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15代・柿右衛門「杜鵑草文(ほととぎすもん)皿」
こちらは本物です
柿右衛門のニセモノ
日本の焼物の中で高い評価を受けている柿右衛門。
有名な作品の宿命であるとはいえ
柿右衛門にもやはり贋作が多くあるそうです。
「柿右衛門のサイト」にもこんなことが書かれていました。
「 贋作のご注意
* 大変残念なことですが、
* このところ、柿右衛門の濁手作品および製品等の
* 模倣品」が市場に数多く出回っております。
* ご購入の際は、十分、お気を付けくださいませ。」
以前、このブログでまるで冗談のような「柿右衛門の猫」
というニセモノをご覧いただいたことがありました。
このような招き猫風のものや、
(写真、上下とも/「偽物古伊万里」)
やはり同じポーズをしているこちらとか。
まあ、これは如何にもニセモノニセモノして
いるので、あまり問題がないともいえますが。
本物とニセモノを同時に展示
しかしこれほどニセモノ然としたものではなく
したり顔のニセモノがたくさんあるようです。
著名な作家や窯の作品に似せた類似品の横行に頭を悩ませる
焼物の里、佐賀県で消費者に注意をうながすための展示会が
行われたそうです。(2008年2月18日「朝日新聞」)
右の徳利だけが本物(写真/「asahi.com」)
佐賀県天神にある公共施設アバンセで行われた
「偽ブラント品・海賊版撲滅展」というものがそれ。
14代・柿右衛門の徳利と猪口のセットの「本物」と
「ニセモノ」を並べて展示したそうです。
同じ絵柄の3つの徳利と猪口がありますが、一番右のものが
本物で、写真ではよくわかりませんが、左と真ん中の
徳利は手書きではなく印刷で絵付けがされたもの。
色が何となくくすんで見えることに加え
全体に肉厚なのが特徴ということです。
13代・柿右衛門「錦梅鳥文香爐」
こちらは「濁手」でかつ本物です
「濁手」であるか否かは真贋とは別
「柿右衛門」といえば「濁手」ということが有名なため
濁手でないものはニセモノという方がいらっしゃいますが
これは間違いです。
全体数から見ると濁手でないものの方が多いので
濁手でないからといってニセモノとはいえません。
また柿右衛門の初期は、中国景徳鎮のものを参考にしたため
中国風の模様も多いようですがそれ故、中国風の絵でないと
柿右衛門ではないというのももちろん間違いです。
サイン
手がかりの一つとして裏に書かれたサインがあります。
柿右衛門のサインは12代が途中から使い始めたもので
それ以前は「福」と書かれていたものが多いということ。
12代・柿右衛門のサインはこちら。
12代のサイン(写真/サインは3つとも
「ともさんの焼き物・骨董紀行」)
13代の柿右衛門はといいますと、
そして14代・柿右衛門。
初めて見るとちょっと似ていてわかりにくいですが
よ〜く見ると違いがわかってくるような気も……。
角鉢の角の作りが甘い
八角鉢などの角の部分がピシッとしておらず
にぶくぼわ〜っとしています。
上の写真がニセモノで
下が本物です。
釉薬がシワ状になっている
写真のように釉薬がボコボコとしていて
滑らかでないものはニセモノです。
柿右衛門人形
冒頭にニセモノの「柿右衛門の猫」を挙げましたが
柿右衛門には「人形」という人の姿の作品もあります。
こちらの4つの柿右衛門人形のうち
1つだけが本物ですがおわかかりでしょうか?
この中で1つだけが本物の柿右衛門人形
(写真は4枚とも/「偽物古伊万里」)
①は、こういう方っていますよねと思わせる
顔立ちで、巧拙とは別に何となくリアリティを
感じますが、答えは「③」番です。
お人形は意外にわかりやすいかもしれません。
難しい専門的な知識がなくても、美しいか否かで
本物とニセモノがすぐにわかりますからね。
私のような素人はつい顔を見てしまいますが
柿右衛門人形のすごさは「手の表情」なのだとか。
繊細な手の表情はニセモノでは絶対に真似ができず
「偽物古伊万里」のサイトによりますと
「人間の手と孫の手ぐらい違う」ということです。
手はあまりよく見えないのですが
確かにお顔は全然違います。
本物の柿右衛門人形だけは、見れば見るほど
美しく上品さが漂っています。
柿右衛門人形だけではなく、他のあらゆるもの
の真贋もわかるようになりたいですね。
ただ最近はニセモノもかなり進化しているということ
ですので、私たちも目を鍛えなくてはいけないようです。