旬菜弁当「淡悦」東京ミッドタウン 5つの基本味

「あぷりのお茶会 赤坂・麻布・六本木」へようこそ!

 

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東京ミッドタウン初のテラス席

前回の「カフェ  ラ・ボエム」に行く前にランチを
したのがこちら、東京ミッドタウン・
ガーデンテラスの3階にある「淡悦」です。

 

(「淡悦」
107-0052  港区赤坂9丁目7-4  東京ミッドタウン
ガーデンテラス3F 03-5413-8668
営業時間
平日・土 昼  11:00〜16:00 夜  17:00〜23:00
 日・祝       11:00〜22:00
定休日 なし)

 

店内はかなり広く、個室も2つあるようです。
テラス席は、寒い冬やあまりに暑い夏、雨の日など
躊躇することも多く、結構難しいものですが
その日は、お天気もよく爽やかなテラス日和
でしたので、迷わずテラス席にしました。

 

 

130312midki今回撮った写真ではないので季節がちょっと違いますが
こんな風に檜町公園が見えます(中央の白い高い建物はANAホテル)

 

 

 

「淡悦」の意味

「辛・苦・酸・甘・鹹(しおからい)」は、中国の
五行思想に基づく味の基本といわれるものですが
実はこの5つの味のあとに。6番目があるそうで
それが「淡(真味是唯淡)」なのだとか。

 

素材の持ち味を活かすための「淡味」ということの他に
お年を召した方には淡い味付けを心がけ、若い人には
それよりはやや濃いめとの意味合いが「淡味」
という言葉には含まれているのだそうです。

 

作る人は食べる人の気持ちを思い、食べる人は
作ってくれた人を思う、双方の心がお料理を
一層美味しくし、そこに喜び「悦」が生まれる
——これがお店の名前「淡悦」の由来ということです。

 

 

160608shunsaibento旬菜弁当・お刺身付き「淡悦」東京ミッドタウン

 

 

 

お刺身付き、天ぷら付きが選べる

こちらの「淡悦」は日本酒もおすすめなのですが
この日は少々暑かったこともあってビールにしました。

 

旬菜弁当は好みによって、これにお刺身を
プラスすることや、天ぷらをつける
というように、選べるのもうれしいところ。

 

お友達はお刺身付きにしましたが
お刺身の苦手な私はなしで。
すぐに先付の生湯葉のたれかけがきて
まずはビールで乾杯です。

 

 

160608beer旬菜弁当の先付 生湯葉のたれかけ

 

 

 

麩まんじゅう「麩」はお麩なんだよ

旬菜弁当には、この他にお味噌汁と御飯がつきます。
またお刺身付きにしたお友達のN子ちゃんには
デザートとして、生麩のおまんじゅうが
ついていました(半分もらいました!)。

 

1月に春帆楼でお食事をした後に、今はない赤坂プリ
の跡地で話していた時、赤プリを知らないと言って
私を驚かせたN子ちゃんが、今回は麩まんじゅうを
知らないといって私を楽しませてくれました。

 

 

こちらは、桜やもみじ、手毬などを象った生麩

 

 

「この麩の乾燥したものは、池の鯉に
あげるあのお麩だよ」と私。

 

大学を出てすぐ外国へ行ったN子ちゃんは
時に、外国人のような面白いことを言って
私を和ませてくれることがあるのです。

 

 

赤坂「青野」の麩まんじゅう

 

 

 

英語、ドイツ語、オランダ語等の中で暮らしている
N子ちゃんは今、日本語を再勉強(?)しているとか。
この写真はN子ちゃんが撮ってくれたものですが

 

雲がガラスのテーブルに映っていて、とても素敵。
そういえば初めての外国旅行では、1ヶ月ほどの間に
N子ちゃんにたくさん写真を撮ってもらいましたっけ。

 

 

160608tentanN子ちゃん撮影の旬菜弁当の写真
雲もビールの泡と一緒にいただいてしまいましょう

 

 

 

二つの「辛い」

このお店の「淡悦」という名称は、五行思想の五味
の次にくる「淡」からきているとのことでしたが
この五味は、現在の味覚の分類でいわれて
いるものとはちょっと違うようです。

 

五行思想からのものは、次の5つ。

 

1 辛(からい)
2 苦(にがい)
3 酸(すっぱい)
4 甘(あまい)
5 鹹(しおからい)

 

 

 

 

それに対して現在、生理学的に味の成分と
考えられているのはこちら。

 

① 甘(あまい)
  砂糖、人工甘味料

② 酸味(すっぱい)
  酢酸、クエン酸等から生じる水素イオン

③ 塩味(しおからい)
  ナトリウムイオン等、金属系陽イオン

④ 苦味(にがみ)
  カフェイン、キニーネ等、アルカロイド系物質

⑤ 旨味(うまみ)
  グルタミン酸ナトリウム,イノシン酸ナトリウム

 

五行思想のほうは、1と5の両方が「からい」という
言葉を使用していますが、5「鹹(しおからい)」は
⑤「塩味」と同じく塩っぱいということで、
もう一つの1「辛い」は芥子等のからいを指します。

 

 

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味覚受容体細胞からの信号——味覚

味覚とは、動物がもつ五感
「視覚・聴覚・嗅覚(きゅうかく)・味覚・触覚」
の一つです。

 

味覚は、特定の化学物質の刺激に反応する味覚受容体
(人の場合は主に舌にある「味蕾・みらい」)の
信号が、神経細胞「ニューロン」を通して
脳に送られることによって識別されるもの。

 

(舌以外には、口の奥の上面「軟口蓋」、
「咽頭蓋」、「食道上部内面」といわば喉を
含めて口中で味わっているというわけですね)

 

味覚受容体が舌以外にある、蝶々やハエなどの
昆虫は、味覚受容体のある前肢で、食物に触れる
ことにより味見をしているそうです。

 

また、ナマズは体表全域に味覚受容体細胞が分布して
いるということですが、これはいつも何かの味を
感じながら生きているということなのでしょうか?、
ちょっと嬉しいような大変なような気もしますが。

 

 

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視覚、嗅覚、記憶等がプラス——風味

それに加えて、視覚や嗅覚、または記憶などに
よって拡張された、知覚心理学的な感覚としての
味は。「風味(flavour)」と呼ばれいて
それを認識することを「味わう」と表現します。

 

確かに、舌からの信号だけで味覚、味の全てが
伝わり把握できるということは、私自身は
大いに疑問ですので、視覚、嗅覚、記憶などが
関わっているとの説明には納得です。

 

よくいわれることですが、鼻をつまんで単体の
果物の果汁で作ったフルーツジュースを飲むと、
何のジュースだかわからず、色や香りなどを手がかり
にすることにより初めて識別が可能になるとか。

 

 

140429musasakininjinjusu

 

 

特に香りが命の松茸やコーヒーなども、香りがなかったら
全く何だかわからないのではないかとさえ思えるほどです。

 

舌にある味覚受容体が、味の信号を脳に送って識別
していることは間違いのないことではありますが、
それが私たちの感じる「味」のうちの、どの程度
の割合を占めているのかが気になるところ。

 

私の感覚としては、舌の味覚受容体で捉える味以外
のものが「味」のかなり大きな要素を占めている
のではないかと思えるのですが。

 

 

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先ほどの五行思想の芥子等で感じる「1  辛い」は、
味覚受容体の反応ではなく、皮膚に対する直接の刺激
「体表感覚」と考えられているので、「辛味」は
味の成分には含まれていないということです。

 

また、現在の生理学的に味の成分と考えられている
「旨味」ですが、これが加わったのは20世紀に
なってからのことで。それまでは、味は
4基本味説が支持されていました。

 

現在でも、味覚刺激が神経に伝達されるまでの機構
の全てがわかっているわけではないそうですので、
もっと様々なことが解明されると同時に、人体の
不思議にますます驚くことになるのかもしれませんね。

 

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ハンドドリップコーヒーとアップルパイ「カフェ ラ・ボエム 麻布十番」

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「ラ・ボエーム」ではなく「ラ・ボエム」

久しぶりに会ったお友達と、これまた久しぶりの
「カフェ  ラ・ボエム」に行きました。

 

私は今までずっと「ラ・ボエーム(LA  BOHEME)」
だと思っていたのですが、カタカナ表記ですと
「ラ・ボエム」なのですね。

 

(「カフェ  ラ・ボエム」
 港区麻布十番2丁目-3-7
 グリーンコート麻布十番1Fと2F
 03-6400-3060  営業時間:11:30〜5:00
 年中無休)

 

営業時間が凄くて、なんと11時30分~5時00分まで。
午前の11時30分は、そろそろランチが始まる時間と
わかりますが、終わる時間が5時というのは驚き。

 

もちろん、夕方の5時ではありませんよ。
夕方の5時を通り越して、翌朝の5時ということ。
終電を乗り過ごしてしまっても大丈夫というお店です。

 

 

160927laboheme麻布十番パティオから見た「カフェ  ラ・ボエム」

 

 

 

年中無休で中休みもなし

それだけではなく、ランチが終了してから
ディナーまでの休憩時間がないことにも
今回、初めて気づきました。

 

そういえばいつ行っても開いていて、歩いている
時にぶらっと入ったことも度々ありましたし
考えてみますと閉まっていた記憶は皆無です。

 

となれば「カフェ  ラ・ボエム」が年中無休という
ことはとうに気づいていて良いはずなのに、今まで
わからなかったとは、本当に何も考えずに生きて
いるのだなぁと、我ながら驚いた次第。

 

 

agemotiyapatio「あげもち屋」

 

 

 

近くに「ドミニク・サブロン」があったことも

そんな健気な「カフェ  ラ・ボエム」が、いつ
麻布十番のパティオ前にできたのかといいますと
今から13年前の2003年の5月のこと。

 

すぐそばにある、現在は「伊太利屋」になっている
お店が、ほぼ2年毎に変わっていることは
御紹介しましたがそれと比べるとかなり長いですね。

 

「ドミニク・サブロン」→「あげもち屋」→「伊太利屋」
とお店が変遷してきた場所は、次の地図では(A)の場所。
今日、御紹介の「カフェ  ラ・ボエム」は
少し右の(I)になります。

 

 

azabu
A
が「ドミニク・サブロン」→「あげもち屋」→「伊太利屋」
 I が「カフェ  ラ・ボエム(CAFE  LA  BOHEME)」

 

 

お隣同士というわけではありませんが、かなり近い場所
ですので「ドミニク・サブロン マルシェ・エ・カフェ」
と「カフェ  ラ・ボエム」は、少々かぶって
しまったのでしょうか?

 

店内のインテリアも赤と黒を基調として
いるのも、両店舗とも同じでしたし。

 

とはいえ「ドミニク・サブロン」の方は
パンで有名なお店でもあり、それに併設
されているフランスのカフェです。

 

一方、「カフェ  ラ・ボエム」は早朝5時
まで開いているイタリア料理のお店です
から、個性は違っていますよね。

 

 

dominiquesaabron「ドミニク・サブロン」

 

 

 

グローバルダイニング

「ドミニク・サブロン」はフランスの会社ですが
「カフェ  ラ・ボエム」はイタリア料理のお店
ではありますが、経営しているのは日本の会社。

 

1973年10月に設立された有限会社、長谷川実業
が後に現在の 株式会社グローバルダイニング
(GLOBAL-DINING, INC.)となり
港区の南青山に本社を置いている会社です。

 

イタリアンに限らず、創作和食、エスニック、
チョコレートのお店と食に関する幅広いお店を展開し
イタリアンの「カフェ  ラ・ボエム」15店舗をはじめ
海外店舗3店を含めて55店舗を有しています。
              (2016年10月現在)

 

 

160608applepieハンドドリップコーヒーとアップルパイ「カフェ  ラ・ボエム」

 

 

 

モンスーンカフェも姉妹店

麻布十番パティオから2、3分といった場所に
エスニックレストランの「モンスーンカフェ」
というお店があるのですが、そちらも同じ
グローバルダイニングの経営のお店だそうです。

 

(「モンスーンカフェ 麻布十番」
 港区麻布十番1丁目7-5 フェスタ麻布 6F
 03-5775-6900)

 

「モンスーンカフェ 麻布十番」は、2001年12月に
できていますので、「カフェ  ラ・ボエム」より
少し先に麻布十番にデビューしたのですね。

 

 

coffee(写真/「カフェ  ラ・ボエム」)

 

 

 

いつのまにか、ハンドドリップコーヒーに

少し前は「カフェ  ラ・ボエム」にはかなり行って
いたのですが、最近はめっきり御無沙汰をしていて
今回は本当にしばらくぶりでした。

 

「カフェ  ラ・ボエム」に行く直前に、
東京ミッドタウンでランチをしていたので、
私はコーヒーにアップルパイで、お友達は
なんだったかなぁ……(ヒドイッ!
でもアップルパイは彼女と半分こしたよ)

 

すぐコーヒーが運ばれてきたのですが
なんと空のコーヒーカップです。

 

ウエイトレスがカップの上に、挽いたコーヒー
の入っている、ドリッパーを置いてから
おもむろにお湯を注ぎ始めました。

 

 

130213ebiテナガエビではありませんが……

 

 

「え〜っ!、前からそうでしたっけ?」
久しぶりに来て忘れてしまったのかと思って聞いて
みましたら、最近、変わったとのことでした。

 

お客さんである私たちは面白くて楽しいですけど
スタッフの方は大変ですね、と私が言うと
彼女はコーヒーを注ぎながら笑っていました。

 

最近のトレンドである「サードウェーブ・コーヒー」
の流れを汲み、上質な豆の中でも生産地や
処理方法が明確、かつブレンドされていない
「シングルオリジン」のコーヒー豆を使用し、

 

一杯ずつ真心を込めたハンドドリップの
「スペシャルコーヒー」の提供を
始めたということのようです。

 

一緒に頼んだアップルパイともども
とても美味しいコーヒーでした。

 

一時期メニューになかった私のお気に入りの
テナガエビのパスタが復活しているよう
ですので今度、試してみなければ。

 

 

160927laboheme昼間の「カフェ  ラ・ボエム」

 

 

 

「株式会社グローバルダイニング」

「カフェ  ラ・ボエム」を経営しているこの会社ですが
ここで働くのはちょっと面白そうですよ。

 

「民主主義」を企業経営に取り入れて、徹底した
情報公開により、働いている人は、知りたいと
思ったことは何でも知ることができるそうです。

 

決定事項への参加は、社長の1票も20代の店長の
1票も等価であり、昇級や昇格、異動も全て
自己申告制で、人が人を評価をすることがない、
つまり人事部が存在しない会社なのだとか。

 

私は会社というものについては、そもそも知識自体が
ないのですが、それでもサイトに書かれている
事柄にはちょっと驚きました。

 

 

cafelaboheme夜の「カフェ  ラ・ボエム

 

 

 

80歳まで応募が出来ます!

その上、応募要項を見てみますと、生年月日を記入する
ために選ぶ数字は「2001年〜1936年」まで出てきます。
1936年生まれといえば、現在80歳ですよ。

 

確かに個人差がありますので、年齢だけで仕事を制限
するのは、本来はおかしいことなのかもしれません。

 

グローバルダイニングの、応募要項の年齢に関する
ことだけでも、ひと味違った会社という感じがして
私が今、学生だったら是非、この会社でアルバイト
をしてみたいです(80歳までだったら今でも可!?)。

 

 

imgres

 

 

 

多くの会社がそうなるといいですね

代表取締役、CEOは1950年生まれの 長谷川  耕造さん。
2012年には「カフェ  ラ・ボエム」の進化形「LB6」
を六本木にオープンしたということです。

 

確かに「カフェ  ラ・ボエム」はリーズナブルで嬉しい
のですが、その進化形ということは、「LB6」は
超高級なのかな?、と見てみましたら、そうでも
なさそうなので、こちらもいつか行ってみたいです。

 

たまたま昨日、「65歳以上の非正規労働者1万3千人、
一斉解雇を認める控訴審判決(採用時になかった
65歳定年制が突如導入されたために、雇い主である
日本郵便に雇用の継続等を求めていた裁判)」

 

などというツイッターを見ていたもので、グローバル
ダイニングのこの姿勢にはいたく感服した次第です。
これからも贔屓にしちゃうぞい!

 

 

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「総本家 更科堀井」麻布十番 

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160919sarasinahoriisoba

 

 

創業227年「総本店  更科堀井」

「エッグシェル  kaori」という卵の殻のように薄い
ぐい飲みのお店「はせがわ酒店(G)の通りを麻布
十番駅とは反対の六本木ヒルズの方に、少し行った
ところにあるのが「総本家更科堀井(H)」です。

 

(「総本家  更科堀井」
 港区元麻布3丁目11-4  03-3403-3401
 営業時間:11:30〜20:30   年中無休)

 

「総本家  更科堀井」については、少し前に
「麻布にある3つの更科そば『総本家  更科堀井』
『永坂更科布屋太兵衛』『麻布永坂更科本店』」

書きましたのでここでは簡単な御紹介にしましょう。

 

 

azabu「総本家  更科堀井」(H)

 

 

 

1875(明治8)年 「布屋」→「堀井」

二の橋の近くにあった飯野藩保科家上屋敷に逗留して
いた信州出身の布屋太兵衛の打つ蕎麦が、美味しいと
評判になり、藩主のすすめにより1789(寛政元)年、
麻布永坂に「信州更科蕎麦処  布屋太兵衛」を開店。

 

1941(昭和16)年、戦時下の金融恐慌などのあおりを
うけ、一度は休業を余儀なくされたものの1984
(昭和59)年に復活し現在に至っています。

 

現在の「総本家  更科堀井」の当主は
9代目の堀井良教さん。

 

 

 

 

「布屋」が「堀井」に変わったのは
1875(明治8)年の名字必称の令により
屋号「布屋」を「堀井」に改めたことによります。

 

こちらの本店の他に、立川伊勢丹内
に支店があるそうです。

 

私は大学が立川にありましたので、伊勢丹
には随分行きましたが、その当時(大昔)
はありませんでした。
いつ出来たのでしょうね。

 

 

sarasisnahorii明治10年頃の「永坂更科布屋太兵衛」
現在の「総本家  更科堀井」

 

 

 

脚気によいお蕎麦は江戸で人気に

そんな私のことはどうでもいいのですが
「総本家  更科堀井」が創業された江戸時代、
お蕎麦は今に劣らず人気の食べ物で、江戸市中
には、3,4百軒ものお蕎麦屋さんがあったそう。

 

ビタミンB1の不足で起こる脚気(かっけ)は
白米を主食にすることが出来た階層の人に多い
症状で、「江戸患い」とも呼ばれる病気でした。

 

そこで脚気に効くというお蕎麦が
食べられるようになったのです。

 

男性の多かった江戸では、すぐに食べることの
出来るお蕎麦は、今でいうとファーストフード
のような感じだったかもしれませんね。

 

しかも美味しくて栄養があるとなったら
流行らないわけがありません。

 

 

160713gozensoba

 

 

 

白いお蕎麦「さらしな」

当時のお蕎麦はどこでも、そば粉
100パーセントで打っていましたので
お店の味の特徴といえば蕎麦つゆ。

 

どのお店でも同じような蕎麦という中で
「総本家  更科堀井」の前身「信州更科蕎麦処
永坂更科布屋太兵衛」は、そばの実の芯の粉で
打つ、白い蕎麦「さらしな」を編み出します。

 

素麺と見紛うような白さと、やさしい舌触りの
「さらしな」は、そばの実の芯(胚乳)
が割れたものを、細かくふるったさらしな粉
と小麦粉で作られたお蕎麦です。

 

 

sarasinahoriisakisai 秋菜(あきさい)「総本家  更科堀井」

 

 

 

「色変わりそば」

当時は江戸城や大名屋敷にも出入りを許されて
御前に供する名誉も賜る一方、そば好きの
江戸っ子達にも親しまれていたお店でした。

 

お蕎麦を目籠に詰めたお土産が大人気となり
同様のものがあちらこちらで売り出され
各地に「更科」が増えていったといいます。

 

また、さらしなそばに旬の素材を打ち込んで
四季折々の味を作り出した「色変わりそば」
も忘れてはならないもの。

 

9月22日から10月9日は「菊切」、
10月10日から31日までは「くこ切」と
「総本家  更科堀井」のサイトにありますが
あのお薬のような「クコ(枸杞)」が
どのようなお蕎麦に変身するのでしょう?

 

 

blog_import_515365eaa68d4お薬チックな「クコ(枸杞)」

 

 

 

江戸時代から来た人?

先月の末に「総本家  更科堀井」へ行ったときのこと。
強い雨が降りしきるわけではないのですが
一日中はっきりしないお天気の夕暮れ時でした。

 

そのような日でも「更科堀井」は
お客さんがたくさんいます。

 

私はお店で蕎麦を頂かずに持ち帰ることが
多いのですが、その日もそれをお願いして
注文のおそばが出来るのを待っていました。

 

 

広重「麻布古川、相模殿橋、広尾之原 四の橋」

 

 

お店には、普通のテーブル席の他に、中央
にはお花が飾られた大きな丸いテーブルがあり
それを取り囲む形でお客さんが座ります。

 

それぞれ一人ずつきていると思われる
お客さんの間の空席に、私はつきました。

 

二人とも男性で外国の人。
「総本家  更科堀井」には、外国のお客さんも
多いためなのでしょう、英語で書かれた
「お蕎麦の食べ方ガイド」なるものもあります。

 

 

160919sobatabekata 英語で書かれた「お蕎麦の食べ方」

 

 

私の両側の席の二人の外国人男性は、共に
スマホを片手にお蕎麦を食べていました。
驚いたのはその雰囲気です。

 

板についているといいますか、何とも自然な感じ。
思わず江戸の人ではないのかしら?、と
見紛うばかりのお蕎麦の召し上がり方でした。

 

「箸の使い方が上手ですね」などとは
冗談にも言えないほどの箸さばきで、その仕草
は日本人よりもはるかに様になっていたほど。

 

 

160919sarasinahoriisobaもりそば「総本家  更科堀井」

 

 

これは絶対、昨日今日、お蕎麦を食べた
というビギナーではありません。

 

まあ、外国人といっても日本で生まれ育った方も
いらっしゃるでしょうからで、子どもの頃から
「更科堀井」に通っていたということもありえますが。

 

右側の男性は温かいお蕎麦で、左はそうでないお蕎麦。
見ない振りを装いつつも、両方の視界に入る彼等を
見ているうちに私のお蕎麦ができあがってきました。

 

 

広重「赤坂桐畑雨中夕けい」

 

 

最初から最後まで、極々普通の蕎麦好きの
江戸っ子が、薄い鼠色になりつつある雨催いの
夕暮れ時、いつものようにおそばを食べている
といった風情の、何と様になっていたことか!

 

いうまでもなく、彼等は私より数十倍も
お蕎麦が似合っていたのです。

 

驚きが心の中で飛び跳ねている私は
来る時と違って、何とはなしに
嬉しい雨の帰り道となりました。

 

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