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「臭気判定士」
臭気環境分野で初めての国家資格に
「臭気判定士(周期測定業務従事者)」
があります。
1996年(平成8)の悪臭防止法の改正
により、臭気測定法による臭気指数
規制が導入されました。
これにより悪臭の発生源である事業者
に対して、市町村が改善勧告・改善命令
を行うことができるようになりました。
人の嗅覚を使った臭覚測定法による
臭気の濃さの正しい測定や評価により
においの測定をしますが、
臭気判定士は、この測定法による測定
を管理、統括する責任者としての業務
をおこないます。
嗅覚測定法
法で定められている22種類の特定悪臭
物質を規制するだけでは、悪臭苦情を
解決することができない場合があります。
人間がにおいを感じなくなるまで希釈
した倍数(臭気濃度)で、においの強さ
を測定する方法が嗅覚測定法です。
分析機器で測るよりも、人間の嗅覚で
測定する嗅覚測定法が主流となっている
というのは興味深いですね。
現在、全国で年間24,000件以上も
発生している悪臭苦情に対して
臭気判定士が対応しています。
工場や事業所からのにおいを測定
するのが主な仕事ですが、自治体から
の委託を受けるには資格が必要です。
就職先は、環境等の分析業、化学・
医薬品業、機械・プラント業などの
企業や団体が主なものということ。
また、ISO14001(環境マネジメントシス
テムの国際規格)の取得に取り組む企業
が自主的な環境管理のために資格を取得
するケースも増加しているということです。
臭気判定士試験
受験資格は18歳以上の人、試験は
筆記試験と嗅覚検査を行います。
筆記試験は以下の5つです。
1 嗅覚概論
2 悪臭防止行政
3 悪臭測定概論
4 分析統計概論
5 臭気指数測定実務
嗅覚検査は、1〜5までの番号のつい
た「におい紙」から、基準臭液のつい
た2つを嗅ぎ分けるというもの。
5種類の基準臭について、においの
ついたにおい紙をかぎ当てられれば
合格となります。
素人考えですと嗅覚が鋭敏でなければ
いけないような気もしてしまいますが
特に鋭敏である必要はないそうです。
悪臭の苦情現場に来て、困っている人
と同じように感じられることが重要で
敏感でも鈍感でもよくないとか。
「正常な嗅覚」が求められる、という
当然といえば当然の基準のようです。
臭気判定に使われる基準臭液
物質名・化学組成・においの質・基準濃度
の順で記載します。
_____________________
β-フェニルエチルアルコール
(C3 H100)
花のにおい、バラの花びらのような香り
10の-4.0乗
_____________________
メチルシクロペンテノロン
C6H8O2
甘いこげ臭、プリンの茶色の部分のようなにおい
10の-4.5乗
_____________________
イソ吉草酸
C5H10O2
汗くさいにおい、むれた靴下のにおい
10の-5.0乗
_____________________
γ-ウンデカラクトン
C11H20O2
熟した果実臭、桃の缶詰のようなにおい
10の-4.5乗
_____________________
スカトール
C9H9N
かび臭いにおい、糞に含まれているにおい
10の-5.0乗
______________________
「メチルシクロペンテノロン」は
プリンの上部の焦げ茶色のようなにおい
臭気判定士免状の有効期限は5年間
更新をする場合は、有効期限の6か月
前から行われる嗅覚検査をうける必要
があります。
免状の更新をしなかった場合は失効
してしまいますが、たしかにこのよう
な感覚を問うものは、一度の合格で
一生可能とはいかないものでしょう。
私も大昔、水上安全救助員の資格をとった
ことがありましたが、それも有効期間が
あり、当然のことながら現在は無資格です。
臭気判定士免状所有者は3017名
臭気判定士の試験は、1996年(平成8)
の悪臭防止法の改正に関わっています
ので、試験は同年から始まりました。
合格率は、
1999年(平成11)で20%、
2007年(平成19)が47%で
近年の合格率は、25.2%ほどだということ。
昨年、2019年度の11月に行われた東京都、
愛知県、大阪の試験には505名が受験を
して、125名(合格率24.8%)しました。
また、昨年の3月31日時点での臭気判定士
免状所有者数は3017人となっています。
脳の反応部位が変わってしまった!?
臭気判定士の第1回の合格者である
石川栄一さんが興味深い話をして
いらっしゃいました。
石川さんがにおいを嗅いだ時に、脳の
どの部分が反応するのかを、大脳生理学
の教授が、調べてみたそうです。
「いいにおい」は快感反応、「悪いにおい」
は嫌悪反応を示すのが普通ですが石川さん
は何を嗅いでも反応が同じだったとか。
その上、はっきりわかるにおいには反応
しないで、薄いにおいには非常に強く
反応するというように、臭気判定士仕様
の脳になっていたということです。