進む香り効果の科学的解明 ニオイ分子は脳内因子の発現を 変化させる

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香りによって副交感神経系が優位に

コーヒーやワインなどの香りを嗅ぐ
ことは、安らぎ効果をもつ  α波 を
増加させることがわかっています。

 

アルファー波(α波 8〜13Hz)は
目をつぶって安静な状態で、リラッ
クスしている時にあらわれる脳波。

 

コーヒーやワインのニオイが
作用して、副交感神経系が優位
になったということです。

 

 

 

 

 

「交感神経系」

ニオイを嗅ぐことにより
自律神経系の「交感神経系」と
「副交感神経系」がどちらかに
傾くことがあります。

 

交感神経系が強まっている時と
いうのは、ストレスや危機に直面
したりして緊張している状態です。

 

瞳孔が大きくなり、血圧は上がり
心拍数や血糖値が増加。

 

血流は、活動に必要な筋肉に増え
消費エネルギーも増えている一方
消化運動の抑制を引き起こします。

 

 

 

 

 

「副交感神経系」

それに対して副交感神経系が強まって
いるのはリラックスしている安静時。

 

心拍数、呼吸数、血流、血圧の低下
を引き起こしたり、血流は胃や腸
などの消化器官に増加しています。

 

健康的な生活のためには
交感神経系と副交感神経系
両者のバランスが大切です。

 

 

「イランイラン」

 

 

 

交感神経を優位にするニオイが多い

レモン、フェンネル、シオネール、
エストラゴン、イランイラン、
ペパーミント、ゼラニウムエジプト、
レモングラス、コリアンダー、
ローズマリーと、
多くの香りは交感神経を優位にします。

 

それに対し、ラベンダー、
カモマイルは、副交感神経系を
優位にするということです。

 

香り、と聞くと何となく「安らぎ
効果で、副交感神経系を優位にする」
と考えがちです。

 

しかし実際は、交感神経系を優位
にするものが多い、という実験結果
が出ているのも興味深いところです。

 

 

 

 

 

ニオイ情報が免疫能に影響

ストレスや緊張が続いて、交感神経系
が亢進し続けると、免疫系が衰え
病気になりがちだと考えられています。

 

ニオイを嗅ぐことは、中枢神経系
を刺激、あるいはリラックスさせ
る効果をもちます。

 

ニオイ情報が、内分泌系を介して
ストレス状態に対応したり、免疫能
に影響を与えたりするのです。

 

 

 

 

 

ストレスが負荷されると

視床下部から
コルチコトロピン放出因子の分泌が促進され

       ↓

下垂体前葉から副腎皮質ホルモン、
副腎皮質からはグルココルチコイドが分泌

       ↓

最終的に免疫能の低下が引き起こされます

 

 

 

 

 

海馬が萎縮し  うつ病に

一方、リラックスした状態では、
グルココルチコイドの産生・分泌
は低下し、免疫能が増加されます

 

ストレスにより分泌が促進される
グルココルチコイドは、脳に作用
して海馬における神経細胞の
退行性変性を引き起こします。

 

これが高じて海馬が萎縮した
状態に至るのがうつ病です。

 

 

 

 

 

ニオイのもつ様々な効果

最近、ラベンダーのニオイが、抗うつ・
抗不安作用のあることがわかりました。

 

ストレスからうつ病発症に至る過程の
脳内変化を調べている際、ストレスに
よって生じる脳内遺伝子・蛋白質の
発現変化が、コーヒー豆のニオイにより
抑制されることもわかってきました。

 

またラベンダーやヒノキの香りが、脳内
神経栄養因子受容体(NGFR)遺伝子の
発現を増加させることがわかりました。

 

ヒノキを始め、いろいろなアロマオイル
に含まれている  α-ピネン のニオイを
嗅いだマウスの海馬では、

 

脳由来神経栄養因子(BDNF)の
遺伝子発現レベルが上昇していました。

 

 

 

 

 

ここでちょっと語句の説明

神経栄養因子」とは……

神経細胞に細胞の外から働く、
水に溶ける蛋白質物質の総称。
栄養といっても栄養素  nutrients  では
なく、神経細胞に有益に働く分子、
神経に対する作用を持つものの総称。

 

 

神経細胞」とは……

人の脳に1000億個から2000億個ある。
神経細胞には、体の他の細胞とは
異なった特徴がある。

1 分裂/増殖しない
2 特徴的な形をしている
3 多様性に富んでいる
4 細胞間で情報伝達を行う

   参照/「新潟大学研究所」

 

 

 

 

脳由来神経栄養因子・BDNF」とは……

NGFに次いで見出された神経栄養因子
NGFと同様に、神経細胞の生存維持、
神経突起の伸長促進、神経伝達物質の
合成促進などの作用をする。
遺伝子組換えにより BDNFの作用しない
マウスでは、海馬長期増強の発現の減弱、
空間学習の低下が認められた。
その他、神経障害性疼痛の発症、摂食
抑制、糖代謝調節、心拍数や血圧調節
などに関わる。

アルツハイマー病、うつ病などの精神神経
疾患との関連が報告され、アルツハイマー病
患者の脳では、特に大脳皮質や海馬において
BDFNレベルが健常者よりも低く、加齢及び
アルツハイマー病における記憶低下に関与が
示唆されている。
最初は脳では見出されたが
多くの末梢組織でも産生される

       参照/「老化ゲノム300」

 

 

 

 

 

進む香りの秘密の科学的解明

NGFRやBDNFは、神経の成長・維持
に重要な役割を果たしていて、その
発現はストレスによって低下するため
神経細胞死が起きるといわれています。

 

このように、ニオイのストレス抑制
効果は、実際に脳内因子の発現を
変化させることによって発揮される
ものであることがわかってきました。

 

「何となく」のように思っていた
香りの効果、ニオイのもつ力が
科学的に解明されつつあるようです。

(参照/
東邦大学神経科学研究室・増尾好則教授)

 

 

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「嗅盲(きゅうもう)」 

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「嗅盲(olfactory blindness)

「特異的無嗅覚症」

においが全てなくなってしまう症状
を「嗅覚脱失」といいますが、これは
「においのない世界」ともいえるものです。

 

これに対して、ほとんどの匂いに対しては
普通の人と変わらないものの、ある特定
の匂いだけを感じない、あるいは感じて
も感受性が鈍い、という人もいます。

 

それを「嗅盲」「嗅弱」あるいは
「特異的無嗅覚症」といいます。

 

人間には約400種類のニオイ
分子受容体が存在しています。

 

このうちの一部の受容体が遺伝子
変異によって発現しないと、嗅盲
が生じると推測されています。

 

イギリスの生化学者
ジョン・アムーア博士が
「特異的無嗅覚症」を発見しました。

 

 

 

 

 

本人も気づいていない「嗅盲」

においが全てなくなってしまう嗅覚脱失
とは異なり、嗅盲は実生活上はあまり
不便を感じないということも事実です。

 

そのため色盲の人がそうであるように
本人も嗅盲であることに気づいて
いないことも多いようです。

 

現在はわかりませんが、私の学校時代
や、その他の健康診断でも嗅覚テスト
をした記憶がありません。

 

匂いの質も濃度も、他の人に伝える
のはかなり難しいものですしね。

 

ということは私も含め、自分では自覚を
していなくても、何らかのにおいに対し
て嗅盲の可能性もあるということです。

 

 

 

 

 

ドリアンは「よい香り」か「悪臭」か?

トロピカルフルーツの王様といわれる
ドリアンは、その強烈なにおいでも
有名な果物です。

 

このドリアンを「よい香り」と感じる
人は、嗅盲が疑われるといいます。

 

ドリアンのにおいは、硫化水素、ジメチル
チオエーテルで、含硫化合物(硫黄を含ん
だ化合物)を含み、悪臭を強く感じるのが
普通の反応です。

 

ところが、イオウを含んだ化合物である
含硫化合物に対して嗅盲だった場合は
エステル類だけを嗅いで、フルーツ系
の芳香と感じてしまうのです。

 

 

 

 

 

「青酸」が嗅盲発見のきっかけに

嗅盲という現象が発見されたのは
青酸(シアン化水素)のにおいが
きっかけでした。

 

嗅盲は最初、性差や人種差がある伴性
劣性遺伝だと考えられていたようです。

 

しかし、青酸に対して、
「男女共7%の嗅盲がいて性差はない」
「遺伝はしない」

 

というデータを、1969年にジョン・
アムーア博士が報告したことにより性差
や伴性劣性遺伝という説が覆りました。

 

 

 

 

私は青酸のにおい自体がどのような
ものか、そもそも知らないのですが
アーモンド臭を放つということです。

 

ジョン・アムーア博士が発見した嗅盲
の物質は青酸を含め全部で9つでした。

 

ビールや食パン、チョコレートに
含まれる甘酸っぱい焦げ臭の
「イソブチルアルデヒド」、

 

 

 

 

変質したチーズ臭や蒸れた靴下臭いの
「イソ吉草酸(イソバレリン酸)」、

 

脇の下の不快臭である
「3-メチル-2-ヘキセン酸」、

 

ラズベリーやスミレに含まれている
香りの「β-イオノン」など。

 

 

 

 

 

日本人の物質別嗅盲率

日本人の場合は、青酸臭を感じない
男性は18.2%、女性は5.5% といいます
ので結構性差はあるような気もします。

 

変質したチーズ臭や蒸れた靴下の臭い
といわれる「イソ吉草酸」は2%(6%と
するものも)の人が嗅盲 といわれます。

 

また、スカンクのガスにも含まれている
という「メルカプタン」に対しては 0.1%
の割合で嗅盲の人が存在します。

 

 

 

 

一番多い嗅盲は、チョコレートの甘酸っぱ
い焦げ臭「イソブチルアルデヒド」で36%、
3人に1人ということでかなり多いですね。

 

脇の下の不快臭である「3-メチル-2-
へキセン酸」は約15%、

 

魚の腐敗臭である
「トリメチルアミン」は約6%。。

 

バナナの香り「酢酸イソアミル」は1.4%で、
加齢臭の「2-ノネナール」3.5%です。

 

 

 

 

 

半数の人がわからない「β-イオノン」

またアムーア博士の発見した嗅盲物質の
1つであるラズベリーやスミレに含まれて
いる香りの「β-イオノン」ですが、

 

人参に豊富に含まれているβ-カロテンが
加熱などにより分解すると「β-イオノン」
を生じます。

 

これは、いも焼酎の中にもこれを含むもの
があり、β-カロテン含量の多いだいだい色
のサツマイモを原料として焼酎には含まれ
ということです。

 

「β-イオノン」は、人間がにおいを感じら
れる最低限の濃度が非常に低い化合物です。

 

 

 

 

この物質に対する嗅盲の割合はかなり高い
もので、はっきりした数字はわかりません
が、50%という報告もあるようです。

 

なんと半数の人が「β-イオノン」に
対して嗅盲ということで、これは遺伝子
によって決まっているといいます。

 

となりますと、2人の人がいた場合、
2人共、あるいは1人が「β-イオノン」
の嗅盲ということは普通にあり得ます。

 

他の人と自分は、必ずしも同じにおいを
感じているわけではないのですね。

 

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嗅覚障害と食欲 

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65歳以上の約半分、80歳以上の3/4に嗅覚障害

誰もが避けられない加齢ですが、加齢に
よる嗅覚障害は、視覚や聴覚に比べます
と、その変化はあまり知られていません。

 

ですが実際は、65歳以上の人の約半数、
80歳以上になりますと、約4分の3の人に
嗅覚障害が生じているといわれています。

 

本人が気づいていないことも少なくない
そうですが、これは脳の嗅覚の記憶が減少
した部分を補っているからだそうです。

 

ですのでそのような人が、脳の記憶機能が
衰えますと、においがないことをはっきり
と自覚するようになります。

 

 

 

 

 

「味と思っているもの」=「味」+「口中香」

前回のブログ「口中香   人間だけがもつ
嗅覚の2つ目のルート」
でお話ししたよう
に、食物の味は嗅覚抜きには語れません。

 

一般的に私たちが「味」と考えているものは
実は「味」+「口中香」で醸し出されるもの
で、嗅覚が大きな役割を果たしているのです。

 

 

 

 

嗅覚の衰えは食欲や栄養摂取に大きな影響
を与えて、実際、嗅覚が弱い高齢者ほど
痩せ気味で、病気気味だということです。

 

また、薬によって嗅覚障害が起きることも
知られており、降圧剤や抗ガン剤、抗生
物質により嗅覚が弱まることもあります。

 

薬の服用により、においを感じにくく
なったと思われたら、なるべく早く
主治医に相談した方がよいようです。

 

 

 

 

 

嗅覚脱失になると体重が増加する?

全てのにおいの感覚がなくなってしまう障害
に「嗅覚脱失」がありますが、嗅覚脱失にな
ると体重が増加することがあるそうです。

 

先ほどの、嗅覚障害になると痩せ
気味、病気気味になるということと
矛盾するようにも思えますが、

 

においのない食事に満足感が感じら
れずに食べ過ぎてしまい、結果として
体重が増加するというのです。

 

味覚に影響を与えている「香り」という
豊かさがなくなってしまうぶん、他のもの
「量」で補おうとするのかもしれません。

 

 

 

 

 

食事の満腹感・満足感は量と比例しない?

以前、アメリカで食事の環境により食事
量が変化するという実験報告がありました。

 

コーネル大学のブライアン・ワンシンク
教授らが、イリノイ州のファースト
フード店で行ったものです。

 

それによりますと、よりくつろいで食事
ができるよう環境を整えると、摂取カロ
リーが18%も減ったとのことでした。

 

 

 

 

その環境とは、照明と音楽を通常より
落とし、観葉植物を置き、テーブルクロ
スを使ってキャンドルを灯すというもの。

 

快適さに欠ける食事は、そのマイナス部分
を埋めるかのように、もしくは取り戻すが
如くに食物を多く摂取する傾向があります。

 

快適であればあるほど満足感があり
おのずと少ない量でも、充分に満た
された感じになるのでしょう。

 

食事をして感じる満腹感、満足感は
必ずしも摂取量と比例するものでは
ないようです。

 

 

 

 

 

人間の感覚は超繊細

人間は、空腹になると特に食物のにおい
に敏感になったり、満腹になると鈍感に
なるという傾向があるそうです。

 

また、断食中にはにおいの感度が著しく
増大したという報告もありますが、これに
関しては何と何となく想像できますね。

 

現在、加齢による嗅覚障害の治療法は
まだないようですが、毎日の食事に上手に
香料を取り入れたりする工夫も重要です。

 

特に最近は、ドイツで始められた嗅覚刺激
療法(嗅覚トレーニング)を行っている
病院もあるようですので、次回のブログ
で紹介しましょう。

 

 

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