「和栗」を含む世界の5大栗 栗 赤坂「青野」

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野生のシバグリを品種改良した「和栗」

少し前から、お菓子などの説明に「和栗」という
言葉がよく使われていて気になっていました。

 

「和栗」とは、野生の「シバグリ(柴栗、芝栗)」
を品種改良した栗のことで、実が大きい上に
風味も良い栗のことだそうです。

 

ただ、甘みはそれほどでもなく、
また渋皮が剥がれにくく果肉も割れやすい
という欠点もあるそう。

 

色としては黄色が強く前回、御紹介した
ケーキのモンブランの色。
「日本で初めて『モンブラン』を作ったモンブラン」

 

 

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「世界5大栗」

「和栗」以外では、「朝鮮栗」「中国栗」
「アメリカ栗」「ヨーロッパ栗」の
5大栗が果樹として栽培されています。

 

なお4大栗という分類もあるようですが
「和栗」と「朝鮮栗」は近いとはいえ別の種類
のようですので5大栗の分け方にしました。

 

 

141125akasakaaonojounamagasikuriこちらは赤坂「青野」の上生菓子の「栗」

 

 

 

1 「和栗(Castanea crenata)」

野生のシバグリを品種改良したもの
で現在種類は100ほどあります。
「筑波」「伊吹」「国見」「利平」
「出雲」「森早生」など。

 

「和栗」の中で最も有名なものは、丹波栗でしょうか?
でも「丹波栗」というのは、品種名ではないそうです。

 

品種名は「銀寄(ぎんよせ)」「丹沢」
「筑波」「石鎚」等といいます。

 

 

tanbaguri丹波栗(写真/「丹波丹波篠山:丹波栗」)

 

 

丹波栗が全国に広まったのは江戸時代だそう
ですが、昔は品種という概念がなく、産地名で
呼んだために「丹波栗」といったようです。

 

ということで「丹波栗」というのは
「京都の丹波地方で採れる大粒の栗」のこと。

 

丹波栗は有名なわりには、栗の全生産量の
1パーセントに過ぎませんが、それが
また希少価値を生んでもいるようです。

 

 

「栗って、おいしいね!」
この方も栗が大好きなのかな?

 

 

 

2 「朝鮮栗」

和栗ときわめて近い品種のものが
古くから自生していたとのこと。

 

渋皮が剥きにくいというのは「和栗」と
同じですが、「和栗」とは異なり、
果肉は割れにくい性質を持つそうです。

 

 

 

3 「中国栗(Castanea mollissima)」

実は小型ですが、渋皮が実に密着していないので
小石で焼いた時に皮が向きやすく、甘みも多い
ため甘栗の原料として使われています。

 

日本人にはお馴染みの天津甘栗という名称ですが
これは天津港が主な海外出荷の拠点であったこと
から名づけられたものであり、栗自体の名前
としては、板栗(バンリー/Banli)という品種。

 

 

tyugokuguri中国栗(写真/「Chestnut Bark」)

 

 

中国河北地方が原産。
中国栗は天津甘栗には最適ですが、かたさが
あるので調理には向かないとのことです。

 

 

 

4 「アメリカ栗(Castanea dentata)」

北米が原産で「アメリカンチェスナット」
ともいわれます。

 

栗の実だけではなく、木材としても使われる
品種ですが、「焼き枯れ病(胴枯病)」
によって現在は瀕死の状態だとか。

 

 

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この写真でもおわかりの通り、かなり小粒ですね。

 

 

amerikakuriアメリカ栗(写真/「Chestnut Bark」)

 

 

 

5 「ヨーロッパ栗(Castanea sativa)」

南東欧、西アジアが原産で
ヨーロッパを代表する栗のことです。
日本の栗より、やや小さめで
渋皮は剥きやすいそうです。

 

このヨーロッパ栗のことは、マロングラッセのお話
「マロングラッセは栗で作っていなかった」
をした時に出てきましたね。

 

 

IMG_5039_convert_20091005220726フランスの栗、シャテニエ

 

 

大粒のものはマロングラッセに、小粒のものは
焼き栗として食べられることが多いようです。

 

 

 

赤坂「青野」の栗 

さて今日の最初の写真は、赤坂「青野」の栗です。

 

赤坂「青野」の栗も日本の栗ですから
「和栗」といえば「和栗」といえるのでしょうが、
「和栗」というより「赤坂栗」かな?

 

 

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ひよこ豆の名前の由来は、ひよこに似ているからではない!?

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「ソル・レオーネ」のひよこ豆

ソル・レオーネの紹介は今日で2度目ですね。
1回目はレッドキドニービンズ(「イタリア食材を
日本人向けに
加工した『ソル・レオーネ』」
でしたが、今日は「ひよこ豆」です。

 

 

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その時にレッドキドニービンズを使って
サラダにしたものがこちら。

 

 

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「ひよこ豆」 

レッドキドニービンズは、これぞお豆という
豆々した(?)形ですが、「ひよこ豆」は鳥の
口くちばしのような突起を持っているお豆です。

 

この「ひよこ豆」、エンドウのように、サヤの中
に一列に(●●●●)と入っているのではなく、
1つの豆は1つのサヤ(●)に入っているそう。

 

 

hiyokomame1ひよこ豆の莢と実(写真/「Wikipedia」)

 

 

なっている様子がこちらですが
とっても可愛い形ですね。

 

 

hiyokomamesayaひよこ豆の入っているサヤ
(写真/「種はゴミじゃない」)

 

 

 

「ひよこ豆」の名前の由来?

先ほど、「ひよこ豆」は鳥のくちばしの
ような突起を持った豆と書きましたし、

 

豆専門店のサイトにも
「『ひよこ豆』はひよこに似ているので
『ひよこ豆』と名づけられた」
とも書いてあります。

 

英名は、「ひよこ」を意味する「chick」に、
「エンドウ豆」やエンドウ豆に似ている
丸い豆を意味する「pea」をつけた
「chick + pea =chickpea(チックピー)」。

 

 

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中国では「鶏児豆」。
こちらの読み方はわかりませんが
全く同じ意味ですね。

これらのように一般的には「ひよこに似た
豆の形が名前の由来」と認識されてしまって
いるようですが、本当は違うそうです。

 

 

 

本当は、ラテン語「cicer」
→フランス語「pois chiche」
→英語「chickpea」

本当は、ひよこ豆のラテン語「cicer」を語源
とするフランス語の「pois chiche」
(poisは英語のpeaと同じ意味のフランス語)が、

 

英語では転訛したか、あるいは勘違いからか
「chickpea」となったとのことです。
(参照「豆類協会」)

 

cicer」→「pois chiche」→「chickpea

 

 

 

 

そして日本名も、これを直訳したものです。
ひよこの形に似ているからというのは
後からつけた理由だそうですよ。

 

なお、「ひよこ豆」はスペインでは
「ガルバンゾ(garbanzo)」と呼ばれています。

 

日本の「ひよこ豆」は、メキシコから輸入した
ものが多いこともあって「ガルバンゾ
(garbanzo)」の英語読みである「ガルバンゾー」
という呼び方が一般化しつつあります。

 

 

141126rosenthalmagicflutehiyokomame

 

 

 

「ひよこ豆」の大型種「カプリ」

「ひよこ豆」には豆の大きさによって
2種類に分けられます。

 

直径10〜13ミリほどの、表皮の色が肌色の
大粒種は「カプリ(Kaburi)」。

 

 

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「ひよこ豆」の小型種「デシ」

それより少し小ぶりの7〜10ミリ程度の
濃褐色の小粒種は「デシ(Des)」と
いいますが、こちらは真っ白いお花ですね。

 

 

shijitsu_thumb_23hana_thumb_16

 

 

 

 

 

「ひよこ豆」の原産地は、ヒマラヤ西部を含む
西南アジア地域と推定されているそうです。

 

 

 

「栗豆」ともいいますが…… 

また、「ひよこ豆」は食感が栗に似ていることから
「栗豆」ともいわれているようです。

 

ですが別の、というより本当の「栗豆」という
別の豆もあるようですので、ややこしいですね。

 

 

shijitsu_thumb_36こちらが本当の「栗豆」

 

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マロングラッセは栗で作っていなかった? マロングラッセ「フタバ食品株式会社」

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随分前に買ったのですが 

今日の写真の「マロングラッセ」は
かなり前に、赤坂店ではなく青山一丁目店
の方の「やまや」で買ったものです。

 

御覧になっておわかりのように
形がきちんとしていないブロークンタイプ。

 

このタイプのものは何度か買ったことは
あるのですが、今回、はじめてフタバ食品
株式会社のサイトを見てみると、

 

この「マロングラッセ」は
イタリア産の栗でできているそうです。

 

 

f5bc640934ee6913909f618523bd783a-270x200ニンジンのグラッセ

 

 

 

ニンジンのグラッセと同じ「グラッセ」

「マロングラッセ」という名前の
後半の「グラッセ」とは、フランス料理
で使われる言葉ですね。

 

本来は、凍らせる、冷やすという意味
だそうですが、凍らせたり冷やしたりすると
表面がツヤツヤするからでしょうか、
つやをつけるという意味もあるそうです。

 

そういえば付け合わせに使うニンジンなど
のお野菜を、バターとお砂糖などで煮たものを
ニンジンのグラッセ、と呼んだりしますよね。

 

つまり「マロングラッセ」は、ニンジンの
グラッセのグラッセ、と同じ意味なのです。

 

 

 

 

 

マロンはマロニエの実

「マロングラッセ」の「グラッセ」のもう一方の
「マロン」については、もう説明の必要もなく
栗のこと、と思いますよね?

 

ところが、「マロン」については
少々ややこしいようです。

 

フランス語では本来、
マロン(marron)」は
マロニエの実を指す単語でした。

 

 

P1130831-270x200マロンの実がなっているところ
(写真/「初・海外がさがさ団!」)

 

 

マロニエは、トチノキ科トチノキ属の
「marronnier セイヨウトチノキ」。

 

マロニエになる実がマロン
葉っぱはこんなふうな感じね。

 

 

pyumeori89706マロニエの葉(写真/「夢織」)

 

 

 

 マロングラッセは
マロニエの実(マロン)でつくっていた

もともと「マロングラッセ」はマロニエの実、
マロンで作っていたといいます。

 

ところがマロンはアクが強くて
アク抜き作業が大変でした。

 

(といいますか、アクがとても強いもの
だからこそ、何日もかけてシロップを
浸透させる「マロングラッセ」が考え
られたともいえるのかもしれませんが)

 

 

asa0504_3フランスのクリ(シャテニエ)の花
(写真/「月刊・朝比奈ふらんす語」)

 

 

 

マロンのかわりに、クリ(シャテーニュ)を
代用し、マロンと呼ぶことに

そこで、マロンで作っていた「マロングラッセ」を
フランスのクリで代用するようになったのです。

 

フランスのクリの実は、シャテーニュ、
木はシャテニエ(châtaignier)というようです。

 

シャテニエになる実が、シャテーニュ。

 

 

huransunokuri フランスのクリ
(写真/「super  toinette」)

 

 

こちらはブナ科クリ属の木です。
「châtaignier、ヨーロッパグリ」。

 

こちらのクリは、日本のクリと
そっくり(←シャレではない)。

 

本来、マロニエの実のマロンで作っていた
「マロングラッセ」を、「クリ(シャテーニュ)」
で作るようになったことから
クリ(シャテーニュ)も「マロン
と呼ぶようになりました。

 

 

IMG_5044_convert_20091005220637上がマロニエの実のマロン、下がクリ(マロン)
(写真/「ドルドーニュ日和」)

 

 

 

イガの中の実が1つのものを
「マロングラッセ」に使う 

というところまでは、まあいいのですが
この上に、また混乱をするような事実があります。

 

そのクリのイガの中に、クリが1つあるものと
2,3個入っているものを、呼び分けるのです。

 

イガの中に2.3個入っているクリは
先ほどのシャテーニュ(châtaignier)
とそのままです。

 

ところが、マロングラッセに使う、
イガの中に1つの実が入っているものを
マロン(marron)と呼ぶのです。

 

ちょっとややこしいので整理してみましょう。

 

 

イガの中に複数の実が入っている
シャテーニュ(写真/同上)

 

 

1 最初は、マロニエの実のマロン
 「マロングラッセ」作っていた

 

2 アクが強いのでクリ(シャテーニュ)で
 代用するようになったことから
 クリ(シャテーニュ)もマロン
 呼ぶようになった

 

3 マロンと呼ぶようになったクリ(シャテーニュ)
 をまた、イガの中の実の数によって呼び分ける

 —— シャテーニュ(実が2.3個入っている)
 —— マロン   (実が1つのもの)
        こちらでマロングラッセを作る

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

マロニエの実 → クリ(シャテーニュ)
マロン」     「マロン

   _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
       イガの中に

        実が2,3個 = シャテーニュ
        実が1個  = マロン

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして現在、「マロングラッセ」を作って
いるのは、マロニエのマロンではなく
クリの木のマロンで作っているというわけでした。

 

(参照/「フランスの食ネタ帳」
色々調べてみましたが、シャテーニュの
表記及び、内容がかなり様々でした。
こちらが一番信頼できるように思われ
ましたので参考にさせていただきました)

 

 

マロングラッセ

 

 

 

なぜ同じ「マロン」という名前にしたの? 

ふ〜っ、ややこしいね。
書き出した時は、こんなことになる
とは思っていなかったよ。

 

マロニエのマロンの方はオレンジ色にして
クリのマロンの方をピンク色にしてみたのですが。
(私が間違えていなければ……)

 

ここで疑問なのですが、箇条書きにした「3」
のところで、イガの中の実の数によって
別々の名前にした時になぜ、マロンなどと
いう、ややこしい名前にしたのでしょう?

 

 

 

 

イガの中の実が複数のものを、例えば
「三つ子ちゃん」、1つは「一人っ子さん」
等と呼ぶとか何とかできたのではないかと。

 

ですが、この名前を決めた人がいるわけでは
なく、自然にそう呼ぶようになったのでしょうね。

 

 

 

言葉は生きていて変化する 

同じ「マロン」という言葉ではややこしい、
と思うのは、私が実際にそれらにかかわって
いない人間だからです。

 

 

20120920_20133-270x200現在は食べられることのない
マロニエの実、マロン

 

 

マロニエのマロンの代用に、クリを使うように
なった時もそれをマロンと呼ぶようになりました。

 

またクリの中でも、イガの中に1つ実がある
ものだけをマロングラッセにするため、これ
またマロンと呼ぶようになったというのは
考えてみればあたりまえのことかもしれません。

 

人間が使い勝手がいいように、ものの名前を
決めていくといいますか、いつのまに
そう呼ぶようになっていくものなのでしょう。

 

言葉は生きていますからね。

 

140915marronsglaces

 

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