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豆乳も口腔アレルギーの原因に
2000年代に入ってから、シラカンバ
アレルギーの人に、豆乳で強い症状
を起こす人が目立つようになりました。
リンゴなどの果物で口腔アレルギーの
症状が出ていた人が、豆乳を飲むと
胸から上腹部の焼ける感じがあり
息がしにくくなったり、
豆乳を飲んだ直後から目が痒くなり腫れて、
ノドが痛く、詰まり感が起こり、右顔が
腫れたなどの症状がでるようです。
シラカンバ花粉関連の口腔アレルギー
症候群( OAS)のうち、10%位が
豆乳で症状が出るとのことです。
北海道、東北以外にお住いの方も要注意
シラカンバは北海道や東北に多いので
それ以外の地域は大丈夫かといえば
さにあらず。
シラカンバはブナ目で、ハンノキやオオ
バヤシャブシなどと同じ仲間ですので
それらの木でも同様の症状がでるのです。
ハンノキやオオバヤシャブシなどは
北海道や東北以外にも生育していますので
決して他人事とはいえません。
ハンノキの葉と花と実
(左下の長い方が雄花、短いのは雌花)
アレルゲンとなるタンパク質「PR10」
シラカンバ花粉に「Bet v 1」という
タンパク質があり、これに対する
アレルギーがシラカンバ花粉症の
原因の一つと考えられています。
(「Bet v 1」は、ハンノキの「Aln g 1」
というタンパク質とも非常に似ている)
リンゴの「Mal d 1」や
モモの「Pru p 1」、
ダイズの「Gly m 4」
などとも構造が似ています。
これらは、PR-10という野菜や果物
によく含まれている、汎アレルゲン
といわれるタンパク質です。
*シラカンバ ハンノキ
* Bet v 1 Aln g 1
リンゴ モモ ダイズ
Mal d 1 Pru p 1 Gly m 4
* |
* PR-10
(野菜や果物によく含まれている
*アレルギーをおこすタンパク質)
気を付けないといけない食べ物は
リンゴ、ナシ、ビワ、サクランボ、
イチゴなどのバラ科の果物やセロリ、
ニンジン、ダイズなどです。
「熱」と「酸」に弱いPR-10
他のアレルゲンのリンゴなどの果物
の場合ですと、加熱した後に摂取すれ
ば症状が出ないこともあります。
アップルパイやリンゴジャムのなどの
リンゴ食品は、加熱処理によりPR-10
が抗原性を失い、アレルギー反応を
起こさなくなるからです。
熱だけではなく、PR-10は酸にも弱い
という特徴がありますので、胃酸のある
胃を通り抜けると抗原性を失って、アレ
ルギー反応は起こりにくくなります。
アップルバイはリンゴを加熱しているのでOK
豆乳は例外ですので注意が必要
ところが豆乳は例外で、ある程度耐熱性
がありますので、加熱さえすれば大丈夫
ということでもないのが厄介なところ。
ダイズの貯蔵タンパクである
「Gly m 5(β―コングリシニン)」と
「 Gly m 6(グリシニン)」が、
熱耐性や消化耐性をもつアレルゲン
であることがその理由のようです。
それ以外のダイズ製品は?
お豆腐は凝固しているので、多くの
場合は大丈夫なことが多いようですが
一部の人には症状が出ます。
また、納豆になりますと、お豆腐より
少ない割合ですが症状が出るようです。
* 豆乳 9.6%
* 豆腐 5.4%
* 納豆 0.6%
* モヤシ 3%
* (緑豆やブラックマッペの新芽)
* 豆乳 > 豆腐 > 納豆
同じダイズ製品でも、醤油やお味噌
などは、アナフィラキシーを起こす人
は少ないそうです。
「花粉の口腔アレルギー」と「一般的な食物アレルギー」
確かに豆乳はダイズのアレルギーなので
すが、アレルギー検査(血液検査)では
ダイズが陰性になることもあります。
今回取り上げているのは、カバノキ科植物
の花粉症患者が大豆・豆乳を摂ることにより
発症する「口腔アレルギー症候群」ですが、
それとは異なり、ダイズを原材料とした
食品により発症する「一般的な食物アレ
ルギー」もあります。
卵や牛乳、小麦、そばなどが
通常の食物アレルギーの代表的
な食べ物として知られています。
その一般的な食物アレルギーがダイズ
の人の場合、検査でダイズが陰性になる
ことはありませんが、カバノキ科花粉症
の口腔アレルギーでは、ダイズが陰性と
いうこともあり得るということなのです。
豆乳アレルギーの特徴
・果物の場合は、異常を感じた時点で
*すぐに口から出すことも少なくないが
*豆乳ではそれもできずらい
・水溶性であることが大きく、
*粘膜に満遍なく付着するため
*症状自体が強くなりがち
・また粘膜へ接触する面積が広い
*ことから、全身症状を引き起こ
*しやすい可能性もある
・嚥下とともに下咽頭、食道や胃まで
*達してしまうため、前胸部の症状な
*どがでやすい
などが挙げられます。
ダイズの芽
健康食品ブームで豆乳生産量が増加
豆乳は、シラカンバ花粉関連食品の中では
最も注意すべき食品とも言われています。
ですがこのグラフをご覧になってもおわか
りのように、2005年から2〜3年は、一時
は減ったものの、豆乳の生産量はうなぎ
のぼりに増え続けています。
豆乳生産量の推移
(グラフ/『ガベージニュース』)
国民生活センターには、2008年頃から
豆乳を飲んでアレルギーが出たという
相談が寄せられるようになり2013年に
は消費者に注意喚起を行いました。
専門家は、花粉症の人が初めて豆乳を
飲む時は、少量から飲むように呼びかけ
日本豆乳協会も、製品のパッケージに
少量からの試飲を表示しています。
ダイズができました!
山本哲夫医師の語る増加の原因と対策
「ステロイド点鼻や初期療法などの
花粉症に対する対処療法の進歩が原因
の一つと思います。
花粉を少々浴びても普通に生活できる
ようになり、鼻眼症状がなくても体内
の花粉のIgEは増え、果物アレルギー症
状が増加し、強くなってきます。
根本的な対策は、花粉を浴びないように
ライフスタイルを変えていただくことだ
と思います。
本州のスギは花粉数が1〜2桁多く、家
の中にいても、ある程度の数の花粉を浴
びてしまいます。
一方、北海道のシラカバは花粉数が
そこまで多くはなく、花粉対策を続ける
ことによって果物のアレルギー症状をコン
トロールすることも可能かと思います」
(札幌やまもと耳鼻咽喉科 山本哲夫)
個人的に、「ステロイド点鼻や初期療法
などの花粉症に対する対処療法の進歩が
原因の一つ」という意見がとても興味深く
感じられました。