電磁波過敏症をめぐって 1 WHO(世界保健機関)の動き

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1996年「WHO国際電磁界プロジェクト」開始

世界保健機関( WHO)は、電磁界の健康
リスクに関する環境保健基準(クライテリア)
の改訂作業を行うため「WHO国際電磁界
プロジェクト」を開始しました。

 

翌年、低周波磁界についてはリスクが示唆
されている、高レベルの磁界曝露者が多い
地域における小児白血病の疫学調査が
さらに必要と指摘しています。

 

 

 

2000年6月 文書を提出

WHO(世界保健機関)は、携帯電話基地局
建設について「学校や幼稚園、子どもの遊び
場の近くに建てる際は、特別な配慮が必要」、
「立地決定には、警官や住民感情に配慮す
べき」という文書を出しています。

 

 

 

 

 

 

 

2001年6月27日

IAEC「人体への発がん可能性あり」

WHO(世界保健機関)の下部機関であるIARC
(国際がん研究所)は、フランスのリオンで
50〜60ヘルツの極低周波電磁場は、発がん
ランク(2B)の「人体への発がん可能性あり」
を全会一致で正式にランクづけをする画期的
な発表を行いました。

 

ワーキングメンバーは、米・英・仏・独・
カナダ・スイス・スウェーデン・デンマーク
・フィンランド・日本からの10か国、21名の
専門家により構成されており、日本からは
京都大学の宮腰順二氏が参加。

 

この発表を受けてWHOは、各国政府や電力
業界に「予防的な対策」として、

 

1 住民に十分な情報を提供する
2 被曝を減らす安全で低コストの対策
3 健康リスクの研究の推進などを講じるよう

 

伝えました。

 

 

 

 

IARCの見解は、送電線、家庭内配線や電気
器具から照射される ELF(極低周波)は、0.4μT
(マイクロテスラ=4ミリガウス)以上の磁場
で小児白血病がおよそ2倍との一定した統計上
の関係がみられるというもの。

 

IARCは「発がん性の有無を認定する機関」で
あり、がん以外の疾病との因果関係を決定する
機関ではありませんが、この決定は今後の
「電磁波の人体への影響」に関する議論に一石
を投じ、更に極低周波磁場の有害性は、高周波
やマイクロ波の有害性認定に大きな影響力を
及ぼすであろうと考えられました。

 

 

 

 

 

 

2002年  WHO事務局長が電磁波過敏症と告白

3月9日、WHO(世界保健機関)の事務局長
(前ノルウェー首相で小児科医)のグロ・
ハーレム・ブルントラン氏が、ノルウェー
新聞(Dagbladet紙)で、自身が電磁波過敏症
にかかっていることを告白しました(彼女は
2003年7月、任期満了で引退)。

 

最初は、携帯電話を使うと耳の周辺が熱くなり、
次第に症状が悪化し、頭痛が起きるようになり
周辺4m以内の携帯電話に反応するように。

 

 


2002年に電磁波過敏症と告白した
グロ・ハーレム・ブルントラントWHO事務局長
(元ノルウェー首相、小児科医)

 

 

さらにDECTコードレス電話やラップトップ
パソコンに触れると即時に反応するように
もなってしまいました。

 

彼女は携帯電話やパソコンから出る電磁波に
対して過敏に反応する人たちがいるということ
を真剣に考える必要があると確信したそうです。

 

特に子どもたちに対しては予防原則に従って
行動すべきだと、強く訴えています。

 

 

 

 

 

 

2003年 国際電磁界プロジェクト会議開催

2月24日、ヨーロッパのルクセンブルグで
世界保健機関(WHO)国際電磁界プロジェ
クト会議が開催されました。

 

世界各国の医者や専門家、およそ100名が
参加し2005年に、電磁波に関する「予防的
措置」についてのガイドライン(指針)を
まとめることを決定しました。

 

 

 

2004年 国際セミナー

電磁波過敏症についてのWHOの国際セミナーが、
10月25~27日チェコのプラハで開催されました。

 

 

 

2005年 電磁波過敏症について発表

12月、 WHO(世界保健機関)は
電磁波過敏症の最新情報と対策をまとめ
たファクトシートを発表しました。

 

 

 

 

電磁波過敏症の存在を初めて認め、一般的
な症状として、皮膚症状(発赤、チクチク感、
灼熱感)、神経衰弱症、自律神経症状(倦怠感、
集中困難、めまい、吐き気、動悸、消化不良)
をあげています。

 

電磁波過敏症という症状が存在し、患者に
よっては日常生活に支障をきたす問題だと
認めました。

 

 

しかし、電磁波以外の室内空気汚染や騒音、
職場環境などのストレスなどが原因かもしれ
ないとし、これらの症状が電磁波にさらされ
て起きることを裏づける科学的根拠はまだない、
という姿勢です。

 

 

 

 

2007年 超低周波電磁波の基準を発表、勧告

6月、超低周波電磁波(0〜100 KHz)に関する
環境保健基準(EHC)を発表し、健康被害を
防ぐために予防的対策をとることを各国に勧告
しました。

 

日本や米国などでの疫学調査から、

「常時平均0.3〜0.4マイクロテスラ(テスラは
磁界や磁石の強さを表す単位)以上の電波にさら
されていると小児白血病の発症率が2倍になる。
電磁波と健康被害の直接の因果関係は認められな
いが、関連は否定できず、予防的な対策が必要だ」

と結論づけました。

 

 

 

WHOによりますと、通常の使用状況で電磁波
が強いのは、ヘアドライヤーや電気カミソリ、
掃除機、電子レンジなど。

 

環境保健基準は、高圧送電線から住宅地や学校
などの施設を一定の距離を開くなどの対策を
講じているイタリア、オランダなどの例を紹介。

 

テレビや電気カーペットなどの電化製品に
電磁波レベルの表示を義務づけることも含め、
各国に市民の電磁波曝露を減らすための法律
を整備するよう求めました。

 

 

 

 

高圧線付近で小児白血病の発症例が多いとの
アメリカの報告を受け、1996年から電磁波が
人体に与える影響を、WHOが調査していたもの。

 

携帯電話などが発する高周波の電磁波が、人体
に及ぼす影響についても調査を進めています。

 

しかしWHOが認めたのは、小児白血病との
関連性だけで、明確な基準値は発表しない
という消極的な内容でした。

 

 

 

この EHCには、電力業界が深く関与していて
公正な検証と評価が行われなかったという
指摘もあります。

 

EHCの発表から2か月後の2007年8月、独立した
立場から電磁波のリスクを評価し、現在の基準値
の見直しを進める報告書が発表。

 

こちらは電磁波の生体影響に関する研究で
世界的に有名な科学者や公衆衛生の専門家14人
からなる「バイオイニシエイティブ・ワーキング・
グループ」によるものです。

 

 

 

 

2011年 携帯で脳腫瘍の危険性を指摘

5月31日、世界保健機関( WHO)の専門
組織、国際がん研究機関は、「聴神経腫瘍
(脳腫瘍の一種)や神経膠腫(こうしゅ)
の危険性が限定的ながら認められる。
今後、携帯電話の長時間使用について調査
を続ける必要がある」

 

との調査結果を発表しました。
WHOの組織が、携帯電話に関して発ガン性
を指摘したのは初めてのこと。

 

当面の対策としては、「(耳に触れずに)
携帯電話のメールを使うなど、直接電磁波に
触れないような使用方法が重要だ」と指摘し、
なるべく携帯電話本体に触れる時間を短く
するよう提案しています。

 

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電磁波過敏症

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

 

 

電磁波過敏症
(electromagnetic hypersensitivity[EHS])

現在の私たちの暮らしは、さまざまな
電気製品とともに営まれています。

 

人間の体は、微弱ではありますが
電気信号を介していますので、それらの
から発する電気の影響を受けます。

 

多くの人はさほど影響を感じませんが、ある日
突然、電磁波に敏感に反応し、身体中に様々な
不調が現れる人を「電磁波過敏症」と呼びます。

 

「電磁波過敏症」の人の約8割に「化学物
質過敏症」が合併し、「化学物質過敏症」の
約2割に「電磁波過敏症」が併発するそうです。

 

 

 

 

 

電磁波過敏症の主な症状

目(痛み、まぶたの腫れ、視力低下など)

鼻(鼻づまり、鼻水など)

顔(火照り、歯や顎の痛み、湿疹など)

頭(頭痛、うつなど)

皮膚(湿疹、赤みなど)

 

症状が進むと
呼吸困難、動悸、めまい、吐き気、耳鳴り、
疲労感、手足のしびれ、不眠、肩の痛み、
筋肉痛、強い不安など

 

症状が似ているために「自律神経失調症」
や「ノイローゼ」「神経症」「気分障害」
などと間違われることもあるようです。

 

 

 

 

 

「心療内科」で相談

「電磁波過敏症」は、自らも病院の医療
機器が放つ電磁波により体調不調となった
アメリカの医師、ウィリアム・レイ博士
によって1990年に命名されました。

 

「電磁波過敏症」は約650万人の患者が
いると推定されていますが、現在はまだ
正式な病気とは認定されていません。

 

病気に準じた状態と捉えられ、具体的な
診療科はなく、総務省・電磁界情報センター
では「心療内科」の受診を勧めています。

 

 

 

 

 

電磁波の危険性を完全に証明した研究はまだない

とはいえ、弱い電磁波照射なのに、線虫の
体内が「まるで焼けたようになっていた」との
ポメライ論文(イギリス2000年)もあります。

 

2001年、スウェーデンの調査では、約1.5%が
「電磁波過敏症」だということですが、これを
日本にあてはめると180万人に相当します。

 

2002年3月に、元ノルウェー首相でWHO前
事務局長のブルトランド女史はインタビュー
で、「電磁波過敏症だ」と告白。

 

電磁波の人体影響の研究は、影響がある
という研究が増加しつつあるものの
影響はないとする論文も多いそうです。

 

しかし、元京都大学講師の荻野晃也博士は
「100%の危険証明がされていないことを
『安全証明』と考えるべきではない」
と記しています。

 

 

 

 

 

電界・磁界・電磁波

プラスとマイナスの電極が引き合ったり
反発しあったりという電気の力が働いて
いる空間=「電界」

 

磁石のN極とS極が、引き合ったり反発
という磁気の力が働く空間=「磁界」

 

電界と磁界が影響しあいながら流れる
場所に発生するエネルギーの波=「電磁波」

 

 

 

 

 

電磁波とは

電場と磁場とが相関している電気
の波のことで、波と粒子の性質を
持つ太陽光線の仲間の総称です。

 

以下の2つに分類されます。
「電離放射線」・「非電離放射線」

 

「電離放射線」
紫外線よりもエネルギーの高い電磁波
であり、原子力基本法、放射線障害
防止法で「放射線」と定義されます。

 

「非電離放射線」
電波法により3000GHz以下を「電波」
と定義され、日本ではこの「電波」を
「電磁波」と呼ぶことが一般的です。

 

 

 

 

 

電波には「高周波」と「低周波」がある

低周波
家電製品(電磁調理器、テレビ受像機、
多くの家電製品、電力線など)

 

高周波
高周波に低周波が混ぜられた変調電磁波が多く、
FM(周波数・変調方式)、AM(振幅・変調方式)
や、携帯電話では高周波と低周波の両方の悪影響
が予想されます。

 

デジタル(パルス)波はピーク電磁波が強いが
平均値では弱く、また400MHz以上のマイクロ波
では「ホット・スポット効果」(レンズ効果で
電磁波が集中して組織に熱を与えるような効果)
が問題になります。

 

 

 

 

 

電磁波をめぐる論争

1959年〜1976年
モスクワ米国大使館が1959年から電磁波照射
を受けていた事件は、1976年になり発覚。
大使や職員に健康被害の疑い

 

1970年代 ニューヨーク
カナダから電力を輸入する計画に対して
危険性を指摘する訴訟が起こり、
「ニューヨーク州送電線プロジェクト研究」
が行われる

 

1987年 アメリカ
アメリカの「ザビッツ報告」では
小児白血病の増加を指摘

 

1992年、スウェーデン
「カロリンスカ報告」で世界的な問題に

 

 

 

 

 

レーダー殺人事件

第二次世界大戦中は「レーダ操作は連続
4時間以内」と勧告されていました。

 

レーダの前を横切った軍人が死亡
しましたが、死因は体内が煮えきって
いたからということでした。

 

このレーダ殺人事件が、電子レンジ
の開発と普及の契機になったという
恐ろしい話もあります。

 

 

 

 

 

次第に危険性が問題になる

1996年頃、テレビや電話へのノイズ、電車の
ドアが走行中に全開する、ペースメーカーへの
影響、病院機器の誤作動等が問題になり、よう
やく日本でも話題に上るようになりました。

 

1993年、アメリカ最大の電力公社テネシー渓谷
電力(TVA)は、高圧送電線は学校・病院から
1200フィート(約400m)以上離すことを決定。

 

カリフォルニア州アーバイン市やスウェーデン
でも、電力線に関して配慮をしています。

 

欧米では、1980年代からVDT(ビデオ・
ディスプレイ端末)の危険性が問題となり
スウェーデンでは1990年にVDT規制が開始。

 

被曝量が多いと指摘された電気毛布
には、磁場を10分の1まで低減化した
ものも登場しています。

 

 

 

 

 

携帯電話の普及とともに

電話塔の建設が急増し、欧米、日本
ともに、住民の建設反対運動が続発
するようになりました。

 

1997年、ニューヨーク州サン・ジョア群島
では「塔は私有地から500フィート(150m)
以上離せ」という条例ができ、モトローラ社
の社内指針は「携帯塔は50m以上民家から
離せ」です。

 

2000年、イギリスでは独立専門家グループが
「子どもの使用に警告」「安全証明が不十分
なので研究推進を」等の勧告をしています。

 

 

 

 

 

日本では

八王子・金沢で携帯電話等建設中止、
静岡では完成した携帯電話タワーを撤去、
神奈川・京都の小学校周辺などのPHS
アンテナ撤去(1998年1999年)
などの市民運動が起こってきました。

 

大分県由布院町、東京都羽村市、盛岡市は
条例で定めて自治体が歯止めとなっています
が、欧米からは大幅に遅れているのが現状。

 

欧米では電磁波対策なしでは電気製品は
売れなくなりつつありますが、日本では逆に
「オール電化」推進キャンペーンが盛んです。

 

 

 

 

WHOもガンの可能性があるとして各国に
予防策を要請し、日本で実施中の小児ガンの
疫学研究もWHOを支持していますが、文科省
はその研究に「最低評価」を下しています。

 

「暮らしの手帖」がガスレンジを支持し、
電磁調理器を批判して話題になったこと
もありました。

 

ここでもう一度、荻野晃也さんの
言葉を思い出してみましょう。

 

「100%の危険証明がされていないことを
『安全証明』と考えるべきではない」

(参照/「京都大学学術情報リポジトリ「紅」)

 

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