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つゆ草の別名「青花」と同じ名前を持つ花
昨日、御紹介した赤坂「青野」の
上生菓子「つゆ草」の別名、「青花」と
同じ名前を持つ植物があります。
「オオボウシバナ(大帽子花 学名 Commelina
communis var. hortensis)」という名前の花で、
これは「つゆ草」の新種改良をした花だそうです。
このオオボウシバナは一般には「青花(アオバナ)」
と呼ばれていますので、そうなりますと
「つゆ草」の別名と同じになってしまいますね。
この「オオボウシバナ」の方の「青花(あおばな)」
は花自体の大きさがつゆ草よりはるかに大きく
直径が4〜5センチにもなるそう。
色がつきやすく、また褪めやすい特徴を利用した「青花」
私は実際に「青花(アオバナ)」を見たことはない
のですが、名前だけは随分前から知っていました。
それは「青花(アオバナ)」が染色に使われるから。
染色といっても染める方ではなく
消えてしまう色、下絵用として使われます。
つゆ草の名前の由来はいくつかありますが
つゆ草の青い色が、
「すぐ布についてしまうので、つき草と
いわれるようになった」という説があります。
赤坂「青野)」 つゆ草
それほど「つゆ草」の青い色はつきやすいのです
が、と同時に退色もしやすいことでも有名です。
そしてその特徴を利用して、染色の下絵を
描く時にこの「青花(あおばな)」が
重宝されたというわけ。
「青花(あおばな)」の青い色は
アントシアニン系化合物で水溶性です。
これで下絵を描いて染色をした後に、水で
洗い流すと下絵の部分は消えてしまいます。
下絵として使うにはもってこいのものなのですね。
「青花紙」の作り方
現在「青花(あおばな)」は滋賀県草津市
の市の花に制定されていますが、草津市は
「青花(あおばな)」栽培で有名な土地です。
「青花(あおばな)」が畑に一面に咲きそろう
7月の半ばから8月の半ば頃までが収穫時期。
小さな花びらを一つ一つ、丹念に摘み
取る作業は熟練を要するのだそう。
早朝から咲いて午前11時頃には
しぼんでしまうので、夏の暑い盛りの
午前中にこの作業をすることは重労働。
その辛さから「地獄花」ともいわれたといいます。
そのようにして摘んだ「青花」を絞って
その液を和紙に何度も刷毛で
塗り込んだものを天日で乾かします。
と言葉で書くと簡単ですが
これもかなり大変な作業のよう。
刷毛で塗ることを80回〜90回も繰り返し、和紙の
重さが最初の4倍ほどになるまで続けるそうです。
戦後は「科学青花」も登場しましたが
「青花紙」を水に溶かしている様子が、上の写真。
この液を筆に含ませて、着物の
反物などに絵を描いていきます。
戦後は、化学薬品で「青花」」に代わるもの
が開発され、そちらを「科学青花」といいます。
それに対して、上記のような作業をして作る
青花紙を「本青花」と呼ぶようになりました。
若い職人さんなどは「科学青花」を利用
されている一方、熟練の下絵職人さんは
「本青花」が絶対にいい、と。
筆が滑らかに走り、細い線が思う様に描ける、
また描き違えても簡単に修正がきかないことから
常に緊張感の中で仕事ができるからだといいます。
「青花紙」は主に京友禅で使われています。
と昨日の、赤坂「青野」の「つゆ草」から「青花紙」
まで、思わぬ遠くまできてしまったようです。
お菓子もお花も色々ですね。