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ニンジンは白かった!
ニンジンはオレンジ色のものだけではな、黄色、
紫、金時人参の赤い色というように様々な色があり
そのうちいくつかはブログでも紹介してきました。
私はまだ買ったことはありませんが
白いニンジンもありますね。
と思っていたら、なんとニンジンは
白が本来のもので、カラフルなニンジンは
あとからできてきたものだそうです。
ニンジンの原産地は、中央アジアのアフガニスタン。
ヒンドゥークシュ(ヒンズークシ)山脈の
ふもとで栽培されていたニンジンが、東西に
分かれて世界各地に伝わったといわれています。
アフガニスタンから西に伝わって行った
「西洋系ニンジン」と、中国から東へと
伝来していった「東洋系のニンジン」。
西洋系は短く太く、東洋系は細長いのが特徴です。
西洋系と東洋系
現在、多く普及しているのは西洋系のニンジンで
おおよその長さである、三寸ニンジンや五寸
ニンジンという名前がつけられています。
(五寸は15.2cm。五寸ニンジンは
15〜20cmの大きさのものが多い)
一方、東洋系といわれるニンジンは、西洋系の
コロッとした形とは異なって細長いのが特徴です。
京都の「金時人参(京人参)」や
沖縄の「島ニンジン」が有名。
鮮やかな赤い色が好まれ、お正月のお料理などに
よく使われる「金時人参」ですが、栽培が難しさ
から、生産量が少なく、あまり出回っていません。
オランダでオレンジ色のニンジンが誕生
古代ギリシャでは、ニンジンは薬用
として栽培されていました。
現在、もっとも多く見られる円錐形の
ニンジンは、10世紀頃に、現在のトルコ西部
あたりで誕生したと考えられています。
12〜15世紀頃、ニンジンは
ヨーロッパに広がってゆきました。
その時のニンジンの色は、白や黄色、紫色とは
いうものの、当時のニンジンは現在のような
鮮やかな色ではなく、くすんだ色合いでした。
17〜18世紀になると、鮮やかなオレンジ色の
ニンジンが、オランダで作り出されたのです。
江戸時代後期からは西洋ニンジンが主流
東洋系のニンジンの方は、12〜13世紀頃に中国に
伝わって改良されたものが、日本に伝わってきました。
伝来した時期については、はっきりとはわかって
いないようですが、「新刊多識編」(1631年)に
「胡蘿蔔(セリニンジン)」の記載があることから
それ以前には伝わっていたものと考えられています。
ニンジンはセリ科の野菜ですので「胡蘿蔔(こらふ・
セリニンジン)」と呼ばれていたと思われますが
この名前からもわかるように、当時は葉っぱと
根菜部の両方を食用としていたようです。
江戸時代に栽培されていた品種は、主に東洋系ニンジン
でしたが、栽培が難しいという事情から、江戸後期にな
ると西洋系のものに取って代わられるようになりました。
現在と同じような、西洋系のニンジンを栽培
するようになった明治時代以降は、葉は食べず
に根の部分のみを食べるようになります。
「胡蘿蔔」の「蘿蔔」=「すずしろ(大根)」
ニンジンを英語でいうと「Carrot」、
フランス語では「Carotte」。
ドイツ語は「Karotte」と「 C」が「K」に
なっているだけで、こちらもほぼ同じで
ラテン語の「carota」からきている言葉です。
中国では当然のことながら、ガラッと
変わって「胡羅蔔(コロボウ)」。
「胡」は「異国の」を意味し、「羅蔔」は「大根」
ですので「異国の大根」という意味になります。
日本では先ほども記した通り、ニンジンは「胡蘿蔔
(セリニンジン)」と呼ばれていましたが、振り仮名が
なければ、読むことはおろか書くことも到底できない
と思われる難しい字、「蘿蔔」とは何でしょう?
「蘿蔔」と書いて、「すずしろ」と読むそうです。
「すずしろ」とは「春の七草」にも
うたわれている大根の昔の呼び名。
「すずしろ」は、「蘿蔔」以外に
「清白」とも書くそうです。
「せり なずな おぎょう はこべら ほとけのざ
* すずな すずしろ これぞななくさ」
「胡」は「胡瓜」や「胡弓」というように
中国を指し、そこからからきた「蘿蔔
(すずしろ)」ですので「胡からきた大根」。
でも振り仮名が「セリニンジン」ですので
かなりの意訳ですね。
「胡蘿蔔(セリニンジン)」の
見かけは__「胡蘿蔔」(「胡」の「蘿蔔(大根)」)
実際は___「セリニンジン」(「セリ科」の
* 「ニンジン」)
ということを表しているなのでしょうか?
「ニンジン」といえば「朝鮮人参」
日本に入ってきた当時のニンジンの呼び名は
何ともややこしいものでしたが、実はニンジンの名前
については、もう一つややこしいことがあります。
「ニンジン」という名前自体、本当は
「胡蘿蔔(セリニンジン)」のものではなく
本来は別の植物の名前だったのです。
「チョウセンニンジン(朝鮮人参)」「コウライ
ニンジン(高麗人参)」という言葉を聞いたことが
あると思いますが、中国や朝鮮半島で古くから
薬草として知られていたものが
日本でいう本来の「ニンジン」でした。
「朝鮮人参」の「人参」という名前の由来は
根の部分が、人の形のように見える
ことからつけられたといいます。
後から日本に入ってきた「胡蘿蔔(セリニンジン)」
が、この朝鮮人参の根の部分と似ていたことから
セリ科のニンジン「胡蘿蔔(セリニンジン)」
と呼ぶようになりました。
なお、生薬の「朝鮮人参」はウコギ科であるのに対して
「胡蘿蔔(セリニンジン)」の方はセリ科です。
庇を借りて……
江戸後期から栽培されるようになった野菜の「ニンジン」
は、最初は「胡蘿蔔(セリニンジン)」と呼ばれていた
ものの、「セリ」が取れていつの間にか「ニンジン」
とのみ呼ばれるようになったのです。
* _____________________
「ニンジン」と呼称 後から入ってきた野菜
* していた生薬 ニンジンに似ていたので
* 「セリニンジン(胡蘿蔔)」
* と呼ぶ
** ↓
*
* ↓ ↓
*
*「朝鮮」をつけ 「セリ」が取れ
*
* ↓ ↓
*
* 「朝鮮人参」 「ニンジン」
* _____________________
という感じで、庇を借りて母屋を乗っ取るでは
ありませんが(例え方、間違っている?)、現在
では「ニンジン」といえば薬草の方ではなく、野菜
として食べる「ニンジン」を指すようになりました。
時々生えてくる白いニンジン
現在、白以外のニンジンの種を撒くと、1袋に1本
ほどは白いニンジンができることがあるそうです。
その理由についてタネの販売元「タキイ種苗」では
「販売しているニンジンの種は南米のチリで
採取しているが、野生の白いニンジンの花粉が
飛んできて受粉してしまい、結果的に我が社が
販売する種の中に交じってしまうことがある。
色は違いますが、普通に食べられます」
と説明しています。
また中には、先祖返りの突然変異で白いニンジンが
できるのではないか、という方もいらっしゃいますが
どちらの理由にしろ、ニンジンの原種は白だった、
ということが感じられる興味深いお話ですね。