オーストラリアのエミューってどんな鳥?

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オーストラリアの国獣であり国章

カンガルーとエミューはオーストラリアの国獣でも
あり、また国章にもなっている動物です。

 

オーストラリアといえば何となく、カンガルーと
コアラが思い浮かびますが、コアラは非公式だそう。

 

ダチョウ目のエミューは、ダチョウに
次ぎ、世界で2番目に背の高い鳥。

 

ダチョウは、体高さ2.5メートル、体重は120キロに
なりますが、エミューは体高1.5〜2.0メートル、
体重は40〜60キロ位だそうです。

 

ダチョウもエミューもともに走る鳥、走鳥類といわれ
走るスピードは早いものの、飛べない鳥。
オーストラリアのお隣のニュージーランド
にいるキーウィもそうですね。

 

 

オーストラリアのエミュー

 

 

 

「Australia」と「Ostrich」

ダチョウは漢字では「駝鳥」と書きますが、
ダチョウの皮(革)を使ったバッグやお財布などを
「オーストリッチ」といいますので、オーストラリア
の鳥のような気がしてしまいますがアフリカ大陸の鳥。

 

(「皮(Skin)」は
   そのままでは腐ってしまう原皮の状態をいい、
「革(Leather)」は
   それをなめして加工したものを指します)

 

ダチョウは皮はもちろん、肉の需要も近年増えて
きたためにヨーロッパ、北米、中国、イスラエル、
オーストラリアでも飼育されていますので、現在は
ダチョウもオーストラリアにはいることになりますが。

 

「オーストリッチ」と「オーストラリア」という
日本語表記が少々、似ているため混乱しがちですが
ダチョウの オーストリッチは「Ostrich」で、
     オーストラリアは「Australia」。

 

 

 指が3本のエミューの足跡

 

 

 

エミューとダチョウの違い

エミューは、足の指が3本あるのに対して
ダチョウは、2本しかありません。

 

飛べないけれど早く走ることができる鳥
として有名なのに、足の指が2本しかないとは
不思議、安定感がないような気もしますが。

 

またダチョウは飛べませんが羽は残っています。
一方、エミューの方はほとんど
退化してしまっているそうです。

 

羽毛自体の形態も異なっていて、エミューは
鳥類では唯一、2本が対になっているのに対して
ダチョウは1本1本が分かれています。

 

 

左側からロリキート、マガモ、エミュー、ダチョウの卵
(写真/「富士花鳥園 公式ブログ」)

 

 

ともに大きな卵として有名ですが、ダチョウの卵は
1.5キロ以上もあり(ニワトリの卵は約50グラム)、
色はクリーム系の白。
殻の厚さは2ミリ程度で人が乗っても割れないとか!

 

上の写真のエミューの卵は縦が14センチ、横は9センチ、
重さは600グラムほどですが、深い緑色が特徴的ですね。
味はニワトリの卵より淡白であっさりしているといいます。

 

ダチョウの卵はもっとあっさり
というか水っぽく、薄い味だそう。

 

また火を通しても白身の部分は半透明のままで
エッグアートに使用するにはよさそうですが
食べるのはちょっと……かもしれませんね。

 

 

オーストラリアの国章にもカンガルー
と共に描かれているエミュー

 

 

      エミュー      ダチョウ
________________________

指の本数    3本        2本

 羽    ほとんど退化    残っている

羽毛の形態  1本1本別々  1本が対になっている

卵の色    深緑      クリーム系の白

 

 

 

エミューはイクメンだった!

エミューはメスがオスより少し大きい鳥ですが
「エミュー(Emu)」という名の語源は
ポルトガル語の「Ema(大きい鳥)」からきています。

 

飛べない鳥なので、外敵に襲われた時はジグザグに
走って、時速50キロにも達するスピードで逃げますが
逃げるだけではなく足で攻撃することもあるそうです。

 

繁殖期は南半球で11月〜4月(北半球では5〜6月)で
このような濃い緑色の卵を5〜20個産みます。

 

 

右から2番目がエミューの卵、右端はダチョウの卵

 

 

この卵を温めるのはオスのみだそうで、なんと
8〜10週間の間、卵を温めヒナを孵しますが、その間は
食べることはおろか、飲むことも一切しないため
体重は約半分ほどに減ってしまうといいます。

 

孵化後、2〜3カ月はオスが外敵からヒナを守りますが
メスも飼育に参加することもあり、最高2年ほど
ヒナたちはオスと暮らすそうです。

 

 

 

エミュー(Emu)戦争

ダチョウ目、ヒクイドリ科、エミュー属の
エミューは現在、1種がのこるのみです。
同種あるいは近縁種がいましたが絶滅してしまいました。

 

なかでも1932年に行われたエミューの大量殺戮は有名。
オーストリア西オーストリア州キャンピオン地区で
エミューによる、農作物の被害が大きかったため
有害野生動物管理作戦が行われました。

 

これには機関銃で武装した兵士が動員されて、
「エミュー戦争(The Emu War)」
「エミュー大戦争(The  Great  Emu  War)」
と呼ばれた歴史に残るものでした。

 

 

オーストラリア大使館

 

 

 

軍隊が出動

1932年11月2日〜8日までで、2500発の弾薬が発射され
それにより死亡したエミューは50〜500頭といわれて
いますが、地元メディアの「わずか数頭のみ」
と否定的な報道もあります。

 

一度、撤収した後、上院において国務大臣は
エミューの農業に与える脅威を力説し、再び軍隊が
エミューに立ち向かい、1932年11月13日〜12月2日まで
毎週100頭が銃殺されたと報告。

 

12月10日の報告では、9860発の弾薬で986頭のエミュー
を殺害、即死ではなかったものの負傷した2500頭の
エミューが死亡したとされていますが、この戦争は
あまりに馬鹿げ、国費の浪費であるとの声もあがりました。

 

 

 

 

 

1種以外は絶滅、数も激減

とはいうものの地元の農家からは、1934年、
1943年、1948年の3回にわたって、
同じような軍事支援の要請が出されてました。

 

これらはいずれも政府が却下し
代わりに報奨金制度を導入。

 

軍事支援よりこちらの方が効果があったようで
1934年の6カ月の間に、57,034件の
報奨があったとの記録も残っています。

 

これらに対して「希少種エミューの根絶」
に反対をする人もいました。

 

オーストラリアの鳥類学者、ドミニク・サーベンティは
「エミューを大量殺戮しようとする試み」
と批判しています。

 

農家の被害は甚大だったのは確かで、何らかの
対策は必要だったと思われますが、現在
エミューは1種を残して他の種は絶滅、
全体数も激減ということもまた事実です。

 

 

現在は1種のみになり、全体数も激減したエミュー

 

 

 

日本でも飼育が始まる

機関銃で武装した兵士の手強い敵であった
エミューですが、草や花、昆虫を食べる
おだやかで人懐っこい動物だといいます。

 

何万年もの間、過酷な環境のもと生き延びてきた
エミューは、寒暖の差にも強く、砂漠地帯でも生息
できる丈夫な生き物で、飼育しやすく、日本でも
北海道でエミュー飼育が始められているようです。

 

肉は高タンパクで低カロリー、
豚肉の4倍もの鉄分も含みます。

 

羽はもちろんのこと、皮や骨、内蔵まで商品となる
そうですが、中でも有名なのはエミューオイルですね。

 

 

 

 

 

人気のエミューオイル

オイルはエミューの脂肪からとれますが、オーストラリア
のアボリジニは、傷や火傷、関節炎、筋肉痛、打撲、
虫さされなどの炎症鎮痛として、また皮膚炎などの
万能薬として長年、使ってきたということです。

 

1980年代にはオーストラリア政府の支援により
エミューオイルの研究分析・臨床検査が公式に
進められて、TGA(豪州治療医薬品局)の
定める「医薬品」として認められました。

 

動物性でありながら植物性脂肪を構成
する不飽和脂肪酸を多く含んでいて
べたつきのないさわやかな使用感が魅力。

 

肌への浸透が高い「オレイン酸(オメガ9系)」
潤いを保つ「リノール酸(オメガ6系)」
抗炎症作用「α-リノレン酸(オメガ3系)」

 

これら3つをバランスよく、人の皮膚の成分に
近い割合で含んでいるのが特徴です。

 

エミュー戦争に遭遇してしまった、不幸な
経験を持つ生き物であるイクメンエミューは
人間に役立ってくれる動物だったのですね。

 




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