甘草(リコリス、licorice)

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三大治療によらない栄養療法

現代の国民病ともいわれるガンですが
日本では「手術」「抗がん剤」「放射能」
という三大治療が一般的なようです。

 

ところが1990年、アメリカの国立がん研究所(National
Cancer Institute)は、三大治療によらずにがん発症を
抑える成分をもつ植物性食品「デザイナーズフーズ」
を摂る栄養療法を発表しました。

 

約40種類の食品をピラミッドの形でまとめたもの
ですが、ピラミッドの上の方に記載されている食品
ほどがん予防の効果が高いとされているものです。

 

 

「デザイナーズフーズ」」

 

 

ピラミットの一番上、第一段階には8つの食品
「キャベツ」「大豆」「甘草」「ニンニク」
「ニンジン」「ショウガ」「セロリ」
「パースニップ」が記載されています。

 

ほとんどはお馴染みの食品ですが、最後の
「パースニップ」は耳慣れない野菜でしたので
こちら(「パースニップは英語圏で人気の野菜」
「パースニップとルートパセリ」」は
ブログで取り上げてみました。

 

 

バーズニップ

 

 

「パースニップ」以外では「甘草」が
ちょっと微妙でしょうか?

 

「甘草(カンゾウ)」という名前自体は知って
いても、お薬、生薬としてで、食品としては
あまり馴染みがないというのが正直なところです。

 

私にとって「甘草」はなんといっても漢方薬ですが
風邪薬や咳止めの薬としても使われていて、その際は
「甘草」という名前ではなく、「グリチルリチン酸」
や「リコリス」などと表示されています。

 

 

 

お菓子のリコリス

「リコリス」と聞いて思い当たった方も
いらっしゃるかもしれませんね。
そう、お菓子のリコリスです。

 

 

ハリボー社の「リコリス キャンディ」

 

 

この写真は一見、何かのコードの写真に
見えますがこれがリコリスです。

 

見かけ同様(?)味も、ちょっとヘンテコリン
なもので、日本人にはあまり好まれませんが、
欧米では子どもから大人までかなりの人気者。

 

そうそう、日本では仁丹(ジンタン)
が甘草を使っています。

 

仁丹はお薬ではありませんが、まあちょっと
それ系という感じで捉えられていますが、
外国ではあの味のお菓子が好まれているのですね。

 

写真のリコリスキャンディを作っている「ハリボー社」
はドイツの会社で、世界最大のグミ製造会社です。
リコリスキャンディといっても
キャンディよりは「グミ」に近い食感。

 

 

 

ハリボー社のクマの形の「グミ」

 

 

 

ギリシャ語から

英語の「リコリス(licorice)」は
ギリシャ語の「グリキス(Glykys=甘い)」
と、「リザ(rhiza=根)」の合成語である
「グリキルリザ」に由来したものといわれています。

 

日本でもそのまま「リコリス」あるいは
「リコリッシュ」といい、スウェーデン語
「lakrits」や、デンマーク語の「lakrids」
などから「ラクリッツ」と呼ばれます。

 

和名の「甘草(カンゾウ)」はそのままで
甘みを持っている草の意味。
甘草の甘み成分である「グリチルリチン酸」は
お砂糖の数十倍もの甘さがあるといわれています。

 

 

マメ科の「甘草(カンゾウ)」の花

 

 

 

「甘草」は世界最古の生薬

古代ギリシャの医学の父といわれるヒポクラテス
(紀元前5〜4世紀)の『ヒポクラテス全集』や、
生薬学の父・テオフラステスの植物誌にも喘息、咳止め
などの効果があるとして甘草が記載されています。

 

アレキサンダー大王やカエサルの遠征軍に従軍した
兵士たちも、甘草を携行していったということ。

 

古代エジプトのツタンカーメン王(紀元前1367〜
1349年)の墳墓の副葬品の中にも大量の甘草が
あったといいますので、ツタンカーメンも
甘草を使っていたのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

「あらゆる薬の中心として……」

それまでは呪いや占いの域にあった医療から
陰陽五行の思想を人体に当てはめて、薬物に
よる医療が、中国で行われるようになったのは
春秋時代(紀元前770〜403年)でした。

 

中国医学の基本となる知識を
  『神農本草経』(薬物書)、
  『黄帝内経』(中国最古の医学書)、
  『傷寒雑病論』(処方集)
と3冊にまとめたのは『漢』の時代です。

 

現在の私たちも「漢方」という言葉をよく使い
ますが、それはここから来ているのだとか。

 

この『神農本草経』の中で「甘草」は
「あらゆる薬の中心として『国老(帝王の師との意味)』
という名を与えられている」と記されているそうです。

 

 

山梨県甲府にある「甘草屋敷(高野家)」
(写真/「富士山大好き」)

 

 

 

正倉院にも収蔵

日本では奈良時代(8世紀)の宝物が収蔵されている
正倉院にも、朝鮮人参などとともに甘草が香草類に保存
され、平安時代の律令制度の実務の便宜を図る為に編纂
された『延喜式』にも貢物として甘草が記されています。

 

また、山梨県塩山市には「甘草屋敷」
なるものがあるそうです。

 

これは江戸時代に薬用としての甘草を栽培し
幕府に収めていた高野家のお屋敷のこと。

 

(「旧高野家住宅 甘草屋敷」
*y〒404-0042 山梨県甲州市塩山上於曽1651
  0553-33-5910)

 

八代将軍・徳川吉宗の時代の1720(享保5)年から、
1872(明治5)年にいたるまでの間、幕府薬用として
甘草の栽培と管理を申し渡されていた高野家が
甘草を栽培していた場所です。

 

 

カンゾウの根(写真/「10 ceaiuri ce pot inlocui cafeaua」)

 

 

甘草の原産地は、地中海地方、ロシア南部、
中国北部、北アメリカなど。

 

マメ科の多年草で、高さは40〜70センチほどですが生薬
として使う地下茎は長さ1〜2メートルほどにもなります。

 

日本では300年以上前から、上記の甘草屋敷や江戸の
小石川御薬園で栽培されていましたが現在、日本で使用
されている甘草は、中国やアフガニスタン、オースト
ラリアなどから年間約8千トンも輸入されているもの。

 

しかし品質が一定ではないこと以外に、中国では甘草
の採掘が問題視され、難しくなりつつあることも鑑み
日本での栽培、生産が試みられているようです。

 

 

ハリボー社の「リコリスキャンディ」
味は好みが分かれそうですが、形はかわいいですね

 

 

 

甘草の薬効

読んで字のごとく甘い草「甘草」に含まれる
グリチルリチン酸やブドウ糖、ショ糖はお砂糖の
50倍とも100倍ともいわれる甘さを持っています
ので甘味料としても使われています。

 

甘草は緊張を緩和させ、活性酸素を除去する働きがあり
免疫力を高める効果も期待できる上、グリチルリチン酸
には肝機能障害やアレルギーに有効といわれています。

 

またグリチルリチン酸とそのほかの成分が
消炎作用や美白効果を持つことから、薬として
だけではなく、化粧品としても使われます。

 

 

 

 

ただし、どんなものもそうですが
甘草には副作用もあります。

 

血圧の上昇、手足の脱力感、頭痛、むくみ等々、
広範囲にわたる症状がありますので
取りすぎには注意が必要です。

 

副作用の出やすい人の特徴としては、
 1 服用期間が長い
 2 高齢になるにつれ
 3 男性より女性
 4 小柄な人
ということで、子どもや妊娠中の人は特に注意が
必要なようですので気をつけてくださいね。

 




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