月下美人

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7月19日の誕生花は月下美人

以前から一度見たいと思っていた月下美人
の花を、7月11日(土)の夜に見ることが
できました。

 

月下美人とは、サボテン科クジャクサボテン
属の常緑多肉植物で、夜にしか咲かないので
月下美人といい、直径は20cmもあろうかと
いう大輪の花です。

 

月下美人に似ているクジャクサボテン属
(Epiphyllum属)は、日本に多く流通して
いますが交配種が多いそうです。

 

一方、月下美人は原産地からそのまま
導入された原種です。
原産地は、メキシコの熱帯雨林地帯。

 

 

木に着生する「カトレア」
(写真/「南米コロンビア・雲と星が近い町から」)

 

 

月下美人はサボテン科ではありますが
いわゆるトゲトゲサボテンを、
「砂漠生サボテン(ディザートカクタス)」
というのに対して、

 

月下美人は、
「森林生サボテン(ジャングルサボテン)」
になります。

 

うっそうと生い茂ったジャングルの中で
古木の幹や腐葉土の苔層に根をおろす着生
植物、ということは少し前に御紹介した
カトレアや胡蝶蘭と同じですね。

 

 

木に着生する「胡蝶蘭」
(写真/「Hitohana 」)

 

 

 

「月下美人」の名の由来

1923年に昭和天皇が台湾を訪れた際、名前を
問われた田(でん)台湾総督が「月下の美人
です」と答えたことから、この名前が日本で
定着したといわれています。

 

学名は「Epiphyllum oxypetalum」で
英名は「Dutchmans pipe cactus」。

 

英名が似ている「dutchman’s pipe」と
いう名の植物もありますが、こちらの
和名は「ウマノスズクサ(馬の鈴草)」。

 

 

dutchman’s pipe(ウマノスズクサ・馬の鈴草)
(写真 /「みんなの花図鑑 goo」)

 

 

和名の由来は、葉の形が馬面で、
実が馬の首につける鈴に似ている
ことからつけられということです。

 

和名とは全然関係のない英名の
「dutchman’s pipe」は、オランダ人
のパイプみたいということでしょうか?

 

 

 

「オランダ人のパイプのようなサボテン」?

それでは、月下美人の「Dutchmans
pipe  cactus」の方は、「オランダ人の
パイプのようなサボテン」??

 

「Dutchmans pipe cactus(月下美人)」と
名前が結構似ていた「dutchman’s pipe」、
お花はあまり似ていませんが、つぼみだと
形が似ているといえるかもしれません。

 

 

「月下美人」のつぼみ

 

 

ぐにゅ〜とした形がパイプに
似ているということで。

 

月下美人には「Dutchmans pipe cactus」
以外にも「A Queen of the Night」という
英名もあり、こちらの方が美しいですね。

 

これ以外にも「Moonlight Cinderella」など
がありますが、しかし何といっても田台湾
総督の「月下の美人です」の言葉よりふさ
わしいものはないような気もします。

 

 

花のない時期の「月下美人」

 

 

この写真は、花のない時期の月下美人
ですが、長い葉っぱのように見える
ものは「茎節(けいせつ)」です。

 

本来は茎だったものが平たくなって
葉っぱのようになったものだそう。

 

葉っぱから葉っぱが出て
いるようにも見えます。

 

 

 

流布されているいくつかの間違い

1 一年に一度しか咲かない ✖︎

月下美人は夜に花開き、朝にはしぼんで
しまう1日限りの花ですが、1年に一度しか
咲かないというのは間違いだそうです。

 

状態が良ければ年に数回、6月〜9月
に開花することもあります。

 

 

 

 

2 満月の夜にしか咲かない ✖︎

「新月の夜にしか咲かない」
「満月の時だけ咲く」というのも誤り。

 

 

3 「美人薄命」の言葉の由来説 ?

こちらは正直なところ、あっている
のか間違いなのか、わかりません。

 

「月下美人」という花の名前が日本
に流布したのは1923年以降です。
美人薄命はそれ以前からあった言葉
のような気もするのですが……。

 

美しすぎる故に、いろいろな物語
というか物語性をまとわせてしまう
ものなのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

夜に存在を示すための芳香

月下美人といえば、その芳香でも有名です
が、それは花粉の媒介をフルーツコウモリ
に託しているために夜、芳香を放つのです。

 

月下美人の花の形も、フルーツコウモリ
にミツを吸いやすいように配慮した形に
なっています。

 

 

「月下美人」のつぼみ

 

 

確かに、多くの花のように上に向いて開花
をしていたら、コウモリにはミツを吸いず
らいかもしれませんね、あと下向きでも。

 

そう考えますと、オランダ人のパイプ型
の花は、飛んでいる鳥や昆虫にとっては
便利な形といえそうです。

 

フルーツコウモリは、ホバリングしながら
月下美人の花に顔を埋めてミツを吸い、
花粉を顔につけたまま他の花に向かいます。

 

 

「月下美人」

 

 

 

あたり一帯を覆う芳しい香り

香り自体は、甘く濃厚な強い香りを放出し
10m一帯に広がるほどといわれています。

 

香りについて「月下美人愛好会」の方が
面白いことを書いていらっしゃいました。

 

あくまで個人主観としながら
「甘い湿布の匂い」と説明しています。
そういえば「薬箱の中の包帯」という
表現をしている方もいました。

 

初めての人は「何?  この匂いは?」と
幻滅すると聞き、「月下美人愛好会」さん
も初めはそうだったようです。

 

 

間も無く開く「月下美人」

 

 

ところが慣れてくると「クセになり恋しく
なる香り」となってゆき、多くの方が
禁断症状になっていると説明しています。

 

実は私、この香りがわからなかったのです!
その事実に驚き、またショックを受けて
今日のブログを書きました。

 

とはいえ少々長くなっていまいましたの
で続きは次回ということにしましょう。

 

 

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葉芽や花芽はいつできる?

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冬芽は夏頃から作られ始める

冬を越して次の春に芽を出す花芽や葉芽を
「冬芽(ふゆめ、とうが)といいます。

 

冬芽は、早いものですと夏ごろから作られ
始め、目立ち始めるのは落葉後の11月末頃、
冬の前に冬芽になります。

 

ということは、昨年の春に芽が出た植物の
場合、その葉が枯れ落ちる前に既に今年の
春に出る芽ができているということですね。

 

秋になり夜が長くなると、葉でアブシジン酸
という物質が作られて、芽にアブシジン酸
が多くなると冬芽になるのです。

 

時々、晩秋に桜が咲いたりしますが
これは毛虫などに葉っぱが食べられて
しまいアブシジン酸が作られずに、ツボミ
が冬芽になれずに開花しまったものです。

 

 

枝の途中に2本長く見えているのは「花芽」
でしょうか?、あるいは新芽ならぬ新枝?

 

 

 

「葉芽(ようが)」「花芽(かが)」

時々「混芽(こんが)」

冬芽には、
葉っぱになる「葉芽(ようが)」と、
花になる「花芽(かが)」があります。

 

両者は形で区別することができます
が、わかりにくいものもあるよう。

 

また、葉と花が一緒に入っている冬芽も
ありこれを「混芽(こんが)」といいます。

 

 

オークの花は、こんな地味な花です

 

 

 

冬芽の3つのタイプ

1 「鱗芽(りんが)」
(魚の鱗のような皮や毛で覆われている)

最も多いタイプで、
サクラ、ケヤキ、コナラ  =  魚の鱗タイプ
モクレン、コブシ、ホオノキ  =  毛で覆われた

 

2 「裸芽(らが)」
(覆われていない芽)

アジサイ、ムラサキシキブ、マンサク

 

3 「隠芽(いんが)」
(葉痕や樹皮の中に隠れている芽)

プラタナス、ネムノキ、ニセアカシア

 

 

真ん中が「葉芽」
両側の丸いのが「花芽」
この木は「アブラチャン」というそうです
(写真/「鎌倉発  旬の花」)

 

 

 

メインがダメだった時は「副芽 ・ふくが」

春になって出る新芽「主芽(しゅが)」
の他に、予備の芽を準備する木もあり
その芽を「副芽(ふくが)」といいます。

 

副芽は、主芽が成長できなかった時に
その代わりを務める、いわばスペアー。

 

何かの時の備えとしての副芽ですが
何事もなく主芽が順調に生育した時
には、消えてしまうそうです。

 

 

 

 

 

「わかったこと」と「わからないこと」

以上のことから、前回のブログで書いた
わが家のオークが、昨年秋と今年の春に
新芽が出たことを考えてみますと……

 

 

わかったこと

春に出るべく用意していた「主芽
(しゅが)」が、昨秋出てしまったため
今春は予備の「副芽(ふくが)」が出た
ということ。

 

秋に新芽が出てしまったので、今春分が
ないのでは?、と心配していましたが
ちゃんと副芽の用意があったようです。

 

 

わからないこと

秋の夜長に葉に出てくるアブシジン酸が
多くなると冬芽になるが、毛虫などに葉
が食べられ、アブシジン酸が作られない
と冬芽になれない、ということです。

 

ですが、わが家のオークの葉っぱに
そのような痕跡はみられませんでした。

 

アブシジン酸が作られず(多分)、冬芽
にならずに秋に新芽が出てしまった理由
がわかりません。

 

なぜ昨秋、本来は今春の分の新芽が
あんなに多く出たのかは、未だに謎です。

 

 

 

冬芽の様子

(イラスト/「冬芽と葉痕」)

 

 

上のイラストは、とてもわかりやすい
ものでしたので「鎌倉発 旬の花」さん
から拝借しました。
使用されている用語について
簡単な説明をしておきましょう。

 

 

「頂芽(ちょうが)」

茎の先端にある芽のこと。

 

「側芽(そくが)」

頂芽に対して、下の方にあるわき芽のこと。

 

「頂芽」と「側芽」が共存する時は、
頂芽がよく成長しますが、その理由は
頂芽から側芽への植物ホルモンの働き
により成長が抑えられているためと
考えられています。
頂芽が成長できなくなった場合、その
ホルモンがなくなり、今度は側芽が
成長を始めるのです。

こちらはうちのオークです。「頂芽」は
わかりますが、「側芽」はわかりません……

 

 

 

「芽鱗(がりん)」

先ほどの冬芽の鱗状の器官のこと。

 

 

 

「芽鱗痕(がりんこん)」

芽鱗がついていたあとのことで、枝の
先端から見ていき、最初にある芽鱗痕
までが前年に伸びた枝になります。
中には古い芽鱗が落ちないで
ついているものもあります。
枝先から芽鱗痕を数えていくと、その枝
の部分が、何年前のものかわかります。
冬芽が裸芽の枝には、芽鱗痕はみられません。

 

 

 

「葉痕(ようこん)」

葉が枝から落ちたあとにできる
葉がついていた部分のこと。
葉痕の輪郭は円形、三日月型、
線状など様々です。

 

 

 

「維管束痕(いかんそくこん)」

維管束とは、水分や養分が通る管のこと
で、葉、枝、幹、根とつながっています。
葉痕に、その管の断面が斑点のように
残っているのが維管束痕。
人や動物の顔に見えるおもしろいもの
もあります。

 

 

 

「腋芽(えきが、わきめ)」

葉腋にできるので腋芽と呼ばれますが
「側芽(そくが)」と同じ意味。

 

 

 

「皮目(ひもく)」

樹木の樹皮に形成され、気孔の代わり
に植物の空気の流通をさせる組織。
コルク層の発達した部分に、コルク層
を破って割れ目状に見え、シラカバ
では細長い縦の線に、キリやニワトコ
では縦の線として見えます。

 

いっぱい見えるのが「皮目」でしょうか?
(赤坂サカスのサクラ)

 

 

 

「髄(ずい)」

茎は、維管束が円筒状に形成されて
いますが、その中心部にみられる
柔組織のことを髄といいます。
草木植物の中には、イネやタケ、トクサ
のように、茎の急激な成長によりこの部分
が破壊され髄腔になるものもあります。

 

 

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秋に新芽が出たオーク、今春も新芽が出ました!

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秋に紅葉をしなくなったオーク

昨年の秋、2019年10月にわが家のオークが
本来、今年の春に出すはずの新芽が出るとい
う異変が起きていることをお伝えしました。

 

異変はそれのみならず、2、3年前
から秋に紅葉しなくなっていたこと
も気になってはいたのですが。

 

もっとも全く紅葉しないと
いうわけではありません。

 

本来の美しい紅葉とは程遠い、緑色から
黄色やベージュといった色を経ずに生気
のない薄茶色になって落ちる紅葉でした。

 

次の2枚は、例年のオークの紅葉です。

 

 

本来のオークの紅葉

 

 

また中には、薄茶色になることすらせずに緑色
の部分を残したまま枯れ落ちてゆく葉もあり、
紅葉する力がないというような感じ見えました。

 

例年ですと枯葉が少しずつ落ち、全ての葉が
落ちるのは12月の終わり頃なのですが、昨年
2019年は、10月の半ばには数枚を残すのみ。

 

 

 

秋に新芽が!

その上、驚いたことに枯葉が落ちきる前に
本来は今年の5月頃に出るはずの新芽が
1つ2つではなく、次々と出てきたのです。

 

 

(昨年2019年10月)
枯葉の残る木に新芽が次々と

 

 

右のほうに2枚、左に1枚の枯葉の中ほどに
新芽がいくつも出ているのがご覧に慣れます
でしょうか?、逆光で見づらいのですが。

 

考えてみれば、2019年は新芽が出て花が咲く
というサイクルが、いつもより異常に速かった
ことが不思議で気になっていました。

 

何か、とても急いでいるような感じ。
そして咲いた花が実を結ぶこともなく
当然ながらどんぐりはできませんでした。

 

昨年の年末、いつもならば枯葉も全て
落ちている時期に、新芽がたくさん出て
いるオークを見て私は不安になりました。

 

これだけ沢山の新芽が出てしまい、来年の
春にはどうなってしまうのか?、来年の分
の新芽は残されているのでしょうか?

 

私はオークが枯れてしまう
のではないかと心配でした。

 

 

(昨年2019年10月)
枯葉と新芽が共存するオーク

 

 

この写真は、2019年10月17日に撮ったもの。
新芽が出るであろう場所からは、ほぼ
全て芽がでているようにも見えます。

 

この後、大きさは小ぶりながらも
葉っぱは成長してゆきましたが
やはり弱々しい感じは否めません。

 

お正月に緑色の葉が出ているオークを
初めて見ながら違和感を覚えたものです。

 

新年の寒さを耐えていたオークの葉でした
が、やはり耐えきれなかったのか、2月頃
には一斉に枯れてゆきました。

 

次の写真の真ん中あたりに見える枯葉が
今年の2月頃に枯れた葉っぱです。

 

 

2020年 春の新芽と
昨秋、間違って出て枯れた葉

 

 

 

2020年、春 新芽が出ました!

そして迎えた2020年、今年の春。
なんとなんと、健気にもオークちゃん
は新芽を出し始めてくれたのです。

 

といっても、新芽の出そうな場所は全部
出てしまったはずなのですが、一体どこ
に新芽が隠れていたのやらと不思議な感じ。
どこに隠れていたのでしょう?

 

全体的に大きさを含めて弱々しくは
ありますが、そんなに少ない数では
ない新芽が次々を顔を見せ始めました。

 

 

2020年 春のオークの新芽

 

 

こうしてアップの写真で見てみますと葉芽
のようなものが結構、たくさん見えます。

 

ただ、これら全部が葉を出すという
ことはなく、このまま朽ちてしまった
ものも少なからずありました。

 

葉芽は、7〜8か月前にて来ていると聞いた
ような気もするのですが、今回の秋と春
2度の新芽は、いつできていたのでしょう?

 

次に昨年の10月(上)と、今年の
春(下)の写真を2枚つけておきます。
見比べてみても私はわからないのですが……。

 

 

2019年10月(上)
2020年5月(下)

 

 

弱々しいながらも今年もオークが生きて
いてくれたことに、とにもかくにも
ホッと一息つけました。

 

ただ今年は、落葉等が正常なパターン
に戻れるのかどうかを心配しながら
ハラハラと見守ることになりそうです。

 

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