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植物の根は重力を感じ、その方向に伸びる
タネが発芽する際には、葉っぱよりも
先にまず根が出て下向きに生えてきます。
根は葉とは異なり、光を避けて
土の中に入っていく、と思われ
がちですが、実は違うそうです。
根には、「重力を感じてその方向に
伸びる」という性質があります。
重力は、地球の中心に向かってものを
引きつける力ですので、根は重力を感じ
て地球の中心に向かって伸びるのです。
「重力屈性」
ですから、無重力状態の場所で同じ
植物を発芽させた場合には、根が茎
と同じ方向に伸びたりもします。
根は、先端にある「根冠細胞」
と呼ばれる部位で、重力を感受
していると考えられています。
これは植物が重力の方向を感じとって
行う重力屈性と呼ばれる反応です。
植物ホルモンの一種である「オーキシン」
の働きによって起こるということですが
メカニズムの詳細はわかっていないそう。
茎の成長に対して、光と重力は逆の影響をし合う
茎は、光の方向へ伸びていきますが
その反応を引き起こす光は「青色光」です。
光の強さや反応が現れる時間など
には、複雑で様々な要因があります。
ですがあえて大雑把に言ってしまいます
と、光と重力は、茎の成長方向に対して
お互いに逆の影響をし合うということ。
芽生えが光を感知するのは、茎の先端、つまり
茎頂が光の方向に引っ張られるように成長して
いき、葉が光を多く受け取れるようにします。
一方、根は水を求めて地下に伸びるの
ではなく、「葉(茎頂)」の伸びる
方向と反対方向に伸びるのです。
眠らせる「アブシジン酸」
目覚めさせる「ジベレリン」
また、発芽をする前のタネの中でも
不思議なおもしろい働きがあります。
発芽前の休眠中のタネの胚の成長を
停止している物質が「アブシジン酸」
といわれるものです。
貯蔵物質を蓄積したり、乾燥耐性を
獲得したりしながらタネの休眠を
維持しています。
そのアブシジン酸の働きを抑制して
休眠を打破し、発芽を促進させる
のが「ジベレリン」という物質です。
オオムギ等のタネの場合
*水や温度が、発芽に適した条件に
なってくると、胚でジベレリンが合成
* ↓
* ジベレリンは
* アミラーゼ遺伝子の発現を誘導
* ↓
* 生成されたアミラーゼにより
*胚乳のデンプンを分解して、糖を生成
* ↓
* 糖は、胚に吸収され
*胚の細胞の浸透圧が高まり給水が促進
* 呼吸も促進される
* ↓
* 胚は成長を再開
* ↓
* 発芽
植物ホルモン
植物の発芽や成長には、光や水など
の環境要因に対して、驚くほど巧妙
で精巧な調節が行われています。
季節の変化に応じて、花芽をつけたり、
また落葉したりという調節には、様々な
植物ホルモンが重要な役割を果たします。
この植物ホルモンという言葉ですが、実は
定義はないようでして、動物ホルモンの定義
を植物に置き換えているということです。
ホルモンとは一般的に、
「動物体内の分泌器官で生産され
体液中に分泌されて他の場所に運ばれ、
標的器官に作用し、一定の変化を
与える有機化学物質の総称」
ですので分泌器官の明確でない
植物においての植物ホルモンは、
「植物自身が作り出し微量で作用
する生理活性物質・情報伝達物質で
植物に普遍的に存在し、その物質の
化学的本体と生理作用が明らかに
されたもの」
を指しています。
現在、この定義合うものとしては
オーキシン、ジベレリン、エチレン、
アブシジン酸、サイトカイニン、
ブラシノステロイド、ジャスモン酸
があります。
(サリチル酸、ポリアミン等
が加えられることもあります)