生していたとの
説もありますが、市田柿を作る渋柿は
奈良時代に、中国から伝わったといわれています。

 

日本で文献上「柿」という文字が現れたのは『古事記』
や『万葉集』で、人名や地名として登場、というと
すぐ思い出すのは柿本人麻呂。

 

柿本人麻呂の名前の由来は、自宅のそばに柿木が
生えてたからだという思わず「ホント?」と
聞いてみたくなるような説明がされています。

 

平安時代中期に編纂された律令の施行細則『延喜式』
には、柿百株を栽培したとの記載もあります。

 

 

kurokakiryomenzushi
「黒柿両面厨子」正倉院

 

 

柿の栽培といっても食用ばかりではなく、高級用材
としても用いられていたようで、正倉院にはカキノキ科
の木材で作られた「黒柿両面厨子」というお厨子や
「黒柿蘇芳染金銀山水絵箱」等が納められているとか。

 

また『宇治拾遺物語』や『古今著聞集』にも柿は登場し、
そうそう『さるかに合戦』にも柿は出てきますね。

 

 

 

gokisitido

 

 

 

中国  →  九州  →  下伊那地方へ

飯田市下伊那地方は奈良を起点として、現在の岐阜県、
長野県、群馬県などの本州の内陸部から東北へ
通じる(古)東山道の道筋にあたります。

 

中国から九州へ伝わっていた渋柿は
下伊那地方へも広まってきました。

 

鎌倉時代の1278(弘安元)年、日蓮大聖人から
信徒であった伊賀良庄(現在の飯田市)の地頭代・
四条金吾頼基(しじょうきんご  よりもと)へ
送られた礼状には「串柿五把」の文字が見えます。

 

このことから、当時は素朴な製法だったと思われるもの
の、700年以上も前の鎌倉時代に、飯田市下伊那地方では
すでに渋柿の栽培や加工が行われていたことがわかります。

 

 

kakiakasakaaono131116

 

 

江戸時代にはお米を納める年貢が有名ですが、飯田・
下伊那地方は、干し柿による収入も多かったことから
干し柿にも年貢がかけられていて、1656(明暦2)年、
飯田城主の脇坂安元が柿改を行った記録があります。

 

当時は「立石柿」という柿が主流で
江戸でも人気の干し柿でした。

 

しかし次第に人気は、立石柿から
「焼柿」へと替わっていきます。
この「焼柿」が後に「市田柿」と呼ばれる柿です。

 

 

160209suikanshuku「粋甘粛(すいかんしゅく)」源吉兆庵

 

 

 

明治の終わりから始まる市田柿作り

明治の末、市田柿を生み出すことになる上沼農園
では、柿の栽培と出荷を続けていましたが
事業は失敗の連続だったといいます。

 

ようやく軌道に乗るようになったのは
なんと戦後になってからのことだそう。

 

戦時中、果樹は贅沢品とされ、新たに植えることが
禁止されたのみならず、1944(昭和19)年には
強制伐採が進められ、長野県内の柿の木の
半分近くが切られてしまいました。

 

食料が不足している戦時中ですので
市田柿は珍重され、甘い柿の皮をお砂糖
代わりに販売する人さえいたといいます。
なぜ、貴重な実が成る木を切ったりしたのでしょうね?

 

 

141209aogaki

 

 

 

戦後、硫黄燻蒸の取り入れ

敗戦後は果樹の生産・販売に関する統制が廃止されて
市田柿の加工の研究も盛んになり、あんぽ柿では
すでに大正時代から導入されていた、硫黄燻蒸の
研究を上沼農園でも行うようになります。

 

硫黄薫蒸(いおうくんじょう)とは、熱で
硫黄の粉を燃やし、発生した二酸化硫黄で
つるした柿を燻蒸することをいいます。
皮むき直後の柿に硫黄燻蒸をすることで、

 

1 干し柿の酸化を防止し、果肉の色をきれいに仕上げ
2 制菌作用によりカビや雑菌の繁殖を抑え
3 干し柿の乾燥を促進する

 

という効果が得られます。
なお、硫黄燻蒸による二酸化硫黄の残留量は
食品衛生上、問題のない量ですので心配
いらないとのことです。(「市田柿のふるさと」)

 

 

 

turushigaki市田柿を干している「つるし柿」

 

 

 

二日酔いの予防効果も

干し柿は栄養価も高く、一番多く含むのは炭水化物
ですが、βカロチン、タンニン、食物繊維、
ミネラルを含み、特にマンガンやカリウムが豊富。

 

カリウムは心臓や筋肉の機能を調節し、血圧を正常に保ち
食物繊維は便通改善や大腸がんの予防効果があります。

 

干すことによりビタミンCは失われてしまいますが
代わりにBカロチンは3倍に増えるともいわれ
体内でビタミンAにかわるカロチンは、免疫機能
を高めたり発ガン予防の働きも期待できます。

 

また、意外なことに干し柿は二日酔いの予防
にも効果があり、江戸時代の『本朝食鑑』にも
柿が酒毒を解すると記載されています。

 

その上,脾臓を健康にし下痢を止め、咳や
吐き気をおさえて、お酒の悪酔いを防いだり
火傷にも効くなどと書かれています。

 

「火傷に効く」というのは、Bカロチンが粘膜を強くする
働きがあることを指しているのかもしれませんね。

 

 

160208suikanshuku市田柿を使ったお菓子「粋甘粛」源吉兆庵

 

 

 

干し柿はショ糖が分解される

干し柿はカロリーは高めとよくいわれます。
大きさにもよりますが、1つ100キロカロリー前後。
ダイエットをしている人は気をつけて
というほどのカロリーでもありませんね。

 

でも貧血気味の人は摂り過ぎに
注意をした方がいいかもしれません。
干し柿に多く含まれているタンニンは
鉄分の吸収を妨げることがありますので。

 

生柿の状態での糖分は、ショ糖が60〜80パーセント
を占めて、残りはブドウ糖(10〜20パーセント)
と果糖(10〜20パーセント)。

 

干し柿は、ショ糖が分解されてブドウ糖
(50パーセント)と果糖(50パーセント)に変化します。

 

 

生柿
*******ショ糖*******ブドウ糖果糖

              ↓

干し柿
****ブドウ糖**********果糖****

 

 

干し柿の表面の白い粉はブドウ糖ですが、体内吸収が早く、
筋肉や脳へのエネルギー源として重要な物質として有名。

 

前々回の「ブルーソーラーウォーター」から始まり、
前回の「紀ノ川柿お日様が作る柿色」、そして今日の
「市田柿」と、太陽光を浴びることにより成分が増えたり
変化したりというのはとても興味深いですね。

 

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紀ノ川柿(お日様が作り出す柿色)「プレッセプレミアム」東京ミッドタウン

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161113kinokawagaki

 

 

「紀ノ川柿」発見

ブルーボトルコーヒーの帰りに、東京ミッドタウン
の24時間営業のスーパーマーケット
プレッセプレミアムで見つけた「紀ノ川柿」。

 

名前を見た瞬間に「コレはアレではないか?」
と思い買ってきました。

 

2年ほどまえのブログ「柿は本来、渋柿が基本で
甘柿は突然変異種(!)」
に出てきた
「紀ノ川柿」って、これだったのですね。

 

外見は普通の柿ですが、あえていうならば
少し大振りで、私が普段買っている柿よりも
ちょっと色が濃いでしょうか?

 

 

121123kaki「平核無柿(ひらたねなしがき)」で作った柿のうさぎさん切り

 

 

 

甘柿、渋柿

私がよく買う柿は「富有柿」と「次郎柿」ですが
この2つは  完全甘柿  といわれる柿で、1000種以上
ある柿の品種の中で、完全甘柿といわれるものは
たった17しかありません。

 

完全甘柿に対して、不完全甘柿
と呼ばれる柿もあります。

 

これはタネが作られると、その周辺に褐班
(いわゆる「ゴマ」とよばれるもの)が
できて甘柿となるもののことです。

 

また、不完全渋柿  という柿もあり、タネの近くは
不完全甘柿のようにゴマが入って、甘くなる
のですが、それ以外の部分が渋い柿をいいます。

 

その他には  完全渋柿  といって、種子の有無に
かかわらずにゴマが生じない渋柿があります。

 

 

141125kaki不完全渋柿の「筆柿」

 

 

 

甘さ、渋みに関する柿の4つの分類

1 完全甘柿

「富有柿」「次郎柿」「伊豆」「太秋(たいしゅう)」
「松本早生富有(まつもとわせふゆう)」「前川次郎」

 

2 不完全甘柿

「西村早生(にしむらわせ)」「赤柿(あかがき)」
「久保(くぼ)」「甘百目(あまひゃくめ)」

 

3 不完全渋柿

「平核無(ひらたねなし)」「刀根早生(とねわせ)」
「会津身不知(あいづみしらず)」
「筆柿(ふでがき)」

 

4 完全渋柿

「愛宕(あたご)」「西条」等

 

 

141125hudegaki「筆柿」

 

 

 

「紀川柿」は「平核無柿(ひらたねなしがき)」を加工したもの

甘みや渋さを基準にした、柿の4つの分類の
3つ目にでてきた「不完全渋柿」の中の
「平核無(ひらたねなし)柿」を、独自の栽培
をしたものが、今日の「紀ノ川柿」です。

 

「紀ノ川柿」という名前は、柿の種類ではなく
「平核無柿(ひらたねなしがき)」を木に成った
状態で渋を抜く方法で作ったものを指します。

 

「平核無柿(ひらたねなしがき)」は名前の
通りに、もともとタネがない柿で、新潟県が原産。
原木は1962(昭和37)年に
新潟県文化財に指定されています。

 

ただし名前は「平核無柿」ではなく「八珍柿」という名。
これは「越後七不思議」の次の八番目に珍しいこと
という意味合いから「八珍柿」と名づけられたそうです。

 

 

kaki131116本物の柿と、赤坂「青野」の柿

 

 

 

様々な名前で広まっていった「平核無柿」

明治時代に山形県鶴岡市の農家が、新潟から仕入れた
苗に「平核無柿」が混じって入っていたことから
この品種は次第に「庄内柿」の名で広がっていきます。

 

この他にも新潟県佐渡島では、「平核無柿
(ひらたねなしがき)」を「おけさ柿」と呼ぶなど
「平核無柿」はそれぞれの地で名づけられ
たくさん作られています。

 

現在は、甘柿生産量の約80パーセントは「富有柿」
が占めていますが、渋柿生産量の約80パーセント
は、「平核無柿(ひらたねなしがき)」
が占めているということです。

 

 

141209aogaki熟す前の「青柿」

 

 

 

青いうちに1つ1つビニール袋に被せる

「平核無柿(ひらたねなしがき)」はタネがなく
不完全渋柿ですので、そのままでは出荷できず
炭酸ガスなどを用いて渋みを抜きます。

 

この渋抜きをした柿は「合わせ柿」、
「さわし柿」と呼ばれます。

 

一方「紀ノ川柿」は、柿の実が木に
成っている状態で渋を抜きます。

 

「平核無柿(ひらたねなしがき)」が
まだ青いうちに、固形アルコールを入れた
ビニール袋を、柿の実一つ一つに被せます。

 

右が普通の「平核無柿(ひらたねなしがき)」。
左が、固形アルコールを入れた袋を
被せて栽培した「紀ノ川柿」。

 

 

w18b「紀川柿」(左)と「平核無柿」
(右)(写真/「近畿農政局」)

 

 

 

「平核無柿」→「紀ノ川柿」に変身

ビニール袋を被せてから、ほぼ1日経つと渋は抜けて
いきますので、袋の底を切り開いて、柿が熟して
色づくまで、その状態でおいておきます。

 

このように手間がかかり、和歌山県北部の紀ノ川流域
が主な生産地となっていることから、「平核無柿
(ひらたねなしがき)」ではなく「紀ノ川柿」という
名前で呼ばれ、お値段も少々高く設定されています。

 

私が普段買っている柿の、3倍から
4倍位といったところでした。
だから、お仏壇のお供え用に1つしか買えなかったの。

 

 

 

 

「紀ノ川柿」は普通の「平核無柿(ひらたねなしがき)」
よりも完熟させる時間が必要なために、出荷は遅くなり
10月下旬から、11月半ば頃までが店頭に並ぶ時期。

 

今回、私が「紀ノ川柿」を見つけたのは、以前ブログ
で書いたことが頭のどこかにあったからかもしれま
せんが、そうであったにしろないにしろ「紀ノ川柿」
に出会ったのは初めてではないかと思います。

 

見た瞬間、色が濃いと感じましたが
それは、木に成ったまま熟成させているが故の
こっくりとしたオレンジ色だったのですね。

 

 

161113kinokawagakiプレッセプレミアムで買った「紀ノ川柿」

 

 

見慣れている普通の柿が、何となく
色あせたような感じがしたほどです。

 

ただ、この濃い色ですと今までの経験では、かなり熟し
過ぎで、とろとろと柔らかくなっているはずですが
「紀ノ川柿」はしっかりとした食感が残っていました。

 

未熟なうちに採ってしまわずに、樹上で熟成させる
ということはこういうことなのだ、と納得した次第。
また木に成ったまま熟成させているので
その分、大きいようです。

 

 

161113kikawagaki「紀ノ川柿」を切ったところ

 

 

外見だけではなく、切ってみた内面もまた
普通の「平核無柿(ひらたねなしがき)」よりは
ずっと色が深く、黒いゴマが入っています。
このゴマは、渋みの成分であるタンニンが固まったもの。

 

糖度は16〜18度といわれて、かなり甘いのが
特徴の「紀ノ川柿」ですが、私は糖度に
関しては、それほどとは思いませんでした。

 

むしろ、この色でありながら
しっかりした実の歯触りの方に驚きました。

 

 


こちらは下記の干したもの「かゆり」(かゆりファーム)

 

 

最初に「紀ノ川柿」を見た時に、色が濃いと
思いましたが、それは単に色が濃い
というだけではないものも感じていたのです。

 

ちょっと違った趣のある柿色は
太陽光が作り出した色だったのですね。

 

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